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7:00 a.m.スタート プゥーーーーツ。スタートのホーンが自分に向けて鳴ってないように聞こえるのは、スイムキャップ2枚重ねだからではあるまい。811人の物好きたちが泳ぎだした。 スローペースで泳ぎ始め、慌てずに効率よく、を言い聞かせて、4回に1回のブレスを厳守する。さすが?シロモト製、フルウェットでも肩の回しに何のストレスもない。下半身は浮きすぎるくらい浮く。右手に見えるブイはスタート早々遠くなっている。集団を逃れかなり左にそれているらしい。つねに左に逸れるのは昔からの癖のようだ。 海水は濁っていて海底はぼんやりとしか見えない。昨年ほどは船舶の排気ガスに悩まされることもなく、まだかなーまだかなーとの思いで最初のコーナーブイを曲がる。方向が変わっても波で水を飲むようなことはなく、今のところ順調だ。寒さは少し感じてきたが我慢できないほどではない。 さらにブイを曲がり、岸へ向かうと、追い潮(?)となり泳ぎやすくなった。ひとかき毎にクイッ、クイッと進む感じがよく分かる。なんだか昨年より素晴らしくいいタイムが出そうだぞこれは! と急に前向きな気分になる。単純な奴だ! 少し余裕も出てきたところで、過去にどうしても出来なかった「泳ぎながらアレをいたす」ことをやってみる。3分くらいわが身の自己暗示機能と格闘した末、搾り出すようにチョロチョロと出てきた! 後ろの人、すみません。しかし、渾身の力を下半身に込め続けないと、すぐ出るのを止めてしまう。かなり体力を消耗した気がした。 そんなことをしているうちに1周目が終わり、一度浜に上がって折り返す。 そこでラップを計った。 再び気持ちはブルーになって、2周目に突入。やはり往路は波があって泳ぎづらく、また寒さも徐々に堪えるようになってきた。早く終えなければ風邪をこじらせる、という思いが一層強くなった。シロモト製ウェットの浮力が強いために、下半身は全く動かす必要がない。それが余計寒さの原因だと思ったので、無意味とは思いつつキックを織り交ぜて身体を温めることにした。1周目よりはコース取りを多少吟味して泳ぐ。復路では腹がゆるくなってきた。先ほどの踏ん張りのために、腸が予定外活動を起こしたようなのだ。いらんことをした。 寒い寒い、と水から上がってスイム終了。予想タイムの70分を余裕でオーバーする72分40秒。昨年はタイムの悪さをひたすら寒さのせいにしていたが、万全の態勢でコレだから、実力通りだったのかもしれない、などと思う。 スイムタイム 1:12:40 前半33:41 (114bpm) 後半38:59 (106bpm) 平均/最大心拍数 110/127bpm (陸に上がっているときを除く。心拍数が急上昇するため) 予定通り簡易トイレ直行。さらに今回は海での余計な力みが奏功して腹の具合が悪いので、レース中初めて・・・以下略。 着替えテントに入り、「Since2004」の奇妙なロゴ入りJCRCソックスを履く。その意図はもちろん「バイクパートはローディになったつもり」で。外は無茶苦茶寒いけど、ここで長居してはイケナイことは学習済みなのだ。昨年は、ここでお風呂に浸かってたらタイムアウトになった選手がいると聞いた。痛いほど良く分かる話だ。お風呂があるなんて知ってたら多分僕も入っていただろうな。 8:18 a.m. バイクスタート 雨がシトシト降り、身体を濡らしつづける。目論見は外れ、バイクパートに移っても全然身体は温まらない。これは厳しいぞ。 この頃はハッキリ言って、レースを半分投げていた。この体調ではどこまで持つか分からない、せめてバイク終了までは同室のKさんから逃げ切ろう、という妙な競争心が働いていたのは事実だ。Kさんのランが速いのはもちろんだが、その調子だとバイクのレベルも遥かに上かもしれなかった。「このごろの得意な種目はバイクです」などと自己紹介してしまった手前、バイクで追いつかれるわけにはいかないのだ。あるいは、スイムですでに先行されているかもしれない。