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2010かすみがうらマラソン参戦日誌
2010/4/18 42.195km 今回の目標は二度目のサブスリー。昨年の東京マラソンの一回ポッキリでは、ただのまぐれ?と言われてしまう。いや、誰もそんなこと言わないと思うけど、自分がそう思ってしまう。二度三度クリアして初めて本物といえるだろう。 だが正直なところ今回の目標クリアにはかなり不安があった。まずは一応全力出したのに散々な結果だった12月のシンガポールマラソン。2、3月で落ち込んだ練習量(月平均114km)。わずか25km地点で潰れた、2週間前の30km走。そして高値安定している体重(62.2kg)。レース用シューズの準備がない、という点も大きかった。昨年からアヂダスが自分の足に合わなくなり、ここ1年半ほど練習用シューズしか買ってなかった。アシックスに鞍替えするつもりだったがついつい面倒くさがって結局買わずじまい。 そんなわけで、とりあえずフィット感は文句なしのアディゼロBostonを履き、かつてのレース用アディゼロLT3を保険で持っていく。Bostonはレース用としては重く、LT3はすでにヘタっていてホールド感、反発力がない。 6時15分に家を出る。10時スタートを考えると朝ごはんは常磐線各停の空いた車内で自前のおにぎりを頬張るのがちょうどいいと考えていたが、バッグから漂ってくるたくわんのあまりの屁臭さに開ける勇気がない。途中の南柏駅で降りてホームで急いで食べる(アホですか)。終点の取手で常磐本線に乗り換えると、今までにない激混み状態で、もしかして乗れないかもと焦ったほどだった。 8時に無事土浦に到着。レーススタート位置の変更とともに、今年から大会会場内の他のレイアウトも微妙に変わっている。過去最大の2万5千人が集いながらも、従来よりゆとりが感じられ良くなった印象だ。トイレもあまり並ばずに利用できる。いつものトラ仲間と10マイル参加のかおりさんとで野球場内の芝生に陣取って準備開始。 今年は時間も十分あり準備は滞りなく完了、と思ったが直前になってやはりBostonの280gが気になりだし、ヘタっていても軽さのLT3に履き替える。晴れていて暖かいのでスタート位置への移動を早めに開始した。移動経路もある程度考えられており、マンモス大会らしくなってきている。ゼッケン番号頭のアルファベットで指示されたゾーンへと向かう。Aの僕は先頭だ。過去2回のスタートの大失敗は繰り返さなくて済みそうである。スタート10分前に前から10mほどのところへ入り込んだ。 ふと嫌な予感がして足下を見やると、そこには計測チップのついてないLT3が見えた。がーん! Bostonからスイッチングしたときに、チップを移し替えるのを忘れた! なんというベタなミス。そのときは確かに「忘れちゃだめだよ」って念を押したはずなのに。10分以内に荷物置き場を往復するのは不可能だろう。悪夢のような事態が現在進行形で起こっている。というか、今これは本当に現実なのか?と繰り返し問いかける。こういう夢をよく見るんだよね。 これがトライアスロンだったら絶望感に打ちひしがれていたところだろうが、順位など気にならないマラソンならまあいっか、という気になってきた。考え方によっては、シューズに余計な物をつけずに走れるからベストを尽くしたとも言える。モチベーション低下の影響は少なからずありそうだが。 そんなわけで、100万人愛読者のみなさまにおかれましては、ネットの結果速報では「出走していません」と出てご心配をおかけしてすみませんでした(かすみがうらにそんなサービスあったっけ?)。 10:00 a.m. フルマラソンの部 スタート スタートラインは16秒後に越えられた。混雑は500mほどで終わり、マイペースを維持できる。早速後ろから声をかけられた。キリオ君だった。いつもの水色のウェアを着ている。指定勝負服ですか? そういう僕も黄色い物ジャー。