2023年10月-
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2023/10/1 [初Bクラス]
昨日は元気そうに見えた母が今日はかなり衰弱しており、そのまま息絶えそうな雰囲気で心配だ。正直どのくらい危機的状況にあるのか傍から見てよく判らない。不安で食欲不振だ。

夜はローラーにしておく。Cクラス最高値の3.0W/kgが前回さほど苦ではなかったので、Bクラスに初挑戦、3.2W/kgでそんなに差はないはず。適度にアップダウンがあり切れた経験もある、マクリ島の油断ならないコース。
最初はさほど無理はないと感じた。185Wくらいを維持すればいいはずだが、ペーサーは上りで飛ばすタイプのようで、200W越えでないと置いていかれる。心拍は開始後12分で早くも130台に入り、じわじわ上がり続け、持続可能でないことを示す。135bpmを越えだし、余裕がなくなってきた。それにしても心拍が高い気がする。140を超えたところで止めた。
RB23km Ma 36:50 37.6km/h HR131/143 441kcal TE4.0 187W 79rpm ↑141m

HR130台はローラーとしては今年初。恐らく負荷相応以上の高さ。病み上がりのせいか、NMNの影響か。187WはTACXでの最高値を更新したが、その割にはそこまでしんどかった印象はない。不思議だ。

2023/10/2 [NMN効果?]
ビールが今月から安くなってる。とは言え6円安いだけだ。色んなものが値上げされているから、第3のビール飲んでた人が本物のビールに切り替えようなんて発想にはならないよな。

夕方ローラー。昨日は結構追い込めたので、今日もどんなもんか量るためにソロ走を選ぶ。マクリの緩い高速アップダウン。グループライドでは強制的に180W辺りを維持して走るが、甘えなのか同じようにできない。昨日の平均187Wは正直厳しい。疲れもあるのかな。最後の5分は210Wを維持したが、心拍が一気に上がってHR140を超えた。
RB18km Ma 30:52 35.2km/h HR125/145 352kcal TE3.5 185W 77rpm ↑149m

感覚に反して平均出力は高かった。
一休みしてからジョグへ。新しい靴 SL はやや好印象になりつつある。主張はないが、効率よく身体を運んでくれる感覚はある。
ただのジョグのつもりだったが、折り返して追い風になってからは気持ち飛ばしてみた。いい感じだが最速キロ4分40止まりだ。懸垂10回。最後に歩道流しでキロ4を切る程度。
R11.6km 59:55 P5:09 HR130/154 700kcal TE4.7/2.2 167spm 25℃

最大心拍数、ローラーで145、ランで154はいずれも明らかに高い。154なんて駒沢でゲロ吐くしんどさでラストスパートしてもなかなか届かない。

グラフを見る限りエラーには見えない。ランは終盤意識してペースを上げたが、それに従って心拍が急上昇している。このレスポンスの良さは最近見たことがなかった。やはり心臓の動作が普段とやや違うのは確かだ。
そういえば昔、ローラーでHR150を超えたら終わりにしていい、というマイルールの練習を時々してた頃があった。8年くらい前だと思うが、当時でもローラーで150超えるのは大変だった。

夜、またナースコールが見当たらないヘルプ。
電話での母の悲痛な叫びが日に日に程度を増していく。ドラマの死に際のような息絶え絶えな訴えを、僕は残酷にも聞き流すしかない。本当に気が気でないし、方策もないので困った。今日は骨髄液を採ったので部分麻酔が効いているせい、と思いたい。
電話したついでに看護師に訊いてみた。声が今にも死にそうなんだけど大丈夫なんですか。あまりにバカな質問だったかもしれないが、大丈夫ですよとケロッとした返事は安心していいのか気遣いゼロなのか。本人同様僕まで疑心暗鬼になりそうだ。
新たな病棟に移ってからは面会が週三回までと厳しくなり、今日は待機日。たかが30分でも精神安定には効いていた気がするので、この変化が治癒にマイナスにならないか気がかりだ。

2023/10/3 [容体急変]
幾つかのリクエストされていたモノや、困りごと解決の道具を持参して、二日ぶりに面会に行くと、母の容体が今までとはガラッと変わっていて背筋が凍り付いた。面会をたった一日飛ばしたことが急に悔やまれてきた。
目は開いているのにすっかり反応がない。最初は僕が誰なのか判らないのかと思った。何か食べたいものは? とか、頼まれたもの持ってきたよ、と話しかけてもろくすっぽ返事がない。何も考えられない自分自身に少し困惑しているようでもあり、なーんにも考えてないようにも見える。視線は一点に固定され、まるで精神病者向けの強力な鎮静薬でも投与されたかのよう。
今朝一度だけ電話が来たが、それ以降は無くなり困りごとが減って落ち着いたのかと思っていた。そうではなく電話をかける術が判らず、そもそもその欲求自体が消えたのだろう。
それでも持って行った焼き芋には手が出たので手渡すと、いくらかもぐもぐと食べてくれた。
目がかなり白く濁っていて白内障が急速に進行しているように見えた。今までは気付かなかったのに。
このまま、外界から自分を切り離して閉じた世界に入り込もうとしている。そしてもう戻ってくることはないような気がした。僕は堪えきれなくなって、涙を流した。すると母は、いつになく強い力で僕の手を握り返してきて言った。まるで私があの世にでも行くようだね。絶対に行かないよ。ひとりぼっちにはさせないよ。だから泣かないで。と僕を気遣うことを言ったのだ。頭はまだはっきりしていた。

明らかにおかしい、と看護師に相談して、担当医師と話をさせてくれるよう頼んだ。1時間待って先生と話をしたが、バイタルに問題は見られないし心配には及ばないと言った。こんな状態なのに本当なのか? それを信じていいのか?

すっかり帰宅が遅くなり、気持ちも沈んでいたのでオフる。家のなかが見慣れた自分の家じゃないみたいだ。

2023/10/4 [言葉が出ない]
母から電話はかかってこないし、Lineも既読にならない。御守りのように扱っていたスマホも今ではたぶんどこかに転がっているに違いない。午後2時過ぎにようやく看護師から電話があり、毎日の面会を許可されたのでいつも通り4時に行ってみる。
僕が部屋に入っても全く無反応の母。
結論から言って今日は昨日よりさらに悪くなっていた。言葉を一言も発することが無かったのだ。ただ、聞くことはできているようだ。お茶を少し飲んでもらい、キウイを口に入れた。咀嚼の動作は割といいので、なぜ他がうまく機能しないのか不思議なくらいだ。
今日は何曜日か分かる? と訊くと、何かしら考えているようにも見える。そして、答えられないもどかしさも微かに伝わってくる。「言葉がうまく言えないの?」と心の内を訊いてみたが、そういったことには無反応で分析に繋がらない。障害は、言葉が出ないことだけではないらしい。
看護師に状態の深刻さを訴えたが、昼間は食事の時などに少なからず返事はあったという。だとするとこの数時間で急に状態が変化したとも言える。
聞くことはできるが、話せない。僕は、これは脳の言語中枢において、言葉を発する回路の連携が阻害された状態ではとふと思った。脳みそが何らかの都合で圧迫されているとか。脳神経外科の先生にも診てもらえないだろうかなどと言ってみたが、真剣に受け止められない感じだ。

帰宅後、敗血症と脳症の関係についてググると、敗血症関連脳症(SAE)との言葉がすぐ見つかった。割とよくあるケースらしく、対処も難しいらしい。或いは、抗菌薬の副作用かもしれない(こちらは 抗菌薬関連脳症 AAE)。最近おそらくまた抗菌薬を替えた。悩まされた全身の肌アレルギー反応が見事に消えたのだ。
いいかげん、そもそもの症状の原因を特定してほしい。藪医者認定したくなる。
不安で何も手に着かず、今日もオフる。

2023/10/5 [脳梗塞を発見]
今までの母の症状、妄想、怒り、傾眠傾向、全身倦怠感、皮膚障害、悪寒など自律神経失調、排尿障害や便秘、そして構音障害含む意識障害、これらは全て抗菌薬の副作用ではないかというのが僕の希望的観測だ。それならば投与の中止と共にほぼ回復することなので比較的心配が少ない。でももしそうなら医師の一言で安心させてくれてもよさそうなものである。
今日の面会ではさらに状態は良くなかった。呼びかけになかなか応じない。それでもキウイとぶどうをなんとか食べてもらった。ほんの数日前にリクエストされたアイマスクも、スマホも、手の届かない場所に片付けられていた。
担当医から説明を受けたが、薬の副作用という線はないと割とハッキリと言った。そして、入院が長引くとこういったせん妄状態になることはままあるということで、想定内であり病気の本元を突き止めることがとにかく大事とのことで、僕もそこそこ納得して帰ってきた。

気持ちが沈んでいて走る気分じゃないが、二日サボったので走らないと。
風がかなり強く、往路で追い風になるとペースが上がった。その勢いを持続すべく走ったので、割とおいこむことになった。懸垂10回がかなり楽に感じたのは体重減少のせいかもしれない。
R11.6km 59:23 P5:07 HR131/152 696kcal TE4.7/1.8 167spm 24℃

今日も最大心拍が異様に高い。ただ、タイム短縮に繋がっているわけではないので、単に心拍が高いというだけではメリットはない。母への不安というストレスが高心拍を生んでいるだけかもしれない。

夜、担当医から電話が来る。その後MRI検査を行い、脳梗塞を発見したという。血液サラサラ状態にあってまさか脳梗塞を起こすとは思わなかった。意識障害の全ての原因かどうかまでは判らないが、やはり二日前の態度の急変は脳梗塞によるものと思って間違いないように思う。とにかく凝固障害状態なので血栓を溶かす通常の投薬治療ができないという。
脳の異変、という悪い予感が当たってしまった。もはや絶望的なのか。どうしたらいいのか判らない。

2023/10/6 [半身麻痺を確認]
これまでの流れで行くとそろそろ昏睡状態に入るかと思ったが、部屋に入った時はTVを観ていたのでちょっと驚いた。TVというものに関心が向いている!?
脳梗塞の影響が出ているか確認してみる。残念ながら、右半身で動かせる場面は一度もなく、右半身麻痺ということは確かなようだ。言葉が出ないのも脳梗塞のせいだろう。
右手を上げてみて、というと左手が元気よく上がった。本人は、あれ? という顔をしている気がした。
麻痺で嚥下が出来ない可能性があるため、食事は禁止となった。お茶やフルーツなどを食べさせるのは数少ないコミュニケーションのひとつだったが、それも奪われてしまった。
相変わらず、手だけはぎゅっと握ってくれる。僕のサポートを好意的に思ってくれているのは幸いだ。
数分のコンタクトのあとは、イビキを書いて寝てしまった。
夜、当初の担当女医から電話がある。風邪を引いたとのことで鼻声だったが、それでも休めないのは大変だなと思った。ただ、頼むから伝染さないでください。
骨髄液検査の結果は出たがまだ血液内科の先生に相談できていないという。ざっくり聞く限り手ごたえはまたしても無さそうだ。そして新たに疑う病名として、膠原病と(リウマチに関係がある)、先生も知らなかったというTAFRO症候群という新たな名前が出てきた。ググってみると、血小板の減少、腹水増加等の点で合致する。そしてなにより、有効な治療法が未だ見つかってない難病だ。
嫌な予感がする。

日中ずっとドキドキして胸の下あたりがずしーんと締め付けられる感じが続く。胃潰瘍にでもなりそうな。
カントクが出て行った時もたしかこんな感じだったな。
色んな事に手が付けられない。必要な家事はまだ割り切ってでできるが、新しいことに臨む意思が全く出てこない。不安でそれどころじゃないという気持ちもあるし、母を差し置いてそんなことできない、と考えてしまう。それが理屈として変なのは判っていても、どうにもならない。

2023/10/7 [心拍異常]
今日も食欲不振で昼前にやっと食パン半切れ詰め込んだだけ。食材が余って仕方がない。買い物を考え直さねば。
時間の過ごし方も判らない。DuoやNicos Wegへの取り組みが現実逃避の唯一のツール。

