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2005アイアンマンジャパントライアスロン五島長崎参戦誌
2005/5/22
Swim 3800m Bike 180.2km Run 42.2km

Contents
スタート直前まで(このページ)
スタートからフィニッシュまで
フィニッシュ後〜


5月20日(金)レース2日前
夕方5時過ぎに文化会館で選手説明会を終えると、飯にありつけなかった昨年のまさかの大失態を繰り返すまいと、早めにカーボロード会場へと足を運ぶ。今年はその心配はなく計画的に配膳されて、テンコ盛りの食料をゲットし、パーティーが始まった午後6時過ぎ、急に気温が下がって冷え冷えとしてきた。危険レベルの高さを感じ、食べ終えると早々に会場を後にする。
しかし、先ほどからの喉の異常な痛みは、この寒さのせいではあるまい。
2時間前から変調は感じていた。気のせいでも何でもなく、明らかな風邪を発症してしまったようなのだ。何が悪かったのか? 五島へ渡るフェリー2等船室内でもしっかり毛布を借りたし、抜かりはなかったはず。
思えば昨日の長崎市内のホテルでは一晩中不快な汗をかいていた。既に兆候は見られたのかもしれない。先週終わりごろから時折発する不調のサイン。実は潜伏してもう長いのだろうか。
その晩も床でぐっしょりと汗をかき、悪寒に悩まされた。熱が出ていた気もする。やばいなー。どーするよ。

5月21日(土)
五島高校のお堀を超えてゴール
朝早くスイム会場へ試泳ツアーに行く人たちを見送り、二度寝したあと、薬局へ行き風邪薬とのど飴を買う。レースの為に慌ててオーダーしていたシロモト製セパレートタイプウェットスーツは、結局一度も試さず本番一発勝負を決めた。とてもじゃないが今泳いだりなんかしたら自殺行為だろう。午後になってぶらぶらとギアバッグ&自転車を文化会館へ預けに行く。宿が福江地区でつくづく助かった。
二人部屋の同室となったKさんは、マラソン持ちタイム2時間40分という、一般参加組としては驚異的にランが得意な40代の人で、ハワイのスロットを本気で狙っている人だった(僕とKさんの年代はそれぞれ上位6人がハワイに行ける)。風邪でブルーになっている僕を色々と元気付けてくれたのだけど、グダグダとヘタレな奴でどうもすみません。

宿で出た五島のお菓子「治安孝行(ちゃんここ)」がとっても気に入った僕は、夕方買いに出る。昨年は気づかなかったけど、この島で最も有名な歴史あるお菓子のようだ。バイクとランのスペシャルニーズバッグに入れることにした。
少しでも回復することを祈り、レースへの緊張感はなく午後7時半過ぎには寝てしまう。

5月22日(日)レース日
3:00 a.m.
さすがに昨日ずっと宿で安静にしていたのが効いたか、風邪の上にかさぶたが乗っかっているような感覚で目覚める。これで今日一日大人しくしていれば、回復するだろう、という感じだ。
とは言え相変わらずBADに近い体調で、ほとんどやる気が出ない。この1年を無駄にするのか? と頭では分かっても、気持ちは投げている。飯を1杯だけ食べて、後はおにぎりをもっていくことにした。

5:15 a.m.
福江からバスで揺られること30分、富江のスイム会場に着く。昨年と比べると風はややおとなしく、気温もさほど低くはない。だが水面は結構波立っている。
今日の天気は、曇り、雨、晴れ、とアナウンスがあった。自転車のチェーンに油をさす。雨の中、さすがに6時間も走るとチェーンが油切れをおこしやすいからだ。タイヤは通常どおり8気圧にセット。限界までコーナーを攻めるわけじゃないからね。おっと、それより今日はスタートする気あるのかね?
早々と準備を終え、スタート時刻まで冷えないように建物の脇に縮こまって時を待つ。6時をまわり、周囲は徐々にウェットスーツに着替えていた。スタートまでまだ長いのになあ。というより、未だに全くその気にならない自分。Kさんには、「選手じゃないみたいですよ」と言われてしまった。
ふと振り向くと、黒いウェットスーツに身を包んだリサ・ステッグマイヤー嬢が長い髪を整えている姿が目に入る。オオー、ウェットスーツがこんなに似合う人は初めて見たぞ。というか、何を着ていても良かったんでしょうけど。嫁さんにもらいそびれたのは、つくづく惜しいことをしたなあ(冗談ですが、たぶん本音です)。意外と小柄に見えたのが印象的だったが、のちに僕と全く同じ身長であることを知った。
リサさんの姿を見たらやる気が出てきたので(ウソです。話作ってます)バイク用のホットクリームを塗り始め、ウェットを着、スイム会場へチェックインする。実はこのシロモト製ウェット、今までとは大違いで瞬時に着られる。もうこの頃は雨がシトシトと降っていて、どよーんと寒々しい光景が僕の心を映し出しているかのようだ(暗すぎ)。
最初は水が冷たかったがフルウェットのお陰で慣れればさほど寒くない。浜から200mほどの、フローティングスタート位置まで泳ぐと、髭が特徴的なマイティのタッキーさんを見かけて思わず声をかけた。しばし会話した後「どっちの方向に泳げばいいんだ?」との声に「どうせトップじゃないんだからまわりに着いていきゃいいんですよ!」と吐き捨てるように言う。なんか、おいらは虫の居所でも悪いんですかね???