空気抵抗軽減と適度なコンプレッションを期待してピッチリ系トラウェアで走るつもりだったが、必要なポケットがないので結局ここに戻ってきた。フルは何かと持ち物が多い。600円のVespa、アミノバリュースティック3本、塩飴二つ、カーボショッツとパワージェル。片手にはアミノバイタルスーパーのゼリー。背中の荷物でウェアが左右に揺れるのが気になり、カーボショッツをパンツに挟んだ。収納力のあるピッチリ系ウェアがあるといいんだけどな。 1km通過は4分55秒、40秒の借金で済んでいる。1km通過が7分でもサブスリーは可能、という東京マラソンでの既成事実のお陰で、40秒くらい何てことないという余裕ぶっこいた発想になっていたようだ。あのときどんだけ苦労したんだ、ってことを忘れてる。 続く2,3,4kmは正確にほぼサブスリーペース(=4分15秒/km)を維持。あと3秒くらいはマージンを取るべきかとは思うが、身体が温まったときに自ずとペースがじわじわ上がるのを待つことにした。周りのペースよりは微妙に遅く、少しずつ抜かされる展開にいる。珍しく左のアキレス腱がじんわりと痛み、そういえばシューズをBostonで固めてきた最大の理由はアキレス腱炎予防だったなとぼんやり考える。 そして5kmに来て驚いた。4分40秒。なぬー! 明らかにこれはおかしい。周囲と比べ一人ペースダウンしたわけでもなく、また急なのぼり区間などでもないのに25秒も遅くなることはありえない。だが5km毎の位置の信憑性は高い気がするので、5km22分24秒のデータを指標とすべきだろう。借金は1分14秒に増えた。つまりペースが遅いってことだ。その時はそこまで緻密な計算をしていない。 0-5km 22分24秒 そろそろペースアップしていかなければならない。判ってはいたが、身体が現状スピードを抜け出したがらない。続く7,8,9kmとやはり正確にサブスリーペースを刻めているので、まあ上手く行っているのだろう、と安心してしまった。 スタート後しばらくは10マイルコースと共用のため、センターラインを境に左がフル、右が10マイルと決められ、中央にプラカードを持った高校生たちが立っているのがこれまでのやり方だったが、10マイルのスタート時刻が早まったせいか、この煩わしさはかなり解消されている。いつになくノーストレスで走れていることは間違いない。 そして10km地点通過でぎょっとする。4分33秒。なぬなぬー! またかよ。 5-10km 21分29秒 アキレス腱の痛みはいつの間にか消えた。ようやく調子が出てきた感があるが、軽快と呼べるほどではない。やはりこのヘタれシューズじゃダメなのかなあ。アミノバイタルスーパーゼリーを飲み干して両手が空いたのでスッキリする。 わずかに横っ腹が痛い。ランニングに際しての腹痛の悩みはもはや過去のものとずっと思っていたが、どういうわけか半年くらい前からたまに起きるようになってしまった。痛みが強くなってしまうと走れなくなるから今のうちに何とか消えてくれと呼吸を変えてみたり腹をへっこませたりしてみる。幸い大事には至らなかった。 11-14kmもやはり自称ペース職人ならではの正確なサブスリーペースを刻んでいる。がしかーし。15kmで三度来た。もう予想は出来ていたけどやっぱり腹立たしい。落差15mほどの下り区間がありながら、4分35秒。なんでやねん。 10-15km 21分31秒 確実に借金が増えているのだが由々しき事態との自覚がない。 すこし長めの上りでは足なりに。若干のロスで済んでいる。まだパワーは十分ある。 ホントに天気がいい。日差しが強いので暑くなるかと思ったが、風はひんやりとして涼しい。肩や背中がびっちり汗だくになっている人を見かけるが、僕は至ってさらさら状態。エイドの水はとりあえず飲んでいるけど、正直なところスルーしてもいいと思える程度だ。コップの中身がアミノバリューだった時は最後まで飲み切るようにしている。要するにあまり計画性がない。 ノボリを見ると風は弱いながら確実に吹いている。