今日はどんな感じだろうか。母にやっと会えるという期待と、悪い知らせしかない恐怖が入れ混じる。
脳梗塞の影響による新たな兆候はとりあえず見られないようで一安心、そろそろ昏睡状態かと思ったが目を開く時はちゃんとある。ただ、動作が少し赤ん坊っぽいところが見られる。意味もなく指をしゃぶったり顔を弄ったり。やっぱり認知能力が少しずつ衰えているのかもしれない。自我の消滅だけはお願いだから留まって欲しい。
一度だけ「あー」と声が出た。声を発することはできるのか。
右半身麻痺は無念にも確実の模様。
インコの動画を見せたら少しだけ興味を示した。鳴き声とか、音の刺激が欲しいな。
昨日と同様、すぐに目を瞑っていびきをかいて寝てしまったが、「がんばってね」と声をかけたら頷いた。睡眠状態とは少し違うんだろうか。

面会で会って現実に触れると、ある程度は気持ちが安定する。だが時間が経つにつれ様々な考察や妄想が心配事を増幅させ、落ち着いていられなくなる。つまり面会後すぐ走るべしと考えた。
夜6時スタートはもう暗い。
序盤、ガチ系の30代くらいの女性を前方に見つけ、スイッチが入る。やがて追い越して快走ペースになってきたが、暫くして抜き返された。今日もやや風が強く、向かい風で結構頑張る羽目に。息が苦しくならない最高速度を狙う。懸垂10回はちょっとしんどかった。
R11.6km 55:21 P4:46 HR138/158 691kcal TE5/2.6 167spm 23℃
これはもうハッキリと心拍が高い。今年3月末の似たタイムを並べてみる。
R11.6km 55:02 P4:45 HR126/135 659kcal TE4.2 169spm 16℃
心拍数がまるで違う。靴はアディオス3。それにしても最大HR158はありえない。
NMNのお陰か、異常な心労のせいか、判断が難しい。

2023/10/8 [不安の渦]
昨夜、寝床で寝付けないでいたら次第に自分の抱えている不安と恐怖が止め処なく増幅し自分が飲み込まれる恐怖に襲われた。この感覚は初めてだったので焦った。毎日少しずつ悪化していくばかりの母、悪い予感は当たり続け、病院の対応は後手後手だ。ほんの数日前までは普通に話ができたのに、決してその日は戻らないという絶望感、自我が崩壊しつつあるのに、ただじっと待っているしかないという不安と恐怖。母の頭の中の様子を自分事として考え過ぎなのだろう。このままでは母より先に僕がおかしくなってしまうかもしれない。この危険な状態をどうしたら防げるのか。母と距離を置くのはもっとダメだろう。母と同じくらいの力強い支えがあればきっと乗り越えられるだろう。こんなときにカントクがいてくれたら。
落ち着かず家の中をウロウロとした挙句、グリシンを飲んでドイツ語を子守唄に何とか寝付くことができた。明日以降耐えられるだろうか。

この頃はドイツ語をやっていても頭を完全に切り替えるのが難しくなってきた。TVを見てどうにか意識をそらすこともあるが、内容によっては諸刃の剣なのでなかなか難しい。
「ひらり」に続いて「さくら」という過去の朝ドラを観ている。あまりにステレオタイプで稚拙なキャラ付けなので観続けそうにないと思ってたが、見慣れるとこのくらいの意表を突かない長閑な話が今の自分にはちょうどいい薬になってきた。
その点では、夜ドラの「最悪の友達」は微妙だ。念願の一流企業に勤め花形な仕事を任され理解ある上司と同僚に囲まれイケメンで優しくてセレブな彼がいて温かい実家があって…。これ以上の何を望むかという社会人3年目の女性が、自分らしさを探すために仕事を休んで悩むという話。何言ってる、誰とも距離を置き体裁を繕い争い事を回避し適当にうまくやっていくその生き方は、正直な君そのものじゃないか。
Z世代の典型って感はあるが、重いよ…重すぎる…。いったいどうしろってんだ。入社3年目なんて自分がホントにやりたいことなんてまだ見極められないし、仕事の充実感だけで十分幸せに過ごせるはずなのにな。

NMNを飲むのを止めてみる。練習が好調なのは嬉しいが、今心肺等が高機能になっていてもありがたみは薄いし、NMNの影響かどうか確認したいのもあるし(もしそうなら即効性も確かだ)、それと、今の不安と悩みにも敏感に反応する作用が強いかもしれないと思って。

日曜の今日、姉貴も一緒に面会する。
まあデリカシーのない人で、母に向かってぞんざいな質問を投げつける。返事ができない人には答えようがなく、それを訊いたところで何になるという質問。
すると母が露骨に嫌な顔をして言葉にならない声を上げた。イヤという意思表示をしたのだ。ある意味新しい刺激が入ったか。
母が好きな笑点が始まったのでTVを点ける。笑点だよ、などといろいろ話しかけていたら、確かにこう言った。「さ わ が し い!」つまりうるさくてTVの邪魔だと伝えたいように聞こえた。
言葉らしい言葉を発したのは、話せなくなって以来初めてだ。これは新しい。
でもまた後日「あの時は話せたんだけどね」みたいなぬか喜びで終わるかもしれないし、期待し過ぎるのはやめておこう。
先生からいつになく長く詳しい説明を聞いた。まず、敗血症の疑いはほぼ消えつつある。胃カメラ検査をしたが、悪性腫瘍の可能性もほぼない。血液疾患として、TAFRO症候群とかいう新たな疑いが挙がった。可能性は高くないが少し残されている。膠原病として抗リン脂質抗体症候群(APS)が、これも高くないが可能性が少し残る。いずれも難病であり、そう分かったとして全く嬉しくはない。血栓性微小血管症(TMA)の疑いは否定的。
いまだ全く特定できず途方に暮れる。一体何の病気にかかってしまったんだ? 教えてください・・・神様。

自分の正常心がもはや自分で保てない恐れ。
姉貴に、ウチから仕事場に通ってくれないかと頼んだ。夜、誰かが同じ屋根に居てくれるだけで救われるから。
だが、無理と言われる。どうして? 浦安から職場までは50分程度はかかると思うが、なぜできない相談なのか。
一生に一度のお願いだがと食い下がるも、日曜だけならとか、家で仕込んでいる食材が無駄になるからとか、早朝に出て行って深夜に帰ってくるけどいいのかとか(ラッシュ回避と皇居でジョギングするため)、僕が冗談で頼んでいると思っているのか?
散々ごねられたが、まずは2,3日だけでもいいから助けてください、と涙ながらに懇願し超渋々承諾してもらう。
こんなにも冷たい人とは思わなかった。

2023/10/9 [ドレナージ抜ける]
昼、病院から電話があり、胆のうのドレナージが自然に抜けてしまったので抜いてみることにしたという。もう1カ月近く無用に入りっぱなしだったドレナージ、ようやく母の念願かなって外すことができたのは朗報だが、腹水や胆汁を排出する経路が無くなった影響がどう出るか不安は残る。

祝日の今日も姉貴と面会する。会うなり母が手を握ってきて、何だか伝えたいことがあるように見える。普段と呼吸の様子が異なり、泣いているようにも見えた。悲しい感情を見せたのは初めてだった。
もしかするとドレナージが抜けたことで腹が痛むのだろうか。口呼吸がずっと続いてきたせいか、舌がすっかり干からびて状態が悪い。
全く動かないと思っていた右手だが、僅かに握力を感じる時があった。これは看護師さんも気付いていたようだ。
今日は一度も目を開いてくれなかった。TVは観ているようなので、視力が落ちているわけでもなさそうだが。僕らと目を合わせたくないのか。明日また来るのを楽しみにしてるね、と声をかけると、しっかりと頷いてくれたので、僕らが来ることを嫌がってはいないことだけは確か、と願いたい。
しかし、全体的に昨日のような手応えがなく大きな不安を抱えたまま帰ることになってしまった。そのことで自分がまた悲観的思考のスパイラルから抜け出せなくならないよう注意しなければならない。
冷たい雨の降る日で、気温は15℃まで下がる。姉貴はジョグに出たが、僕はその気になれずにまたオフった。

2023/10/10 [おかあさん]
母の容体の印象と、その後の僕の心の動揺は比例することが身にしみてわかってきた。不安と悲しみが消えず、心臓が常に高鳴って食欲が全くない。ドイツ語にも集中できず困った。撮り貯めたドイツ語講座で屈託ない笑顔の鎮西寿々歌を見ていると少し落ち着く。
2時ごろローラーに跨ったがMP3プレーヤがバッテリ切れというつまらないアクシデントでやる気をなくす。満充電したはずなのに、主電源ON状態だったためにまた空になったらしい。それってUIとしてどうなんだ?

4時面会。脳梗塞を発症してから、早いものでもう1週間…。
口腔ケアが出来てないのか歯が一部黒くなってる。口がすっかり乾いて舌も悲惨な状態、かさぶたのようなものがたくさんできている。と、観察していたら急に何かを喉に詰まらせたように苦しみ始めた。ちょっとヤバい感じだ、そしてのどを触りながら微かに「く る し い」と言ったように聞こえた。焦る…
その後なんとか落ち着いたが、いつなんどきこんなことが起きたらと思うと・・・。言葉らしいものが出たのは少し嬉しいが。
昨日よりも首まわりの浮腫みがさらに目立ち、まるでマツコだ。呼吸が苦しかったのも気道が狭まっているせいなのか。もしかしてドレナージが抜けた影響だろうか。このまま風船のように全身が膨らんでいってしまう恐怖に襲われる。
ここ数日気になっているのが、全身性浮腫の状態で唯一左腕だけが全く浮腫んでいない点である。この区画だけはなぜか正常な状態を保っているのである。パンパンの右手は子供みたいなのに。そして、積極的に動かせるのも唯一その左手である。動かせるから浮腫みがないとも言えるが、逆に浮腫んでないから自由に動かせるんじゃないか。これは病気の解明のヒントにならないだろうか。たとえば血液ではなくリンパ液が関係しているとか。
そういえば初めて、ゆっくり「おかあさん」と呼びかけてみた。
しっかり頷いた。条件反射かもしれないが。ただその後は相変わらずずっと寝てばっかりで「一度でいいから目を開けて僕を見て」って言ってみたけど届かなかった。

帰宅後ザーッと雨が降ってきたので、ローラーのリベンジ。Cクラス2.8W/kgグループライドで余裕をもって長く走ろう。Watopia大周回コース。
だが担当医から電話があり、途中終了。マツコ級に溜まった胸水を採取してTAFRO症候群かどうかを確かめる検査をするらしい。腹水と成分が違うのか?
RB14km Ma 23:00 37.4km/h HR119/128 182kcal TE3.0 169W 77rpm ↑81m

再開する気はなく、既に雨は止んでいたので走りに出ることに。勢いでやっていこう。
NMNを飲むのを止めて三日経つが心臓は高まっている。ローラー後だし当然か。腹は減ってないが力が出ない感じがあったので短めに。最後は割と調子が戻ってきて歩道流しは瞬間キロ3分30まで上げた。懸垂10回。
R8.4km 43:57 P5:14 HR128/149 505kcal TE3.9 166spm 23℃
相変わらず心拍は見合わない高さ。歩道流しでHR149に到達。NMNのお陰ではなかったか、それとも効果が持続中なのか。
このところ安静時心拍も高く、35bpmが三日続いた(今日は33)。間違いなくこれは絶えない不安が生みだしたものと思う。とは言え、精神的に参るほどになったのは、脳梗塞を起こした10/3以降であり、高心拍が出始めたのはそれより前の9/28から。NMNを飲み始めたのは9/26からだ。

2023/10/11 [目を覚まさない理由]
食欲減退で一日のカロリー摂取はたぶん普段の2/3以下に減っているが、幸か不幸か体重は58kg程とさして減っていない。活動量も著しく減っているためだろう。
9月の運動量は普段の半分以下だった。これは食欲ではなく風邪が2週間以上のさばった影響が大きい。
・風邪発症の先月14日から今日昼までのトレーニング負荷推移