ならば尚更追いつかなければならないのだ。 そんなわけで、寒さに抗うためにも、後先考えずガンガン飛ばし始めた。この頃は人口密度も結構あるから、面白いように選手をパスできる。さすがVXRS、平地なら40km/hオーバーで巡航可能だ。 だが、上り坂がイマイチスピードに乗れず、早くも太腿前面付近に疲れを感じつつあった。こんなに早く疲労感が出るのは、やはり風邪のせいと思いたくなる。困惑しつつも、一度上げたペースを落とすことが出来ずにいた。 30km付近、一つの折り返しポイントがあり、徐行してパイロンを回ろうとした矢先、事は起こった。 カーン! という強い金属音が響いたと思ったら、続いてシュルシュルシュル・・・と不吉な音がする。なんだ? パンクか? 緊急停止し、音のする前輪のタイヤを調べたが異常は見つからず、気のせいかと一度は走り出す。しかし、シュルシュルシュル・・・という音が消えない。 再度停止して見てみると、ブレーキシューがリムに押し付けられているではないか。クイックが緩んでホイールセンターがずれたわけでもないようだが、何でだ? ここでリタイヤ決定か? ちょっと早いけど、リタイヤでも良いかな・・・と思う自分がいる。 よく見たらつまりはこういうことだった。18本構成のスポークの1本がどういうわけか極端に緩み、テンションを失った部分のリムが大きく(5mmほど)振れてしまったのだ。工具は一切ないので、ブレーキアーチを最大まで広げ、さらにネジを回してワイヤーを緩め、ようやくシューが当たらなくなった。なんだよ、走れそうだ。ロスタイム1分30秒。 が、そのあまりにも大きなリムの振れが、まるでヨレヨレの車のタイヤみたいに、今にも外れそうな、信頼性ゼロの不気味な姿を呈していた。すでに後輪のZIPPは一部が破損しておりデリケートなブレーキングが難しく、前輪の役割が大きかったのだが、こともあろうか両輪とも不完全状態で雨の中の火山列島を疾走しなければならないのか。 だが、ここで我に返るきっかけにもなった。間違いなくハイペースだった。投げやりな気持ちを改め、もう少し後を考えて走ることにしよう。ここまで作ったアドバンテージはあらかた消滅し、一度追い越した選手をまた一人ずつ追いながら、すこし大人の走りを心がける。コーナーでは必要以上に恐る恐るクリアする。とある直角コーナーで前の選手が視界から消え、畳で作った壁にブチ当たっていた。慎重すぎるくらいで丁度いいかもしれない。 寒いのは相変わらずだが! ![]() バイク60km地点、実はまたしても尿意が限界に来ていた。150mの標高差を上るコース一つ目の長い上り途中[A]、道端の草むらに立ち寄る。1分40秒のロスタイム。レース中3度目のトイレ(海中含む)。 83km地点[C]、スペシャルニーズを受け取り、早速「ちゃんここ」を口にほおばる。キナコがふんわりして幸せ気分。そのすぐ後に、バイクコースのハイライト、3kmで100mの上り坂[D]が待っている(この荒川〜二本楠間は都合3回通過することになる)。ORBEAに乗るヘビー級な外人があえぎながら上っている横で、スペシャルドリンクの紀文豆乳をチュルチュル飲む。和菓子とのコンビは絶妙ですよ。 今年もこの坂では、赤いTシャツ応援団が巨大ウチワを持って応援してくれる。だが今日は寒さでウチワがお役御免で、やや手持ち無沙汰か? 風ではなく熱気をもらって上った。 二本楠交差点[E]を曲がり、周回路へと入ると、暫らくは追い風で40km/hオーバーで走れた。20kmほど過ぎてそれが向かい風に変わる頃に、トンネルが増えてアップダウンが激しくなる。このトンネルは照明が少なく中が真っ暗なので気をつけたい。今年はここでセンターのポールに気づかず大転倒しリタイヤした人がいた(宿で一緒だった)。 エメラルドの海が美しい高浜ビーチ[F]が、今日はさほど綺麗に見えないのが残念だ。この空模様じゃしょうがないか。雨はほぼ止んだので、これから徐々に気温も上がるだろう。 周回チェックのリングをもらい、1周を終えて合流する。