向かい風が少し気になるなあと感じることもあり、群衆の中に埋もれて走りたいと考えたくなるのだが、不思議と前後にはあまり人がいない。居たら居たで、おそらく煩わしいと感じたのかもしれないが。 そして20km地点を通過、ほらみろーと言わんばかりの4分46秒。これは作為的なのか。 おそらく5km毎を基点に、そこから1kmずつ4kmまでを「ちょっとずつ短めに」決めていったのではないか、と思われる。 15-20km 21分52秒 そんなわけでハーフ通過は1時間31分55秒、倍にすると3時間を越えるのは小学生でも分かる。いつのまにやら借金は2分近くにも膨れ上がっていたのである。情けないことに、そこで初めて事の重大さに気づいたのだった。東京マラソンではハーフで借金をチャラにしていたっけ。 ![]() ただ、ここからは走る向きが変わり、湖畔のくねくねした起伏のない農道へと入る(写真→)。惰性でもなんとか走れそうなイメージがある。何か変化があるかもしれないと一縷の望みを抱きつつ、こりゃダメ元でもペースアップせにゃならんとようやく思い始めた。 かといって、キロペース10秒も縮められないのだが、農道へと入ったとたんに明らかに周囲を追い越す展開へと変わった。なぜだ? 景色がガラッと変わってやる気が落ちた? かおりさんに貰ったカーボショッツコーラ味を飲む。パッケージデザインが変わり、パワージェルと酷似した形状となって開封しやすさと飲み易さが格段に向上した。味は昔と変わらない。アミノバリュースティックも飲んでおく。これは水がないと飲めないので、エイドの手前で開封して口に入れなければならないのだが、このスティックは問題が多い。まずもって、このスティックはヘビみたいに細長過ぎると思う。開封しづらい上、開口部が小さいため塞がりやすく、胴が長いために途中で中身が引っかかってスムーズに出てこない。それらの点ではアミノバイタルは優秀だが、高価すぎるのとマズ過ぎるのでNG。 そんなわけでアミノバリューを飲むタイミングを数回逃してしまった。気づいたときにはエイドを通過しているのだ。 ![]() 20-25km 21分06秒 後半に入り、スピードアップを意識してからずっと160bpm近い高い心拍が続いている。Suuntoの計測エラーかと思うほどのゾーンだ。だが息は上がっていないし、しんどさや辛さはない。徐々に疲れて重くなってきている脚がいつ音を上げるかが不安なだけだ。ただ、明らかに働きを変えた心拍と比べ、肝心なスピードはというと微増に留まっている。 このLT値を越えた高負荷をもし最後まで持続できたとしても、サブスリーの実現は難しいことが徐々に明確になってきた。現実的にはあと1時間も持たないだろう。目標はサブスリーから現状ペース維持への挑戦に変わっていた(写真は26km付近→)。 25-30km 21分00秒 30kmを通過し、残り12kmを50分とちょっとで走らねばならないと知ったとき、はっきりとサブスリーを断念する。 脚はかなり重くなってきていたが、踏ん張ればまだスピードを維持できている。たてつづけにアミノバリューを飲んだ。エイドのパンやバナナ等の腹にたまりそうなものを食べた方がいいだろうかと思ったけど、食欲はないので結局何もとらなかった。また、これまで欠かさず水分だけは採ってきたが、暑さがさほど脅威ではないと悟るとエイドを素通りする場面も出てきた。ちょっとした動作が辛く感じてきたのだ。コップを取って飲むというだけで、自分に理由を付けてスローダウンしてしまいそうだった。 いつものように足首を支える筋肉がオールアウトしてきたのが33km付近だ。蹴りだしや着地が実に心許ない状況と化してきた。こういう場合、ピッチ走に切り替えるべきか、逆にストライド走にすべきか、いろいろ試してみる。まだ足首以外は比較的余裕がある証拠だろう。 30-35km 21分18秒 絵に描いたように「魔の35km」はやってきた。目一杯飛ばし、渾身の力で脚を振り出しているつもりでも、タイムがどんどん落ちていった。やる気までが消滅し心拍が落ちる腑抜け状態は避けられている。