英独の話。ドイツ語の fertig は、「準備できた」とか「終えた」といった意味の形容詞だが、これを含む文の英訳が、
He’s finished.
と出てきて戸惑った。あれ? なぜ受身形? He's finishing とかじゃなくて?
そっか、この短縮形は He has finished のほうか。
と解釈することにしていたが、どうもしっくりこないのでググってやっと気がついた。
この手の finished は形容詞である(口語的用法)と。そっか、ドイツ語と同じだったんだ。なるほど~。
改めて辞書を見ると be finished with~ で、~を終える、という成句があった。
簡単な英語でもまだまだ知らんことが多すぎる。

面会、ほぼずっと寝ていて起きなかった。毎回、会った直後は一瞬覚醒するようなのだが、大抵はすごく苦しそうで、今回はうめき声を上げたので驚いた。その後は声をかけても起きない。
もしかすると、起きるのは辛いから、逃げるために眠りに入るのだろうか。寝顔はすやすやと穏やかさが見られた。
帰りがけに動いたので、「暑い?」と訊いて布団を少しはだけたら、苦痛な表情になり「暑くない」と言ったように聞こえた。
血中飽和度の値が93くらいに落ち、鼻に再び酸素が入った。
いつになく絶望感に見舞われ、悲しみに暮れながら帰る。母のスマホを持って帰り、緊急連絡等がないか念のため調べる。しかし、スマホほどその人らしさを凝縮した機器もない。何とも辛い作業だ。

2023/10/12 [呼びかけることの重要性]
NMNを飲むのを止めるのを止めた。止めても平時心拍の高鳴りに変化がないので。
オムツを買いに行ったついでに、ふと思いついて毛穴パックを買う。鼻の頭が黒ずんでいるのが気になっていた。これはいい話のネタになるかもしれない。
4時面会、今日はちょっと進展があった。反応がいい。目は閉じたまま、こちらの言うことに対して頷くだけだが、その回数は合計7,8回はあったと思う。これは今までになく多い。
常に苦虫を噛み潰したような顔から、穏やかな表情になりつつもあった。苦しみが少し薄まっていて不安が少なそうに見える。もしそうならこちらとしても本当にうれしいのだが。
居合わせた看護師さんが「目を開けられる?」との問いかけに懸命に開けようとしていた。酔っ払いの開こうとして開かない目みたいな感じ。でも看護師さんによると昼間に名前で呼びかけた時はパッチリ開いてたらしい。
仙台の叔母さんから母のLINEに入っていたメッセージを読み聞かせることにした。叔母さんが、きっと聞こえているから呼びかけたほうがいいよと勧めてくれたのだ。
話は概ね聞いていたように感じる。これは続けるべきだと感じた。
握った手を離そうとしたら離したくないような仕草もあった。
鼻パックは結局時間が無くてできなかった。明日にするね、と言ったらちゃんと頷いた。
帰りにカーテン越しからそっとじゃあねと言ったら、うー、と返事があった。
この反応の良さは、もしかして長い眠りからようやく覚めたのではという好印象を持った。その嬉しさで胸の苦しさがふっと消えて、食欲も少し出てきた。食欲って、不安という蓋の下に隠れている状態なんだな。

気持ちが上向いているうちにローラーに乗る。
Bクラス3.2W/kgのグループライド@マクリ島、きつめだが行けるか。
たった8人しかいないのですぐに切れそうになり、結構しんどい。特にペーサーは上りで容赦ない。次第に140bpmも超える。フケがいいのだけは相変わらずだ。限界が来て終了。
RB22km Ma 37:15 35.5km/h HR133/145 451kcal TE4.1 187W 78rpm ↑148m
ローラーでHR133は今季最高か。
やっと入手できた血液検査の最新版を見る。どの値もさらに悪化していた。病の峠を越えたのでは、という淡い期待はデータ上は全く示していない。まあそりゃそうだなと思う。脳梗塞を起こした10/3ですら、まだ目は開いていたし焼き芋を頬張っていたんだから。
一縷の望みが今の僕の全てだ。

2023/10/13 [ミトンの苦しみ]
リフォームの準備でメーカーによる現場下見が行われた。さて実際リフォームはうまく進められるのだろうか?

昨日の面会では希望をもって帰ってきたのに、時間経過と共に不安が再び勝ってしまいまた食欲のない状態に戻る。
鼻から管を通して食事を胃に入れることになったとの連絡。またQoLが低下すると思うと断腸の思いだが、栄養が確実に胃に届く点はかつてないメリットだ。今や僕が最も期待するのは自己治癒力だから、栄養は最優先。抗菌薬で崩壊したであろう腸内フローラをいち早く取り戻して、第二の脳として頑張って欲しい。

4時面会、すでに鼻には管が入っていた。見たところそんなに気にする様子もないので一安心だが、不用意に抜かないよう左手に被せられたミトンが恐らく耐え難いだろう。面会の間だけは外していいことになり、手を握ることができた。
今日は一度として目を開けず、反応も少なかったが、3割くらい話は聞いていたように感じる。しばらく管が入るけど頑張ってね、と言ったら頷いた。
毛穴パックを試してみたが、全く取れなかった。インチキ商品じゃん。
鼻からの管は今夜から使われるとのことだが、まずはスポドリのようなものから始めるらしい。スローな道のりだ。
今日会った看護師さんは初めて見かけた人だが、「今日が今までで一番穏やかな顔つきです」と言った。励ましの常套句かもしれないが。
「アロマとか興味ありますか」と妙なことを訊かれる。「目の情報が少ないので音や臭いの情報があるといいと思ったんです」 なるほど。そういえば昨日からキンモクセイが香り始めた、など雑談へと進んだりして話好きな人だったが、次第に判ったのは、アロマオイルや音のなる小道具などを僕が用意していろいろやってみたらどうか、というアドバイスらしい。スマホで定期的に音を鳴らすようなアプリってないのかな。
保湿クリームを用意するよう言われ、敢えて遠いマツキヨまで行って買ってくるも、普段のオムツの値段を見てびっくりするほど高いことを知る。もう来なくていいな。
ろくすっぽ食べてないせいで、食欲はないのに腹は減ってきてしまい、走る気力がなく今日もサボる。正直何の目標もない今はもうどうでもよくなっている。

2023/10/14 [打ち明け話]
たまたまTVで、キンモクセイに発汗を調整する効果、という研究開発話を聞いた。
”人の皮膚にキンモクセイに似た匂いの香料を塗ると、男性は汗が増え、女性は汗が減るなど、発汗量が変化することが明らかになった(NHK)”
薬局でキンモクセイの香り入りを謳う保湿クリームがやたらと並んでいたことと関係はあるのか?

土曜駒沢練、そろそろ行くつもりだったが、やはり母の容体が気になってそわそわするので断念。
4時面会、今日は目を開かないばかりか反応もほぼなかった。起こそうと何度か声をかけてはみたが。いよいよ昏睡状態突入だろうか。土日というのは病院も休みという感じで、なぜかTVの電源が入らず、シーンとしていて看護師がつかまらず、僕にはミトンをどうしても外せなかった(ロック装置?)。それに加え、腕におもりが巻きつけられていた。これ以上動きを制限してどうするつもりだろう。
それでもやはり話しかけ続けた。
藤井聡太八冠の大逆転劇の話をしたときは、何となく興味を持って聞いていたように見えた。全く根拠ないが。そしてふと思い出したように、懺悔話をした。実は黙っていたけど僕も白内障なんだと。去年の離婚訴訟のストレスで一気に来てしまった。先日免許更新だったけど視力検査ギリギリだったよ。
もっと話さなきゃいけないことがあるような気がしてきた。
持参した保湿クリームを乾燥気味の顔に塗った。水分で腫れているのに、なぜ乾燥肌になるのだろう?
明日も4時に来るからその時は起きてね、と声をかけた。最後まで頷くことはなかった。
この変化に不安を覚えたことなどを姉貴にLineするも、長い目で見ろ、などと悠長な返事が返ってくる。この瀬戸際に長い目で見るってどういうことだ?

週に一度くらいは解放しろ、ってことで姉貴は今晩こちらへは来ない。
毎日来てくれるとは言え、僕が姉と対面できる時間はせいぜい一時間で、残りの23時間は干渉されるのを拒む。その1時間でさえ僕と過ごすのはそうとう苦痛に見える。

一人で迎える夜が怖い。平穏にやり過ごすためには、何としても走りに出て身体を疲れさせないと。明日は天気も崩れるそうだし。
穏やかで走りやすい気候だ。スタート直後、結構速い女性ランナーを見つけ、追いかけたがどんどん離され消えた。
すぐにスイッチが入り、どうやら調子はいいが、ペースを見ると別に速くもなく、ミラクルはない。BUとなるよう心掛ける。折り返し後海岸沿いで限界に近付いてきたが、どんなにしんどかろうと母の辛さとは比べるべくもない、と耐える。そんな理屈で頑張るのは利口ではないのは判っているが、考えから抜け出せない。
たぶん今日もまた心拍数は異常値になってるだろうと思いながら飛ばす。HR150台に入り、一息入れる目的で懸垂台に立ち寄る。最後の歩道流しは結構がんばれた(最速キロ3:28)。
R11.6km 54:08 P4:40 HR134/159 685kcal TE5.0/2.5 167spm 21℃
やはり最大HRがぶっ飛んでるが、前回の10/7より速い上に平均HRは抑えられた。

2023/10/15 [最も伝えるべきこと]
朝から冷たい雨が降る中、MGC男女同時開催で、贅沢にNHKとTBSを交互に観る状態。男子は川内選手がまさかの独走態勢、女子は前田選手がブレのない美しい走りで先導する。そんな中、病院から電話。母の容体が急変し血圧低下と呼吸困難でICUに移ることになったという。これ以上ない不安に一気に襲われ、慌てて病院へ。防護服を着て暗いICU室へ入ると、全身パンパンに浮腫んだ裸の状態で施術台に乗せられていた母は、まるで鉄腕アトム誕生の瞬間のようだった。
もう目覚めそうにない、という昨日の悪い予感は的中してしまった。入院してから今日まで何日も日があったのに、最も伝えなければならないことを伝えていなかった。呼びかけにも全く応じず、どう見てももう手遅れなのだが、僕は必死に思いを伝えた。
この3年間、僕は本当に母に辛くあたった。結婚前までは母と仲良く暮らしていたのに、再び母と暮らし始めると至る場面で母と衝突した。
僕はカントクとの10年間を実に心穏やかに過ごしてきたが、それはカントクの僕への絶大的な支えによるものだとようやく悟った。一方、母は僕が居なくても一人で生きていける人だった。僕は母に頼られたかったし、もっと価値観を共有したかった。そして、奥さんに見捨てられた悲しみを理解してほしかった。時折僕は母を強い言葉で責め続けた。出て行けとも何度も言われた。僕は母に甘えたくて、すねた態度をとってしまった。母はそんな僕のひねくれた愛情を察することなく、距離を置くようになった。僕も母に優しくできなくなっていた。
もうとても償いきれないけど、僕はひたすら謝った。僕は本当は母をこの世で一番愛しているということをもう一度きちんと伝えたかった。僕は母とこれからもずっと一緒にいて、全力で支えていくことを誓った。だから、どうか安心してまた目を覚ましてください。おねがいします。どうかおねがいします。

やがて姉貴が駆けつけてきたが、僕とは真逆に悲しみの感情を一切表に出さないでいられる人である。
もう母の反応はないと言うとへえ~と今更のように驚くさまを見て逆に僕が驚いた。今まで何見てきたんだ? 意識が著しく低下していると医師からの説明に、「意識とはなんですか」と妙な質問を返す姉。ここまできても他人事だし関心がなさそうだ。
帰宅すると姉貴はすぐに気分転換と言ってジョギングに出てしまった。こんな局面でも自分のしたいことを淡々と貫ける姉貴のナイロンザイルの神経が少しだけ羨ましい。

ICU入室時に検温で一度ひっかかり、興奮で体温が高くなっていると思っていたが、夜に測り直すと37.4℃と確実に高い。またしても風邪? 昨日久しぶりに飛ばして身体に無理がかかったか。