以降は周回遅れの選手をパスしながら走ることになり、精神的には楽だ。なんと! またしても尿意は限界に達していたので、2本目のハイライトの上りに入る前にトイレで軽量化。ロスタイム2分。そうやって何度か立ち止まるため、同じ人を繰り返し追い越す羽目になる。相手にしてみたら、ギョッ、なんでまたお前なんだよ! ってところだろう。1周目で追い越した外人にまたここで出会う。 マイボトルがなくなり、初めてエイドでボトルをもらう。相変わらずボトルケージに1本のみ装着である。しかしながら周りを見渡すと、フレームに2本、サドルの後ろに2本、ハンドルに1本、ボトルをつけているという選手もいる。このクソ寒い中、何をそんなに飲みたいんですかね? 次は抹茶味、その次はバニラ味とか楽しんでいるんですかね。それともボトルマニアですかね。まったく理解不能。 今回のレースでは一つ考えていたことがあった。それは、「水を摂りすぎないこと」。エイドがかなり豊富にあり、毎回「何が欲しいですか?」との売り込み体勢で待ち構えているため、摂取過剰の可能性もあると考えたのだ。そうでなくても、もうすでに4回も用を足し、その度に多大なロスタイムを生じさせている。尿にしかならないんじゃ、摂っても無駄だと考えたのだ。 もう一つ、それは「塩分を摂ること」である。過去にも散々塩分の重要性については聞かされてきたものの、実は一度も摂ったことがなかった。だが、最近ふとしたことでその認識を新たにしたこと、また同室のKさんが殊更塩分について気を配っていて影響された部分もある。別に大したことではない、バイクパートでは梅干を一つ食べただけだ。スピードがあるので梅干のようなものを手渡しでもらうのはすこし難しい。 他に、バナナは1本分、オレンジ2片程度、ポケットのパワージェルを一つ食べた。 周回路も2周目。135km地点でマイティの怪鳥氏を見かけ、ご挨拶。この頃になると気温も上昇してきて、かなり走りやすくなってきた。前半に感じた脚の疲労感はむしろ消えて、粘りのある脚になってきている。ノリノリ気分だったのかもしれない。坂もまあ、ハイスピードとは行かないがタレずにクリアできる。 150kmを過ぎたあたりでふと時計を見ると、6時間2分と出ている。バイクフィニッシュまであと30kmだから約7時間。まてよ・・・。ってことは、ランを仮に4時間で走るとトータル11時間か。4時間15分としても11時間15分(あたり前過ぎ)。マジかよ! 昨年より断然速い! 計算違いをしてないか何度も確認するが、間違いない。これは楽しみなことになってきたぞ。 3度目の上り区間に入り、えっちらおっちら上っていると、去年五島で知り合った北海道のHさんに後ろから声をかけられる。あれ? 気づかずに追い越してた。僕以上に寒さが堪えたとのことで、疲労感も伺えた。しばしの歓談後、ゴールで会いましょう! と再び黙々と進みつづける。 頂上では一人のオヤジさんが僕の名を呼んで応援している。「覚えてますかぁ?!」「ああ!、去年の!?」。福江港で話し掛けられ、ランやゴール地点で応援してくれた謎のオヤジさんがまた今年もやってきたのだった。「ゴールでも応援してますよ!」「ありがとう!」 二本楠を直進して周回路を離れた。36kmの周回路のラップタイムをここで調べると、トイレタイムを省けば数秒と違わぬ差で走っており、見事にイーブンペースだった。だがこの二本楠から先も結構な上りが待ち受けていて、一気に疲れさせてくれる。バイクフィニッシュ7時間はかなりオーバーしそうだ。ラスト30kmをアベレージ30km/hで走るのは厳しいということ。 ところが、やはりバイクコースは180kmにはるかに満たない176.4km程度しかなく、ほぼ7時間でフィニッシュした。あまりにも距離に誤差がありすぎじゃないですかね? 山本光宏さん。 走りながらバイクシューズを脱ぎ、裸足でテントへと走る。 真っ黒になったJCRC靴下を取り替え、帽子を被り、補給食を持って出る。雨はすっかり止んでいたので、透明のカッパは持たなかった。第2トランジットは75秒で終え、ヘタなショートより短い。