ふくらはぎがつりかけてきたので塩飴をなめ、パワージェル梅味を飲み、二度のエイドで梅干しを貰った。口の中は強烈な味になった。後半ここまでずっと追い越す展開が続いてきたが、ペースががくっと落ちたために様相が転じてくる。背後からなにやら迫るものを感じた。 ![]() しばらくして再び脚は動かなくなり、集中力も切れかけてスローダウンが顕著になる。39km通過で4分44秒まで落ちてしまった。こうして今日のマラソンも最後はキロ5分を越えてヘロヘロとゴールすることになるのだろう、と落ちぶれた気分で走っていると、先ほどとは別の選手に追い越された(写真→)。自転車レースの習性なのか、再び背後に食らいついてみる。今度こそ無理かと思われたが、何とか着いていけた。ここまでハッキリと、気持ち一つで走りが変わると実感したこともなかった。ペースメーカーの到来に心から感謝だ。そうは言っても今度の選手は堅実で安定した走りなので、どこまで食いついていられるかまるで自信がなかったが、どうしたことだろうか、しばらくして自分でも奇妙に感じるほど余裕が出てきた。少し前に採ったパワージェルが効きはじめたのではと直感した。 ![]() そして、ギアを入れ替えて彼を抜き返す。ここに来て積極的に走れることが嬉しかった。39kmからゴールまでは悔いを残すことなくそのときの全力で走れたと感じている。サブスリーペースくらいまでは戻したんじゃないかと思っていたが、実際は4分半以上の凡庸なペースだった。こうなってからのハイペースがいかに難しいかを痛感した(写真は41km付近→)。 計測チップがないとマット通過時にピーッと音を立てないので、係の人に怪しまれないよう誰かと一緒にゴール。 40-42.2km 9分58秒 ![]() 今回、おかしいと思しきキロ表示位置でもグラフの微調整は行ってない。なので実際はこのグラフほどの上げ下げはないはず。また心拍グラフは最初の2kmほどと33km以降は明らかに計測エラーである。 ![]() 高度の絶対値は不正確。Suuntoは腕につけた状態なので気温は体温の影響を受けている。高度と気温が連動しているように見えるが、この程度の高度差で気温がここまで変わるはずがない。おそらく走る方向が180度切り替わって、時計が直射日光を浴びる位置にきたせいであろう。 3:03:21(グロス) 3:03:05(ネット) いずれも自己計測タイム。 心拍計が途中で誤作動を起こしているため平均HRやEPOC、消費カロリーなどのデータはない。 チップを外す手間が省けるのはいい(笑)。 完走賞のTシャツと帽子はチップと引き替えだったが、事情を説明したら貰うことができた。 最後にペースを作ってくれた人が声をかけてくれた。(おそらく僕が追い越した30kmあたりから)ずっとターゲットにして走ってきたという。やっと抜き返したのに再び逆転されて、少し悔しそうだったが、僕は彼に力を貰って復活することができたとお礼を言った。 あとで思い返せば、レース中辛いと感じた区間がかなり少なかった。今すぐにでも止めたいと切に願うほどしんどかったのは34kmから39kmくらい。ラスト3kmはむしろ不思議と辛くなかった。こんなことは過去に経験がない。サブスリーは実現できなかったけど、実力を鑑みた堅実な走りが出来たことで実は結構満足した。 昨日は関東地方で雪が降るなどの異常気象に見舞われたが、一転して今日は穏やかに晴れてレース日和となり、ゴール後の心地よい疲労感と充実感を噛みしめつつ、芝生でごろごろとする最高のひとときを味わう。おかげでおでこを中心に豪快に日焼けしてしまったよ。 ちょっと面白いなと思ったのが、今回のレース展開、2007年の同レースと瓜二つという点だ。30km通過まではほぼ同じペースで走っている。気温も似ているし、スタートの混雑ぶりも同様だ。そしてその時の失敗(前半で何となくペースを下げてしまったこと)をもう一度繰り返しているというところが痛い。 |
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