2023/10/16 [キャッスルマン病への期待]
夜中に喉が痛くなり、やはりこれは風邪の始まりと悟りトローチを飲む。ここでまた風邪をこじらせると面会ができず大事な場面で立ち会えなくなる恐れがある。何としても治さねば。

みぞおちあたりがえぐり取られるような感覚が絶えず、おろおろして何も手に着かない。どうしたらこの精神的苦痛から逃れられるだろうか。夜中だけは忘れられるが。
姉貴にはなるべく一緒に寄り添って欲しいと懇願したが、取り付く島もなくいつも通り早朝に出て行ってしまった。皇居でジョグし、自前弁当を制作するルーチンをそんなにも崩したくないのか? 浦安にも上質なランコースがあって代替可能だし、食事も弁当も僕が用意できるのに。
そうではなく、他人に付き合うのが決定的に嫌なのだろう。だから何かと理由をつけ、他者との交流を拒絶する。こんな状況の母に対してもそれは同様だ。僕は最も相応しくない人に頼ろうとしている。

病院へ面会相談の電話。ICUの現場は多忙らしく、師長からは面会はギリ週末のみと言われてしまったが、とても自分が耐えられそうになく、何とか懇願して木曜日に入れてもらった。というか木曜まで母が持つのか?
そんな縁起でもないことを言うべきではないだろうが、今までが現実から目をそらしてばかりだった。

夕方、オムツの補充リクエストと病室の荷物を引き取りに病院へ。会えなくてもこうして近くに来られると少し安心する。
こんな短期間でも病室で過ごした日々が思い出され、引き払うのは悲しい。オムツの消費が予想以上に早いのは人の営みが活発な証拠と思えば期待できる。
人工呼吸器で舌が渇くのを防ぐ医薬品ジェルを売店で買ってきてと言われる。オムツも保湿クリームもだけど、治療の一部と思われるこれらを家族側が提供するシステムが謎だ。
万全の態勢で見守っているから安心して、と師長から言われ、少しだけ安心したか、胸が締め付けられる感覚が少し引いた。走ろうかと思ったが、微熱っぽさがまだあるので大事を取る。

午後7時、病院から電話がある。嫌な予感しかないが、今回は期待が持てそうな内容だった。
胸水の検査結果で、新たにキャッスルマン病という腎臓関連の疑いが出てきたという。IL6という炎症性サイトカインの値が高いとのことで、それをブロックするアクテムラという点滴投与を開始する宣言だった。期待大だが、胸水なんて売るほどあったのに、なぜもっと早く究明できなかったのか。大きな懸念は、この薬は2週間に一度投与するというロングスパンな話で、2週間というと人工呼吸器が外せなくなるタイムリミットである。でもこれで快方に向かえば、意識も取り戻し自力での呼吸が可能かも知れない。
頑張れ!

2023/10/17 [治療開始]
昨晩8時くらいから急に頭痛が酷くなり、寝ている間もガンガンに痛い。これは一体なんだ? 母に続いて僕も怪しげな病気に罹ってしまったのか、と妄想が広がり、珍しく自分自身の不安で寝られなくなる。ロキソニンでごまかしたくはなかったが、あまりに耐えられないので夜中に飲んだ。
今朝、幸い頭痛は消えていた。風邪から来るものだろうか。まだ37.2℃と熱は引いていない。
今日は一日おとなしくして風邪を治す日にしようと思う。

今朝から母も阻害薬投入で良い方向へ切り替わる初めての日となるはずだ。
奇跡が起こることを祈る。どうか薬がいち早く効いて、人工呼吸器のない生活に戻れますように。
今頃キャッスルマン病と判った点についてはいろいろと疑問が多いが、縁起が悪いのであまり突っ込まないでおく。

2023/10/18 [残酷な選択]
この頃は家の中でほとんど動かない生活になり、ターコとアルゾーも僕の周りに居ることが多い。

僕が泣きだすと不思議そうにやってきて、どうしたのとやさしい表情で見守ってくれる。

夜遅く、病院から電話。こんな時間に、いい知らせのはずがない。
震えが止まらない。タイミングよく帰宅した姉を連れて、病院へ駆け付ける。
駆け足で移動する僕の後ろで、こんな時でものそのそ歩くマイペースな姉にはホントにイラつく。何のために毎日走っているのですか?
母の血圧が低下し、瞳孔の状態からCTを撮ったところ脳梗塞が広範囲で再発し、脳が膨張しバイタルを司る脳幹を圧迫するほどだという。たとえ病気を克服できたとしても脳死は避けられず、意識が戻ることはない。
CTではっきり確認できたということは、恐らく再発から数日経過しているとのこと。
このままICUに留めるか、家族と会う時間を作れるよう治療を放棄して病棟へ戻るか、つまり無意味な治療を続けるか、死へ舵を切るか、残酷な選択を迫られる。
少し考えさせてほしいと病院を後にする。

2023/10/19 [死の受け入れ]
当初今日がICUでの面会日だったが、ICUの面会は本来厳しく制限されており、昨夜行ったばかりだったため、貴重な機会を明朝にずらして貰った。とりあえず昇圧剤で血圧は落ち着いたようだ。積極的治療を諦め母を病室に戻してもらう方向で僕は考えている。

2023/10/20 [永眠]
朝6時、病院から電話。ジョギングに出かけようとしていた姉を引き止め、急いで病院へ向かう。
血圧が再び低下。いよいよ本当にお別れの時が来たようだ。思ったよりも早くて狼狽えたが、治らない以上母には早く楽になってもらったほうがいい、との思いもあり複雑だ。
血圧が低下する度に、ICUに呼ばれた。今週僕はずっと37℃を若干超える微熱が続いており、入室が許されない状態だったが、なんとか見逃してもらう。今までは3分ほどの面会だったが、今回はその制限はかなり緩められた。最期を看取るためという病院側の意図がよくわかった。
異変がある度にICUに入った。計4回。
僕はありったけの言葉を母にささやき続けた。きっと聞こえていると信じて。
血圧は80→60→40→22と下がり、4回目、50前後だった心拍数がにわかに減り始めた。やがて30を下回り、20、15となる。心拍数15でもまだ心臓は動いている。僕に強靭な心臓をくれた母の心臓もやはり特別強いと思っている。とその時、突然15が0に。いきなりその時が来るとは思わなかった。今まで精一杯頑張ってきた母が、とうとう最後の眠りについた。午後4時16分10秒。その後医師から死亡宣告された時刻は4時24分だった。

82歳とは思えない努力で、長く救われない戦いを続けた母。想像を絶する苦しみだっただろう。罪のない母にこんな辛い仕打ちを与えた神を僕は恨む。
結局、病は判らずじまいだった。IL6阻害薬の効果もほとんど見られなかったようで、キャッスルマン病もハズレだろう。最後まで浮腫み続け、体重は69kgにもなっていたという。およそ25kgが浮腫みによる水分だ。そんなにも大量の水が身体全体を圧迫していたなんて、あまりにむごい。病理解剖を求められ、僕らはOKした。病気の解明に自分が後世役に立つことを母はきっと認めてくれるだろう。母の身体の一部はこの大学に永久に保存される。ここが第2のお墓だ。

何とも非情なことに、早速葬儀社の人がきて、今日中にご遺体の安置先を指定しろという。一晩たりとも病院で置いてくれないとは。ひたすら回復だけを願ってきた家族が、どうして事前に葬儀社の手配などしているはずがあろうか。

3時間後、母の解剖が終わり再び病院へ行く。わずかに顔のむくみは抜けたが、解剖手術後も身体は浮腫んだままだった。解剖の初見では、予想外の異常な状態は依然見られなかったという。今後2カ月前後かけて検体を詳しく調べるという。何らかの発見が欲しいが、答を知るのが恐ろしくもある。タラレバは一生消えないだろうから。
母は車に乗せられ安置所の江東区へ運ばれていった。
長い一日だった。僕は泣きすぎて、風邪を拗らせ、声が出なくなってしまった。

2023/10/21 [花火大会]
昨日、完全にDuolingoを忘れていて継続記録が初めて途絶えていたことに今朝気付く。
まあでも昨日なら当然だろう。惜しい気持ちはない。

昨日は姉と一日ICU脇の待合スペースで過ごした。
姉は慣れないiphoneで仕事をしていた。「こんなことならパソコン持ってくればよかった、今から会社行って取ってくるけどいいよね?」とか言い出す姉に、なぜ今日くらい仕事のことをキッパリ中断できないのか、母と仕事とどちらが大事なんだ? と今までも幾度となく言い続けたことを言った。
これまでも、母があれほど頼んでも実家にほとんど帰らず、やっとその日が来たかと思えば土曜の日暮れ時にやっと来て日曜早朝寝ている間に出て行く。しかもその理由が、自分のしたいことが決まっているから対応不可、の一点張り。折角泊まるなら朝から行こう、などの前向きさは皆無なばかりか、ただの一度も母の期待に応えようという気がないのは、一体なぜなのだ? とこれまた幾度となく言ってきたことを改めて訊ねた。
どうやら姉は、親ならば子供の顔が見たいという理屈抜きの愛情を、本気で知らなかったようなのだ。そして、求めてもいないのだろう。僕が、母の本心を代弁して判りやすく説明し、ようやく親の無償の愛という存在に気づき始めた。遅すぎたけれど。かなりガチな発達障害だと思う。それでももう60歳近くもなれば、本来なら長い人生経験と知恵でカバーして不都合なく生きていくことは可能なはずであるが、姉は幼少から頑丈なシャッターを下ろし、外界は理解しなくていいと割り切って一人で生きてきたために経験則が無さすぎる、と僕は推測する。でも、これからでも遅くはない、門戸を開き、不器用でも理解に努める姿勢が大事なんだと、自戒を込めて言った。それが無意味としか感じられないとしても、大事なことなんだと。
すこしだけ姉に気づきがあったような気がした。姉も僕の本心をようやく汲み取って、心の扉を少し開いてくれたと思う。

母の死が確定してしまい、不安も期待も抱く余地が無くなった分、僕の気持ちも少し整理がついた、と昨夜は思った。気分が少しスッキリしたような気がしていた。
ところが今朝になってみるとダメだった。確かに、こうしちゃ居られないそわそわ感は無いものの、相変わらず胸が締め付けられ、不安と恐怖が遅いかかる。これは、あまりに強すぎる悲しみと絶望感の渦に飲み込まれそうな自己への不安と恐怖かもしれない。PTSDだったりするのかな。

例年7月末に行われていた浦安花火大会が、晴天を期待して秋に移動。今日が開催日ということを、昨日病院へ向かう道沿いにコーンが並べられているのを見て悟った。
毎年母は花火大会を楽しみにしていた。家族が集まる日でもあった。
今年は花火の音を聴く直前で、旅立ってしまった。
この花火に乗って、母は天にのぼっていくはずだ。そう思って姉貴と見に出かけた。有料席券は完売だったので、歩道で止まるなとガードマンに怒られながら遠目に見るしかなく、事実上見られないも同然だった。程なくして、意表をついて大粒の雨が降ってきて、スーパーに避難するうちに終わってしまった。
この予想外の雨は、全身のつらい浮腫みからようやく解き放たれた印だと確信した。

お母さん、さようなら。いままで長い間、ほんとうにありがとう。そして、何度言っても言い尽くせないけれど、本当にごめんなさい。どうか、どうか安らかに眠ってください。僕は天に向かって呟いた。

姉ととぼとぼ帰りながら、ふと僕はこれからどうやって生きていけばいいだろうかと聞くでもなくつぶやいた。
「はやく気の合うパートナーを見つけられれば、って言ってたけど、」
「うん」
「それって相手に依存してるってことだよね」
「依存しちゃダメなの?」
「相手はそれを嫌がる」
「なんでそんないきなり突き飛ばすようなことを言うんだ?」
「突き飛ばしてない、それが私の考え。私の教訓は、人に頼らないこと。そうやって生きてきた」
「そりゃそうだろうが、僕にはそれができない、できない人の身になってアイデアを提案することはないのか?」
「もういいよ、そうやって私の考えをすぐ否定するからもう何も言えない」
こうして会話が成り立たなくなる。僕が訊ねているのに、もういいよと言われてしまうのはいつものことだ。
頼るのも頼られるのも大嫌いな姉に頼ること自体が完全に間違っているのに、他に頼る人もなく頼ってしまい、そして突き離され絶望を味わう。この繰り返し。