DJに紹介されながら、ランパートに入る(この時点で総合90位)。 バイク実質タイム 5:42:26 平均速度31.3km/h(バイク距離176.4kmで計算) 平均/最大心拍数 130/150bpm 獲得高度 1895m 2:02 p.m. ランスタート この時刻にバイクフィニッシュする選手の、ランのレベルは僕とは雲泥の差であった。 ハッキリ言って、別のカテゴリーのレースに紛れ込んだ気分だ。「オマエにはまだ分不相応だから出直してきなさい」と言われそうな気分で、恐縮しながら隅っこをトボトボ走る。それでも1km目のタイムは4分54秒で、自分としてはとんでもなくオーバーペースである。さすがにこれではイカン、とすこし抑えて走るが、後ろから次々と倍にも見えるスピードで追い越される。第一、息づかいが違うよ。ハアハア言って今にもぶっ倒れそうな限界走行。そんなんで、42kmも走り通せるのか? 僕なんか、鼻でも息できるよ。 沿道の人の目も、明らかに他と違うペースの奴がやって来たということで、大丈夫なのか?とすこし心配そうな目つきだ。ある人には、「いいぞ、いいペースだ(だから諦めるんじゃないぞぉ!)」と励ましのお言葉を頂いてしまった。 最初の1kmの折り返しを過ぎて、同室のKさんとすれ違う。一応バイクまでは逃げ切れたよ。でも周囲よりさらに一段と速いKさんの走りはぶったまげた。上下完全にマラソン用ウエアをまとい、大腿筋を総動員した走りは実業団マラソンランナーみたいに見えた。[後日追加:Kさんのバイクスプリットタイムは僕より速く、勝てたのは結局スイムだけだった] 調子が崩れる前に、との考えで3kmでトイレに寄る。その間にKさんが追い越してくれたら、きっと不思議に思うだろうとちょっとしたいたずら気分もあったが、意外と追い越されなかった。ロスタイム1分。 今のところ、キロ5分20秒前後で予定より速いペースだ。調子は悪くないが、このまま続くとは到底思えない。アップダウンが敏感にペースに影響していることから、主要な脚の筋肉はすでに果てている状況だろう。でもさほど絶望的な気分にならなかったのは、感覚的に昨年よりはマシだったので、タイムもそれよりは良いことがほぼ保障されていると思ったからだ。昨年と同タイムで走ったとしても、トータル30分以上更新できる。これは嬉しいことだ。期待がエネルギーになっているかもしれない。また、ドイツでの走りのイメージが残っていたことも大きい。 だが、6kmほどして状況がすこし変わってきた。いつになく寒さを感じるのである。 そこで気づいた。まだ昼間の午後2時という時点ですでに寒さを覚えるというのは、これから夕方、夜にかけての冷え込みに耐えられないのではないか。そう思うとぞっとすると同時に、珍しく気分が悪くなってくる。レース中に気持ち悪くなって戻すなどのことは前例にないが、いまは急激におかしくなりつつあった。トランジットでカッパを取らなかったことを激しく後悔する。とは言え、この時点でカッパを着る奴も間違いなく誰一人居ないであろうが。 何か食えば状況が変わるかもしれないと思い、あまり乗り気でなかった補給食をポケットから取り出す。3日前にオシュマンズで買ったばかりの見たこともないバー。プロテインと書いてあるから、どうやら筋肉パワー系食品だったか。アイアンマン違いだね。 パッケージを剥いてみると、中から出てきたそれはなんと! おいらの好きなチョコだよラッキー♪ 中はグニョーっとしていて、つまりはスニッカーズみたいなものだったんだけど、おいしく頂きました。 すると気分の悪さも見る見る吹っ飛んだ。要するに腹が減っていたのだ。寒さも徐々に気にならなくなり、調子が戻ってきた。またしてもおいらって単純な構造だね。 淡々と歩を進める。17-18km区間の長い上りでペースが落ちたが、6分7秒に留めた。6分台を出すことは極力避けたかったのだ。先ほどバイクパートで出会ったオヤジさんをまた見かける。今年は厳しい場所をちゃんと心得て観戦しているようだ。「オジサンどうもぉ!」「まだ1周目かい?」