2023/10/22 [従兄妹]
葬儀の流れを改めて確認すると、どうやらあまりにも殺伐としていることに気付いて昨日慌ててプランを変更し、今日だった葬儀は明日へ順延。
微熱8日目、風邪もちっとも治ってないのでなおのこと良かった。
母方のいとこが二人参列してくれることになった。最後に会ったのがたしか学生の頃だったから、お互い判るか不安だ。でもそんな疎遠な親戚から、お手伝いしますと声がかかったのは素直に嬉しかった。
風邪が長引くので、コロナの抗原+抗体検査を行ってみたが、どちらも陰性だった。

ごぼうのトリセツを観る。
食欲のない毎日なのでこの手の番組を見てもワクワクしないが、すりおろしごぼうのパスタがあまりに評判良さげなので作ってみる。簡単だし。ただし指定の牛挽肉の代わりに冷凍豚挽肉を使用。冷凍だと炒め続けても肉の脂が多量に浮き出てこないのでオリーブオイルを足す。すりおろしごぼうの香りを出す油分が必要だ。砂糖、みりん、醤油で味付け。
これまでもトリセツはアスパラガスの回もエリンギの回も期待外れだったが、果たして今度のごぼうも同じだった。確かに、すりおろしたごぼうの味ではある。それだけだ。
ただ、今の心身取り乱し状態で正しく判断できるわけもないが。
ごぼうがなぜ、土を適当に洗い落としただけで下処理なく使えるのか、もう少し科学的に説明してほしかった。要するに土は食っても良いということだと思ってるが、それ言っちゃうと逆に視聴者が引くのかな。

2023/10/23 [お葬式]
朝からお葬式の準備で忙しい。花屋で棺に入れる花を受け取り、駅でいとこ二人と合流。気配りのきく伯父さん譲りの優しそうないい男と、若い頃の叔母さんに似てきた奇麗な女性がそこに現れた。母と対照的にソース顔の叔母さんは華やかな美人タイプ。我が家にはない美点を二人とも極めていた。ホントに久しぶり。
市の斎場へ。化粧された母と対面する。とてもきれいにお化粧してくれた。母をずっと苦しめた浮腫みが残るおかげで張りのある若々しい肌に見せている。何と皮肉なことか。今にも目を覚ましそうで涙が止まらない。
好きだった最中とかりんとう、そして晩年の趣味で段まで昇格した書道の愛用筆をひとつ入れた。花を敷き詰めたらとても幸せそうに見えた。午後0時半、炎の中へ。水分が多いから燃え尽きるまで時間がかかると思ったが、70分後に終わる。意外なことに、母の骨を見て涙は出なかった。葬儀の意義はきっとこういうことなんだと思った。母の骨は多くの部位で燃え尽きずに原型を留め、立派な骨だと担当の方から褒められた。頭蓋骨も喉仏もしっかり残り、骨粗しょう症は信じられないとキッパリ言った。確かに僕も変だと思ったんだ、あれほどアクティブに日々歩き、食事もきちんと摂っていた母が骨粗しょう症だなんて。
Lサイズの骨壺に入りきらないくらいだった。
簡素でもいいお別れの式だったと思う。

二人のいとこを海沿いの浦安墓地へ案内し、生前に予約済みの樹木葬エリアを訪ねた。実は僕も初めて場所を認識したが、落ち着いていて雰囲気もいい。華やかな花が多くそえられていて、恐らく絶えることもなさそうだし、管理は行き届いている。きっと寂しくはないだろう。僕もここを予約すれば、いずれ一緒になれると初めて気がついた。

カオスな我が家に二人を招いて、日が沈むまで語りあかした。恐らく死ぬまで会うことはないと思っていたほど疎遠だったのに、会ってみるとブランクなんて関係ないんだなとしみじみ思った。相手との若い頃の印象深いシーンがお互い異なるところがおもしろかったし、今日初めて知ることもいくつかあった。実に素晴らしい人たちと再会できて本当によかった。母の生前に再会のチャンスを作れなかったのが悔やまれるが、母が引き合わせてくれたこの再会を今後も大事にしたいと思う。

2023/10/24 [母]
昨日で一区切りがついて、僕も落ち込まずに過ごすことができると期待したが、やっぱりまだダメっぽい。
昨夜心穏やかに寝られたのはいとこたちの存在のお陰だった。

書道などで一緒に切磋琢磨した母の友人に、母のことを伝え、少しだけ電話で話をした。あまり驚いてないし、僕のほうが励まされてなんだか奇妙だった。まあそういうもんなんだろうな。

目立たずに生きてきた僕の母について、昔の写真を日記に載せる身勝手をどうか許してください。
この写真は僕が入社した年のもので、センスのない僕が撮った。48歳。こんな母がいたら、きっと僕じゃなくても自慢したくなると認めてくれるよね。

子供にとっての母は常に母であるが、母とは同時に女でもある、などとよく言う。
だが僕の母は、母を貫き通した人だったと思う。母の妹である叔母さんは、母のことをサバサバしていて男性のようだったと打ち明けたが、僕には全くない発想で驚いた。
母はきちんと信念を持って生きてきた人だった、と今頃になってしみじみ実感している。

2023/10/25 [悲しみの強さ]
人は悲しみだけでは泣けない、とは「シンドラーのリスト」のラストシーンを観て思った僕の今までの実感だった。
こんなにも強い悲しみを今までほとんど経験したことがないだけだった。
過去において最も悲しい思い出はというと、インコ ”あたる” との死別だ。あたるは飛ばないインコだった代わりに本当によくなつき、分厚い本を並べて迷路を作り迷い込ませて遊んだりした。実は飛べない理由は羽根の根元の腫瘍が原因と判り、その摘出手術で死んでしまった。僕は当時一人暮らしの学生で離れていたにも関わらず、数日は何も喉を通らないほど悲しみ、友達からは失恋と勘違いされていた。彼女なんて居なかったが。

市役所へ出かける。
保険証返納など4つの窓口で事務処理をする。説明する度に涙が堪えられず、窓口の人のあたたかさが心に沁みた。
帰りがけにスーパーによると、昔の陶芸サークルの人に声をかけられる。ドラマでしか見ないような偶然は神の思し召しか。少しだけ話をして、元気をもらった。

未だに風邪が治らない。喉はヒリヒリするし、咳が酷くなってきた。夜中は喉が乾燥して痛くなる。

2023/10/26 [初七日]
まだローラーなどができた、ほんの数日前の日記を読み返すと、まだ十分希望を持っていたことが判る。そして、余裕ぶっこいてたな、とも。昔にタイムスリップできたとしたら、自分に何て忠告すればいいだろう。母はいずれ死ぬから今のうちにできる限り声をかけろと? そんな残酷なことを言えるはずもないが、伝えずにはいられない、このジレンマをどう解決する?
決して考えちゃいけないことを考えてしまう。

叔母さんへ母の写真をいくつか送ったら、お礼と共にもう初七日ですねと返事が返ってきた。初七日とは三途の川に辿り着いたタイミングらしい。結構のんびりしているんだね。
そっかあ、もうそんなに経ったか。ただ七日目は明日だよね。
と思ってた。初七日は亡くなった日を一日目と数えるってことに、日が沈んだ頃気がつく。ヤバい、もう今日は終わりかけてる。何も準備してない。
慌てて駅前のAEONへダッシュする。花屋さんに駆け込んだ時はすでにアレンジメント受付終了の7時を回っていたが、大丈夫ですよと快く引き受けてくれた。
完成する間にお供え物の買い物。好物の柿、それに梨、ぶどう、キウイは病床で何とか食べられたもの。あの頃のシーンが再現されて、青果売り場で涙が止まらない。
こんな土壇場なニーズにも完璧に対応できるAEONの包容力にすっかり感心した。さすがは業界一の企業は違う。ありがとうと言って駐車場から出た。今の僕はちょっとしたあたたかさがホントに沁みる・・・。
完全自己流でお供え物を用意する。これまで制作した陶器を仏具として活用。案外このヘンテコデザインが似合ってるなと自画自賛。きっと母も受け入れてくれるだろう。

三途の川は穏やかに渡れただろうか。

2023/10/27 [最後の晩餐]
国会中継をBGMにしていたら、病院食が立ち行かなくなっている問題、というのを知った。
患者にとって食事は当然治療にも深く関わるものだから、美味しいかどうかはさておき、最善の治療効果を考えて作られているとばかり思っていたが、入院時食事療養費は25年も据え置かれたままで、病院は給食の継続に困難を極めている、つまりギリギリでやっているのだ。となると僕はお花畑な考えだったかもしれないと気づいた。
治療法が不明な母にとって、自然治癒という唯一の希望に大きく関わるのが食事だったはず。だが病院食への母の不満は極めて大きかった。話を聞く限り、とにかく内容がウングラウブリヒな貧相さだ。デザートのヨーグルトまで安物で不味い。いやそんなところでケチるのかよとちょっと疑ったが、その通りだったのだろう。母の見立てや直感はこれまでもいつも正しいのである。最後の晩餐が安物のまずいヨーグルトになってしまったのは、つくづく無念だ。そしてそれはケチな病院のせいではなく、医療制度の縛りが原因なのだ。
国民皆保険制度は素晴らしいが、綻びも見えてきている。介護保険のほうはもっと問題が顕著だろう。以前提案した、医療費の自己負担割合を自分で選ぶという案はやっぱりいいと思うんだよな。
高齢者ほど医療費は嵩む。一方資産格差も大きい。貧困でとても払えない人がいる一方で、金なんぞいくら持っていても死んだら元も子もないという人もいる。ある意味母は後者だった。病院食が美味しくなるのならお金をいくら積んでも良かった。だが制度的にそれができない。
財源はひっ迫していて、質的低下が避けられない。かといってビンボーと金持ちで医療格差は出せない。医療を受ける者が、その質をできる限り維持したいと思ったら、もうせっせと保険を払うしかない。でも、自分たちで医療を支えていくという潜在マインドはきっとあると思うのだ。だって、お金は天国へ持っていけないのだから。

昼に観た一人鍋レシピで炊き込みご飯を作ってみる。母が一人暮らしの頃使っていた鍋を奥から取り出した。これからは、大きな鍋やフライパンなんて要らないんだよな。

2023/10/28 [痩せ型のリスク]
「ゆりあ先生の赤い糸」というドラマ、くも膜下出血で意識の戻らない夫を自宅介護する妻の話で、自分といろいろ重なるので辛くなるかと思ったが、とりあえず見ている。夫に関わる人物や身内がみな清々しいほど他人事身勝手無責任で、夫に真剣に向き合うのは自分だけという描かれ方をしているが、看病あるあるだなと感じる。次々と舞い込む逆境にもめげずにチャレンジを続けるこの強い妻のように、僕はなれるか。希望さえあれば頑張れると強く思う。
病で弱った母を精一杯介護し惜しみなく愛情を注ぐという生きがいを見つけてぬか喜びしていた僕には、まだ希望の残るこの主人公が実に羨ましく映る。

今日は胸のモヤモヤが激しくて落ち着かない。姉が横浜マラソンで週末帰らない不安もあるかもしれない。このところ平穏な快晴の日が続いていて、より落ち込ませる。

姉とはことごとく価値観が合わない上に、日常会話が全く成立せず、無理に話せばケンカになるだけ。どう考えても上手くやっていける相手ではないが、それでも唯一の身内であり日々心の支えとして頼っている。もし姉までも失えば僕は立ち直れないだろう。自分を守るためにも、できる限り理解しようと努めている。
オヤジ譲りの姉は色んな点でタフな人だが、近年ひとつ不安がある。異常なほど体重が少ない。一頃の宮沢りえ以下だ。タニタで体脂肪率5%と出るらしい。でも、米は僕の1.5倍食べるし、魚も肉も骨ごと全部食らい、相当な大食いなのである。塩分ほぼナシの蒸し料理中心でドッグフードと同じだが、問題はないと思う。ダイエット中でもなくこれが平常である。なのになぜこんな体重なのか。
もしや病気なのではと。母の異変に見ないふりをした過ちを繰り返したくない。だが、このままじゃ良くないといくら言ったって、聞く耳を持つ人ではない。自分の信念をとやかく言われるのが死ぬほど嫌いなのだ。
日々コツコツ走っているものの、実業団ランナー並みの練習は当然していない。あまりにスローなためおそらく月間200km届くかどうかだろう。フルマラソンは4時間半以上かかる。

病院から電話。
この期に及んでも、母はまだ病院に居るから来てくださいという連絡かも、という期待が頭をよぎる。入院費の支払いのため病院へ。金額のほとんどは部屋代であり、治療に要した割合は少ない。保険のお陰でもあるが、実質的な治療そのものが行われていないのだ。
この病院もすっかり想い出が詰まった場所になってしまった。目を腫らしながら帰る。

2023/10/29 [姉のマラソン]
ターコは母の真似しかしない。親はあくまで母なのだ。最近ターコのおしゃべりからヒト語が減って寂しい。今日珍しく「お母さんお仕事、ターコちゃんおるすばん」を聞けた。仕事に出かける前に呼びかける母の常套句だ。入院直前まで母は仕事をしていた。
ターコの母語録
ターコちゃんアルちゃんおるすばん
ターコちゃん水! (ターコは多飲症のきらいがある)
アルちゃんごはんだよ
おうち帰ってする? おうち帰りたいの?
もちょっと待っててね
はい!
きたない!
おやすみだね おやすみー
へぇーくしょん!(くしゃみ)

「ミワさんなりすます」という夜ドラは、セレブな大物映画スターへの分不相応な恋の物語。しがないオタク女子の内に秘めた想いが、雲の上の人にどこまで響くかという、言わば古典的ネタだが、この手の話でいつもしこりを覚えるのは、結局この主人公も憧れの対象は王子様であり、身近にいる何でもない人へ関心を向けることはない。地位や外づらに囚われない本質的価値の理解という物語のテーマを、主人公自身は否定しているのだ。
不釣り合いなこの構図、日常よく見るよね。

姉の神奈川マラソンを応援ナビで見守る。こんなにも真剣に姉に注目したこともなかったな。
ペースは次第に落ちたものの、後半17kmもの間イーブンを守った点は素晴らしい。ギリサブ5でゴール。
いままでかけたことの無い労いの言葉をLINEに投げた。姉からのレスはいつになく親しみを感じるものだった。姉が一人で生きる道を選ぶようになったのは、僕や家族の長年の態度もあったのかもしれない。
姉にはかなり不満足な結果だったようで、帰宅するなり不満が噴出、感情を他人に示すことがほとんどない人なので僕には新鮮だった。ただそれが10年前の自分と比較して全然ダメというもので、加齢の衰えなど全く想定していないところがおかしかった。
珍しくお酒も入りながら夕食を共にした。少しだけ家族らしい団欒のカタチになり僕は嬉しい。姉が最大限僕に合わせたんだと思うが、それが嬉しいんだ。

2023/10/30 [ピクニック日和]
前日夜更かししようが、一日のスタート時間は決して変えないというのが姉の哲学らしい。前の日を引きずらないためという。昨日はレースで疲れたうえに、珍しく夜半まで起きていたのに、出勤は8時過ぎなのに(というかフレックス)、今朝も4:30に起きて普段の体操とか掃除などのルーチンを始めていた。それは、寝て疲労回復に努めるよりも大事なのである。いわば、身を削ってでも守るべきルールがある。宗教的なものを感じる。
ただ、姉は所謂ショートスリーパーかと思う。6時間も寝ることは普段まずないという。アスリートにとっての睡眠の価値について知らないはずはないと思うが、姉はなぜそこは重視しないと決めたのか。聞き出すことはまず無理である。

TV好きだった母に影響されてドラマを見るようになった。
10月から新作ドラマがどっと出て、面白そうなものだけ録画継続する。
それにしても近頃のドラマってやつは、主役が若い男の場合、どいつもこいつもホスト系なのはなぜだろう。目は大きく、エロい唇をしていて、シルクのような肌。眉毛を隠すドッサリ髪、エラが張り、痩せ型で筋肉はなく、運動なんてしない。メインの視聴者象は腐女子? 多様性をとは言わないが、全部右倣えは勘弁してほしい、というかホストはやっぱ嫌いだよ。

いつでも相談に乗ると言ってくれていた陶芸クラブのOさんを誘って、公園でランチする。一人で家に籠っているよりも、外へ出て誰かと話をしたほうがきっと落ち着ける。やや強引なお願いだが、Oさんは快く応じてくれた。
海沿いの公園は程よく暖かく風もなくピクニックに最適だった。思えば、ここでレジャーシートを広げるのが僕の長年の憧れだった。ヤオコーで買い込んだサンドイッチや太巻きなどをつまみながら2時間とりとめのない話をした。ハッキリ言って聞いちゃいらんねー内容だったと思うけど。
たまたま公園では市と芸大でコラボした芸術祭の作品が見られた。

Oさんと相談し、陶芸クラブへの再入会を決意する。

風邪は大分治ってきたが、時折まだ酷い咳や痰が出る。それ以前に、ウンドー再開の気持ちが沸かない、というか怖い。なぜだろう。

午後ロードショーで「悪の法則」というサスペンスを見て、全然ハッピーエンドでもなく超胸糞悪くなる。今の僕には心に刺さり過ぎるセリフと残虐な場面ばかりで、しかも完成度が高いので一番観てはいけない作品だった。午後ローの胸糞率は最近異様に高い。全部消して自動録画も止める。今は自分のメンタル保護を最優先に考えねば。
母と一緒に見てきた想い出深いドラマなどは観るのも消すこともできないでいる。

2023/10/31 [日記は癒し]
独語のwehtun(痛みを与える 英hurt)はweh+tunで構成される分離動詞、というのが専らの説明だが、Duoをやっていてふと気づく。動詞が最後にくる副文でも合体していないのだ。
Julia kommt nicht, da ihr den Kopf weh tut. (ユリアは頭が痛いから来ない)

独和大辞典や大学時代の辞書にはそもそもwehtunが単語として見出しにないことに気づいた。weh(痛む)という副詞を使った動詞tunの用例の扱いである。ちなみにDudenにもPonsにも動詞wehtunはあり、たぶん副文で合体させても間違いではないのだろう。
副詞+動詞の名残のある分離動詞って他にもありそうだな。

最近日記が無駄に長い。母に関連する内容も多いからメンタル回復にはよくなさそうだけど、文章を考えて脳を論理的に働かせている間は気が紛れて心が安定し、心拍の高鳴りも落ち着く。日記はひとつの回避行動なんだろう。
ランニングは悩みを助長させるので怖くて再開できないのかもしれない。

母を失ったダメージが日々薄らいでいくことを期待したが、なんだかその逆になっている気がして恐ろしい。

2023/11/1 [陶芸再開]
水曜陶芸サークルを再開。以前と変わらない気さくさで迎えてくれた。まだ、新たにモノを生み出す気持ちにならないので、前回制作途中で1年半放置していた半磁器のマリモをちまちま削って地道に模様をつける作業に没頭する。
OKまで一緒に帰った新メンバーのNさんが、堰を切ったように話し出して止まらない。僕の事情をパートナー探しで悩んでいると勘違いしている。
励ましのつもりだろうけど、前向きに生きようみたいに言われるのはやはり辛い。それができないのが悩みなのに。

心拍やストレスの異変をGarminが捉えていた。
下図は一日の心拍数の推移。夏の某日、8/29(灰色)と今日(青色)を重ねている。

ほぼソファーに座っているだけの一日なのに、散歩並みの心拍が絶えず続いている。意外なのは、睡眠中も心拍が高いこと。寝ている間くらいは不安から解放されていると思っていたが。

下図は1日のストレスレベルの推移。上段が8/29、下段が今日。

青が休息、橙がストレスレベル。上段は、過去だいたいこんな感じだ。18時からローラーに乗っている。下段はストレスが常態化している。陶芸クラブ後半にリラックス傾向が見られるようだ。
母が亡くなった日の前後よりも酷くなっている。収束はまだ先だろうか。

「100分de名著」の、ニコマコス倫理学 by アリストテレスで、幸福とは何かについて論じている(再放送かな)。
今の僕にとって、幸福への道筋は、人生の再出発の道筋を意味する。つまり生きるヒントが見つかるかもしれない。
アリストテレスによれば、本能に従って生きる動物と違い、人だけが持つ機能、それが理性である。人はただ生きるだけではなく、理性を伴う生の活動、”善く” 生きることで幸福になる。
理性は本能を抑圧するものではなく、理性をうまく活用することで本能などがより良い仕方で花開いていく。
だそうである。
さて、僕は今、幸福はおろか、生きることの意味すら失っている。自分で終わらせられないだけだ。この状態は、本能が支配している結果だろうか、それとも理性がもたらしているものか?
幸福を得るために新たに行動すべきなのは理性的に理解できるけれども、実行には移せないでいる。これを拒んでいるのは理性か、本能か?
アリストテレスが考える幸福的な生活とは3つある。
・快楽的生活
・社会的生活
・観想的生活
快楽的生活、例えば美味いものを食うとか。今の僕には虚しいだけで幸福に繋がらないことはもう判った。社会的生活、これは社会に参画せよってことだろう。これは確かにありそう。観想的生活(この世界の有様をありのままに認識する、真理を認識すること)。これを僕は、考え・理解することの喜びと解釈したが、うむ、今の僕にはピンと来ない。今は哲学的な考えを深めることでより泥沼化するのが怖い。
善く生きる、幸福に近づくために、人は ”徳” というパワーを身につけることが重要。
4つの中心的な徳目、”枢要徳” とは(かいつまんで)
・判断力
・困難に立ち向かう力
・欲望をコントロールする力
・他者を重んじることができる力
うむ、困難に立ち向かう力は致命的に低い。他は、そこそこ備わっている気はする。
うーむ、だめだ、だから何だ? 判らない。次回解説に期待しよう。

2023/11/2 [果たせなかった思い]
不安症を患う人が最近増えているというニュース。最近は戦争、気候変動、コロナ禍と不安のネタは尽きない。原因は違うがチェックリストを見る限り僕も不安症に含まれそうだ。通院して症状が軽くなったという人もいた。治す方法があるのか!

アサイチでA2牛乳を紹介していた。いち早く販売開始したOKの宣伝番組のようだった。
そっか、世間的にはまだ珍しいのか。
A2牛乳は乳糖不耐症の人でも(たぶん)飲めるというのが売りだが、ゲストの感想通りややあっさり目な味わいで、言い換えると薄味でパンチがなく、あえて高い牛乳を選ぶ理由がないので買わなくなった。僕もガチな乳糖不耐症だが、飲み方を多少工夫すればそんなに問題なく付き合える。牛乳は飲めないものとイチゼロ思考で避けている人は多い気がする。アレルギーとの混同も多そう。
A2は牧草育ちの牛から絞った乳だと勘違いしてた。単に遺伝子の一部が違う牛ってだけで、牛の品種も育て方にも差はないらしい。
つまり普通の牛乳はA1とA2が混ざった状態だが、A2牛乳が今後普及すると従来の牛乳のA2比率は減る理屈になる。現にA2生産農家のA2専用タンク以外はA1なわけだし。100%A1牛乳、逆にちょっと飲んでみたい。

この世で生きていく理由や望みが何もない今、母に尽くそうとして果たせなかった思いを近い形で叶えることが、現時点で思いつく唯一の生きる糧かもしれないと、母が亡くなった直後からぼんやり考え始めた。安直だが介護の現場に関りたくなった。誰かを救うことで、自分が救われたい。母に償えなかった罪悪感を少しは晴らせるのかもしれない。
そんな不純な動機だけで、介護という慣れない仕事にどこまで真剣に向き合えるのかという不安ももちろん大きい。

いろいろ考えるうち、僕はターコとアルゾーがいる限りフルタイムは無理なのかあと今頃気づく。介護にリモートワークはないし。
ターコとアルゾーは母の愛情そのもの。母と同じくらい大切に見守っていく覚悟であり、些細なようで意外と重要だ。

今のガザ地区の紛争について思うこと。
僕の直感的な見方でしかないが、イスラエルに腹が立ってきている。パレスチナとイスラエルの長い歴史については全然詳しくないが、両国の和平への道は国力の遥かに高いイスラエルの出方次第だった気がする。あえて棚上げしここまで来たイスラエルの底意地悪さにハマスがブチ切れるのはなんか判る気がするのだ。知らんけど。
最近のアメリカのイスラエルに対するエコ贔屓な態度は、客観的な見立てと純粋な正義感からと信じてきたウクライナ支援の見方までもが崩れつつあるのではと感じる。

2023/11/3 [姉という人]
休日。姉が一日リモートワークすると言う。以前のように、僕の部屋に朝から晩まで籠ったまま一切出てこないつもりだろう。この秋晴れの中、僕と散歩して癒して欲しいとは言わないから、せめて顔の見える居間で作業できないかとお願いしたが、TVがうるさいからとか、一人で集中して効率を上げたいからとか、次々と理由を並べて拒む。仕事場をどこにするかでそんなにも頑なになるのは実に悲しくなる。一体僕は何と戦っているんだろう?