「そうですよ」「ゴールでも待ってっからねー!」「ありがとー」 昨年、脚が動かなくなってきて日和見目的で立ち寄った簡易トイレを懐かしく過ぎ去る。ここを問題なく過ぎることが出来たのは大きな自信へと繋がった。 21kmの看板を過ぎた。タイムを見るとトータル8時間56分で、前半を1時間54分ほどで走っている。ランで念願の4時間を切るためには残り半分を2時間5分、トータルで11時間を切るには2時間3分で走らねばならない。厳しいが、狙えない目標ではない、ということを知る。もちろん今の時点で可能かどうかは全く読めない。この脚がどこまで持つのかは神のみぞ知るだ。 市街地の石畳の道で1周目のリングを貰う。昨年の見覚えのある景色と、その時の辛さがリンクしていたが、今はかなり余力を感じる。 24km過ぎ、ランのスペシャルニーズバッグを受け取る。特に欲しいものはなく、通り過ぎても良かったけれど、パワージェルと二つ目の「ちゃんここ」をポケットに入れた。 この後の数キロが最も厳しかった。上りが多く含まれ、所々斜度もキツイのだ。キロペースはほぼ6分に落ち、いよいよパワーも尽きてきた頃か、と観念し始めるが、今年の脚は粘りがあるはずだ、と自分を信じている部分もあった(とクサいことを書いてます)。 坂道などで辛い時は側溝の蓋の上を走った。なぜか分からないが、状態のいいアスファルトを走るよりも、石の素材でできたドブの蓋の上を走るほうがやる気が出るのだ。足場は安定しないし、どう考えても不合理で自分で説明がつかないのだが、その違いは明らかだった。 坂がなくなり、暫らくは平坦路と分かると、復活を信じて腕を強く振りペースアップを心がける。調子もすこし上向いてきた。背中には相変わらずパワージェル、ちゃんここ、羊羹などが入っていて走るたびにガサゴソと音を立てているが、そのリズミカルな音や感触が悪い気はしなかった。 30km通過。この30という数字は嬉しいね。残り12kmを、72分で走れば11時間を切れることが分かった。この時点で、意識は11時間切りの方向へとシフトする。ちょうどキロ6分のペースだ。まさかの失速さえなければ無理な注文ではない。ならば精神集中のために、最後にトイレでも寄っておこう。ロスタイム1分20秒(これこそ単に日和っただけかもしれない)。 ラスト10kmというところで、タイムは10時間と17秒。つまりほぼ1時間で走れば良いのだ。昨年もやはり、トータル12時間まであと1時間(と3分)だった。しかし、12時間は切れなかった。なんて運命的なんだろう。今年こそ11時間を切れよ! ということだろう? やってやるぞ。 不思議とさほど辛くはなかった。自分でも驚いたことに、スタート直後のペースで再び走ることが出来たのだ。我ながら上出来な走りに、なにか落とし穴でも待ち構えているのかとさえ思う。 相変わらずネズミのように側溝の蓋を走る。細かく刻まれたスリットや石の材質感が足の裏に心地いいのかなあ? 謎。 1周目で6分以上費やした坂区間を2周目は5分55秒でクリアした。ここをきっかけとしてガクッと失速することを懸念していたが、そうはならなかった。これは行ける。徐々に11時間切りが射程圏内へと入ってきた。そうなるともう嬉しくてたまらない。安定して歩をすすめ、余裕を感じながら五島高校の門へと来た。 やはり、自分のゴールを待っていたとしか思えない素晴らしい歓迎を受けながら、最後の花道を充実した気持ちで駆け抜けた。応援してくれた大勢の人たちへ最後の感謝を表明しようと、満面の笑みでゴールテープを切っていたと思う。記録は信じられないくらい良かった。10時間55分17秒(総合117位)。 ![]() ランのタイム 3:53:06 (キロペース5分31秒) 10.86km/h 平均/最大心拍数 134/146bpm 獲得高度 275m 昨年の結果を見ても、ラストの1.2kmは実際には若干短いようだ。また、歩かずに走りとおせたことはロングレースで初。 |
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