PC画面に向かってiPhoneで写真を何枚も撮っているので、何をしたいのか訊いてみると、下請けデザイナーへの手配用にメール添付するつもりらしい。多量のスナップ写真がメールで無造作に送られてくる下請業者に激しく同情し、まずスクリーンショットというものがあり、それをパワポに貼りつけ指示を添えればファイル一つに纏まるし報告書にも使えるし簡単だと提案する。
Ctrl+V や Ctrl+Z も初耳だったので教える。つか、Undoって何? と来た。数時間後、せっせと貼り込んだページの一部がいつのまにか消えていると嘆いている。一度も保存してなかったらしい・・・。
誰にも頼らない生き方の徹底ぶりには驚かされる。

僕はこれまで、姉とは折り合えないまま一生を終えても構わないと思っていたが、たった二人だけの家族の繋がりは大切にすべきだと思い直し、お互い心から仲良く過ごせることをゴールに据えて頑張りたいと、胸の内を明かす。そして、その道順は違えどゴールは共有してもらえることを確認した。
だが、そんな話をする中で、意外な言葉が返ってきた。僕ら今までずっと仲が悪かったよねと言うと、そんな風に感じたことは全く無いというのだ。えええ!? 会えば必ず罵り合いのケンカになる僕らが?
これまでの僕の捉え方を根本から覆された。
僕を憎む気持ちはないと聞いて僕はホッとしかけたが、それはつまり、姉の僕に対する感情は姉弟としての愛も憎もなく、本当に何もないということだろう。何とも思わない、虚無。僕が姉から感じ取り、本能的に壊そうともがいていたのはこれだったか。
絶望的な答を知ってしまった気がした。

2023/11/4 [担当者の涙]
TKD駒沢練、今日もサボる。叔母さんからお花が届いたので、出かけなくて幸いだった。
来週から行けるだろうか。

ポスト投函に母宛てのものが混ざってないか注意深くチェックするようにしている。
近所の英会話教室のチラシがふと目にとまった。なぜか異様に安い。外人講師を交え趣味仲間でおしゃべりができますといった感じの、ユルい教室なのだろう。でも、誰彼ともなく何気ない会話をする機会が欲しい僕には、打ってつけの場かもしれない。
マンツーマン指導も、腕の立つ講師も僕には無用である。僕が欲しいのは人恋しさを埋める癒しの時間だ。

一時停止していたリフォーム計画に再開Goの指示を出す。入院中でも構わず早く施工しなさいと言ってた母の意思に応えるのが務めであり、もう少し早く決断すべきだった。
早速いつもの担当者がやってきたが、元気な頃の母の代わりに出迎えた遺骨や遺影にすっかり面食らったか、母のために涙を流してくれた。
そういえば、姉の涙は未だ見たことがない。誰に対しても姉はクールだ。

2023/11/5 [さみしさの科学]
「フェルマーの料理」というドラマ。得意な数学的発想を武器に最高の料理人を目指す話。
どんなに横柄で偉そうな態度をとっても、そいつが誰にも負けない超一流ならばそれが特権である。という描き方、もうやめろや。たとえば、数学でかつて切磋琢磨した同級に対し、見下し愚弄するセリフをなぜ吐かねばならないのか。彼女がまず何より人として学んできたものは、なんだったのか。
主人公を執拗に追い詰めるため、登場人物を意味もなくモンスターに仕立てる。不愉快すぎて見ていられない。
うま味成分の相乗効果は二つまで、というTipsは参考になった。
映像の大半で激情型の交響曲を絶えず流し、感動を力づくで訴える演出。自ら三流演出家と認めているようなものでは。

Garminが捉えたストレス値は日々ジワジワと増大するばかり。
不思議なことに食欲は戻ってきて、むしろ常に口寂しい状態になっている。だが、何を食べたいのかがイメージできない。冷蔵庫やお菓子の箱を覗いても、そこに欲しいものはない。スーパーを歩き回っても、カゴに詰め込みたいものに出会えない。生理的には求めているが、精神的には受け付けない、そんな感じか。

少し前のPresident onlineに、僕の悩みを聞いてくれたような記事を見つけた。
 ”私たちが「さみしい」と苦しむ脳科学的な理由”
◆人は「さみしさ」から逃れられない ◆食欲や性欲と同様、人にもともと備わる本能 ◆他人と共有することが難しい感情 ◆さみしさは「人間が生き延びるため」の仕組み ◆さみしさの解像度を上げれば、よりよい人生になる
さみしさは本能だったか。考え方ひとつで変えられるわけではないのか。
他人に理解されにくい(共感を得にくい)というのも、確かにそうだなと思う。逆の立場になった時のためにも、頭の片隅に入れておきたい。
よりよい人生のために、さみしさの解像度を上げるとは何なのか、ピンとこなかった。さみしさの原因をいくら考察しても僕にはドツボにハマるだけな気がする。

2023/11/6 [遥かなる心療内科]
求人広告を見て応募した介護施設から電話がきた。年齢を訊かれた後で、あいにくこの求人はもう足りていまして…と断られる。んー、この世界でも年齢の壁はあるのか?

母に尽くせなかった思いを仕事で果たしたい。いいアイデアに思えたが、昨晩、病床の母の記憶がまた津波のように押し寄せてきて悲しみと恐怖で眠れなくなり、仕事に母の面影を重ねるようなことは禁じ手なのではと思い始める。どうなんだろう、自分で判断が出来ない。いよいよと思って近所の心療内科に縋ろうと電話してみる。
たが、診察が混みあっており年内は新規受診受け付けず、と言われた。ネットの口コミでここはもう何年も受け付けていないとあったが、恐らく年が明けても同じ返事が来るのだろう。近所の心療内科は総じて「新規受診は半年 or 1年待ち」といった口コミが並ぶ。これでどうやって患者を救えるだろう? 業界自体の大きな課題かと思う。

チラシで見つけた近所の英会話教室に体験参加してみる。
クラスはビギナーかそれ以外の二つのみで、それ以外のほうに参加。
受講生は僕を含め3名。英語レベルは概ね予想通りだったけど、僕の英語力が予想以下過ぎてついていけなかった。まあでも、できないから習うのだ、と開き直って通うことに決めた。
僕の真の狙いにも応えてくれそうだと判った。というか期待以上かもしれない。80分間のレッスン後に、それ以上の時間をかけて、なぜ僕がここに来ようと思ったかについて受付の女性と話し込んでしまった。僕をあたたかく迎え入れてくれそうだ。月10回のフルコースを申し込んだ。

2023/11/7 [平行線]
入会して早速初の英語レッスンへ。
今日の講師は創業者=社長さんである。なんと、我が家の隣の棟に住んでいる人だっだ。今までもすれ違っていたかもしれない。20年以上ヤマトのメイトで働いてた母は間違いなく把握していたし、何度か話もしたかもしれない。これもまた、母が引き寄せてくれた縁だ。そんなことを思う度に辛く切ないのが、この話を一番伝えたい人はもう居ないということだ。生前に僕がこの教室を知る可能性だってあったのにな。
予め少し予習した効果が出て、少し話ができた気がする。亡くなる=pass away を覚えた。みんなから元気をもらいたくて来た、ってことでcheer me up を使ったら、"2,4,6,8, who do we appreciate ~" という応援の定番フレーズを教わり盛り上がった。投げた単語次第で話題が広がる可能性があるから、予習もいいかもしれない。
若すぎるcuteな姉妹受講生が一緒で最初は身構えたが、こんなにも性格美人な高校生?が居るのかと感心してしまった。英語を習おうと考える若者は少なからずビジョンがあり、前向きな生き方をしているんだね。

また姉とケンカしてしまう。
母が亡くなる2週間くらい前から、メンタルが保てそうにない僕のために一生のお願いと頼みこんで家にできる限り泊まってもらっている。
受け入れてくれたことは感謝しているが、姉の生活習慣、食事、価値観、あらゆる点で独特過ぎるために、僕が期待する、一般的な家庭の営みを通して生まれる落ち着きや安心感というものが一向に得られない。朝は目が覚める前に居なくなる件はここでジョグする解決案を何とか受け入れてもらえたものの、夜遅く帰宅すると風呂に直行し、台所に詰め、食卓で話ができるのは1時間ほどしかない。そもそも姉は自ら僕と話をしたがる人では全くなく、僕が何か話題を振ると眠い変顔を始める。
僕の要望は無理のないささやかなレベルと思っているが、自分の流儀を少しでも動かされるのが死ぬほどストレスに感じる姉は徹底して拒否する。結果として、僕が必死に頼み込んでようやくやってもらることばかりで、姉が自主的に動いてくれたことが何もない。だが姉にしてみたら、これほどまでに妥協して尽くしているのにまだ足りないのか、少しは歩み寄れと言うばかりで、主張は完全な平行線だ。というか、全ては僕の一方的なお願いであり、姉がそれをまだ聞き入れてくれているのは姉の理性だろう。
一人で暮らすことへの不安と、姉からの共感を得られず傷つくストレス、今の僕にどちらがダメージとなるのかいまだ判断がつかない。

2023/11/8 [炊き込みご飯]
朝起きると、居間のTVが点いていて驚く。これは、TV嫌いな姉の僕への歩み寄りのサインだろうか。

あさイチの炊き込みご飯特集、色々参考になったので箇条書きメモ。
具材の面白さ:鮭×明太子、豆腐+かつおぶし(余分な水分を吸い取る)、角切り大根、ファミチキ
一手間で美味しく:キノコは乾煎りして水分飛ばす、米は水につけてザルにあけヒビを入れる、魚は皮目中心に7割焼いてから
おかずを一緒に作り肉汁を活かす:多めに穴をあけ味付けした鶏胸を入れよだれ鶏に、豚ロースを麺棒で叩き潰して海老ピラフに入れトマトソース+チーズでチン

姉とは炊飯すら好みが違い過ぎて共有できないため、炊き込みご飯を一人土鍋で作って完結するメリットは大きいことに気づいた。

午後は陶芸。先週に続き、球形の半磁器土をちまちま削る4時間。ゆっくりと長閑な時間が流れていたが、ふとした拍子に涙が溢れ、机にぽたぽた垂らしながら黙々と削り続ける。この世に一人取り残された寂しさと不安が一気に襲う。母が恋しい。

夜、さいの目の大根を入れた鶏炊き込みご飯を一人土鍋で作った。確かに大根はいい。

2023/11/9 [心理カウンセリング]
朝ドラ、ブギウギ。スズ子が草薙のもとでレッスンを始めるが、何度歌っても全くOKが出ず困惑する顔に、カントクの面影を見出した。初めて気づいたが、困り顔が少し似ているのかも。そう思い始めるといろいろ似ている気がしてきた。体型、性格はだいぶ違うけども、ピュアな一面で通ずるところがある。美人でもないし、子供っぽくて女性的な魅力も乏しいが、なんかほのぼのする愛おしさ。
懐かしくも悲しい。

公認心理師による心理カウンセリングを受けにいく。
僕が思う、母を失ったことの苦しみは大きく4つ。
・最愛の人を失った悲しみ
・救いの声に応えなかったことへの謝罪
・感謝と愛情を最後まで伝えなかった後悔
・母の体験した苦しみを思う恐怖
そして、失業や離婚を含む今までの経緯、再出発のための行動と不安、気持ちを共有できない姉への依存、バイタルの変化等について話す。
ひと通り話すだけでほとんどの持ち時間を費やしてしまったが、それによって何かの答を得られるわけでもないと徐々に察してもいた。一言で言ってしまえば、僕の考えを全て吐き出し、それを頷いて聞いてくれる人が居てくれたというだけかもしれない。メモはしっかり取っていたけど、話を終えればもうお互い何も話すことは無い雰囲気だったし、次回の診察を促されることもなかった。結局は、解決など誰にもできないと納得するためのステップだったように思う。それもまた無駄ではないのだろう。
安静時心拍数はここ1週間で見ても増加傾向にあり、もう40を超えている。なぜ増え続けているのかが不気味だ。
交感神経を落ち着かせる薬などを内科で処方してもらえるだろうと言われた。心療内科が機能不全で事実上使えないのは常識みたいで、ある程度は内科でも対応できると。それと、姉に過度に期待しても傷つくだけだから、考えを切り替えるよう言われる。確かにそうだ。頭では判ってるつもりが判ってなかった。母よりも仕事が大事なのは何故なのかといくら問い詰めても、何も変わることは無いのだ。
四十九日もまだだし、そんなに早く悲しみが消えたらお母さんガッカリするでしょうと言われて少しホッとした。

2023/11/10 [英語で励まされる]
英会話は今日もイアン先生。僕の苦悩を汲み取ってか、励ましのイディオムから始まる。一日一日を大切に、過去でも未来でもなく今に生きる。
Today is the first day of the rest of your life.
Seize the day! その日を掴め
Live in the moment.

やがて、古代ギリシャのマルクス・アウレリウスの名言を読み語る会になった。日々の周りの美しさに目を向けよう、人生の幸せは思考の質次第、「いい人」について議論する前にいい人になれ、生き、考え、楽しむことの素晴らしさをよく考えよう…。
最後の一言は、母が脳梗塞で少しずつ機能が失われていく中、僕自身よく痛感したことだ。医師と和やかに会話する車いすの患者を見て、どれほど羨ましく思ったことか。
結局は全てを失い、この教えが逆の意味で響く。

朝練やってるから来てみない?と先生に誘われる。なんと、バイク練? それとよく判らんけど体操とか。朝は苦手だが、顔出してみようかな。交流の輪を広げるのは自分次第。

英会話で充実した時間を過ごしても、終わってしまえばすぐ逆通り。母への想いは徐々に薄れるどころか、日々強まりそわそわ感が増大し、一瞬たりとも落ち着かず逃げ場がない状況になっている。なぜだろうか。
日常の周りで目にする様々なモノコトと、母の思い出とを無意識に結びつける作業をしてしまうからではないか。それは日々増えてうず高く積み上げられていくばかりだ。
その理論で行くと、どこかで頭打ちになり、あとは緩やかな下降線を描くことになる…のか?
ピークアウトはホントに迎えらえるのかが怖い。

2023/11/11 [残されたメモ]
TKD駒沢練、今日も直前になってやっぱり怖気づき行くのを止める。本当に心が弱い。
その代わりに、姉の早朝ジョグに付き合う。ほぼ1カ月ぶりとなるラン再開、初日としてはちょうどいいかもしれない。6時半スタート。結構風が強い。
キロ8くらいからゆっくり始めたが、姉のフォームがやや独特で、まるで競歩のよう。急いでいるが走りたくはない人のように見える。つまり後ろ足が地面に残り過ぎなのだ。それと、特に右の腕ふりが激しすぎる。いろいろ検証した結果、腕ふり自体の問題ではなく、上半身の筋肉が少なすぎるため、骨盤から上が脚の動きに負けて安定せず、反動で腕が振り回されていると見た。為末大の乗り込みビデオを見て研究するべしと告げる。
久しぶりのウンドー、低速でも徐々に脚が筋肉痛になり、気持ちよく走れなかった。心拍計が暴走しアテにならない。
R10km 1:09:40 P6:56 HR131/146 703kcal TE3.8 164spm 18℃

入院中の母の思い出。
昆布の佃煮をリクエストされたことがあった。給食のおかゆに足すつもりなのだろう。
昆布ならフジッコがOKで安いよと言ったが、フジッコじゃない、「おにぎり昆布」じゃなきゃダメだという。いいかい、間違えじゃダメだよ、おにぎり昆布って名前でヤオコーに必ず売ってるから、ヤオコーのだから、と母は何度も念を押した。
確かにその商品名でヤオコーに売っていた。これで母の納得する顔が見られると僕は安心して持っていくと、母はよしよしと満足そうな表情をしたが、一口食べて、考え込んだ顔になった。母にとっておそらく、このおにぎり昆布なら経験上美味しさは保障されているはずだった。しかし、戸惑うほど期待した味とはズレていた。それは母の味覚がすでに病に狂わされていたためにほかならないが、母はそれを認めたくはなかっただろう。残酷な通達だった。母が受け付けるものはこうして日々狭められていった。
母が手をつけず残されたおにぎり昆布をようやく食べ終える。


母のスマホをチェックしていたら、メモを日記代わりに使っていたことに気づき、僕に関する記述が少しだけあった。予想通り、ブチ切れる僕に困惑し失望していることが書かれてある。涙なしでは読めない。書いてある通りだし、理不尽な暴言はこの日だけではない。
無断借用で母には申し訳ないけども、自戒を込めてここに載せておく。

これが書かれたのは2020年12月で、僕の記憶よりずっと早い段階から母に当たり散らしていたことに気づかされた。母にはコロナ禍以降ずっと冷たく当たっていたことになる。最後の人生をこんなにもかき乱した我が身の愚かさを何と言って謝ったらいいのかわからない。
子を心配しない親などいないことになぜ気づけないのかと嘆いているが、僕のほうも、母に愛されたくて仕方がないとなぜ判ってくれないのか、と叫んでいた。一度でも素直に心の内を話すことができたら、問題は解決していたのにと残念でならない。

最後の「本当の敵」とは一体誰のことだろう?

2023/11/12 [脱却のメソッド]
イアン先生に誘われてた日曜朝トレに参加してみる。6:30、自宅隣の大学構内の芝生を一部利用させてもらう。
参加者は黒人のホリスとイアンと愛犬二匹。近くでずっと行儀よく遊んでいてかわいい。
我々に馴染みの内容とは一味違う体力づくりで新鮮だった。例えば ”クマ歩き”。四つん這いで歩くのだがこれが結構難しく、逆方向はさらに辛い。筋力が求められる動作が多く、息が上がる。

英会話。初めてのマーク先生。彼が好きだという80年代の映画やポップスというテーマで終始する。彼は割と一方的にしゃべり続けるタイプで、速くて聴き取れない。若い人は80年代ネタについていけなかった感じ。
日本語ができない先生ほど、英語を分かるように話してくれない法則がある?
1日1%でも上達すればいいのだ、が口癖のようだったけど、それって実際はあり得ないよなー。1%の日複利で貯金が増えたら、2カ月ちょっとで倍になってしまう。

人生の美しさに目を向けよ、とマルクス・アウレリウスは言った。
大切なパートナーがいると、新緑の生命感やダイナミックな雲や絵のような夕日など日常の何気ない景色に素直に感動して幸せを感じ、そんな自分に驚いたりもする。
だが、その逆も然りということを、カントクが居なくなったここ数年痛感してきた。一人者にとって、美しい日常に切なさを覚える。
それはつまり、感動を共有する喜びであり、共有できない悲しみだと思う。映画を観たり美味しいものを食べたりといった場面でも当てはまる。
母の死から少しでも立ち直るため、新たな取り組みを少しずつ始め、以前の自分とは少なからず違う自分を歩みつつある一方で、その充実感や新たな発見などを母と共有できない虚しさや切なさで落ち込むジレンマがある。
喪に服すことの意味は、このことと関係するのだろうと思う。新しいことは何かと心が痛むのだ。
悲しみから脱却する最良の方法は、今までと変わらない生活を淡々と送ることではと思う。つまり忙しい日々の労働に身を置くのが本来あるべき姿だろう。だが、僕にこの方法は適用できない。母への食事の提供くらいしかしてこなかった僕は、その唯一のタスクも失ってしまった。この良くないパターンは、近年の社会では特に起こりうると思う。

2023/11/13 [こだわること]
昨日の流れで今朝もバイク練に参加。近所をぐるっと2周する17kmとのこと。
参加者は昨日と同じ(犬はいないが)。スタートは6時でちょい早い。結構緊張して寝不足気味だ。
一気に寒くなって気温8℃。彼らのクロスバイクは重そうだし、ガチで走ることはないと踏んで厚着してきたが、読み通りだった。面白いのは、二人とも携帯スピーカをフレームに取り付けて、音楽を聴きながら走っていることだ。しきたりに縛られずとにかく楽しもうというこの発想が日本人にはない柔軟さだね。
普段のランコースを一部走るのだが、この時間のランナーの多さに驚いた。朝ランしている人は多いんだね。
それにしても、正直負荷が低すぎてウンドーにならなかった。申し訳ないが、これは参加するモチベーションが湧かないなあ。

母の死を通して考え方がいくつか変わった。
そのうちの一つ。
人それぞれ、好きか嫌いかの理由なんて、実際は本人も判ってないかもしれない。
母は近年TVの声が聴き取り難くなっていて、音量調整で不満を漏らすことが多かった。ある日、手許に小型のスピーカを置きTVと繋げることで解決した。大音量にせずとも声が聴き取りやすくなっただけでなく、臨場感も生まれ、いい解決をしたなと思う反面、僕はこのスピーカで増音する行為になぜか反感を覚え、一人でTVを観るときは消していた。
だが母が居なくなった今、僕はスピーカを常にONで使い、これを嫌う姉が居るときだけ仕方なく消す。つまり好き嫌いがいつしか逆転していた。これは恐らく、身体的不自由さに対する嫌悪感から、母の好みに同意する感情へと変化したのだろう。でも、いずれもそれは、音声補助装置が好ましいか否かを決める合理的理由にはならない。つまり僕にとって本質的にはどうでもいいことにこだわっていたし、それが少なからず不幸を生んでいた。
「こだわり」はデザイナーに必要なこと、などと考えて妙に大切に扱ってきた感があるが、実際こだわりのほとんどはくだらないもので成り立ち、他人に迷惑をかけ自分の首を絞めるだけの存在だ。

夜、ブロックチェーンの発案者サトシナカモトの正体を探る番組が面白かった。
そのなかで、ナカモトと仲の良かったプログラマーがALSを患っても開発に興味を持ち続ける話を聞くうち、ALSを患う自分のケースを想像して怖くなった。五体満足で経済的不安もない自分の境遇をありがたく噛みしめるべきなのだ。僕の抱える悩みなんて実害のないちっぽけなものなんだと。
そうなんだけどなー。

2023/11/14 [連続レッスン]
英会話は10時からの早クラスに参加。人気者というラフィ先生だったがたまたま僕一人だったためじっくり話ができた。日本語は不得手らしいが彼の英語はとてもわかりやすかった。彼は僕の片言だけで本意を拾い上げてくれるので深い会話が成立しやすい。人気の理由がよく判った。陶芸の作品を写真で少し紹介したら、いろいろ持ち上げてくれて元気が出た。僕の身上も理解してくれて、介護の仕事に関心が向いていると話すと、誰かを助けることで助けられたい意図をすぐ汲み取ってくれた。「ぼちぼち」がいいねと理解ある言葉をくれた。
帰りがけにイアン先生に呼び止められ、続いてのレッスンの無料参加を誘われる。ラッキー!
彼は若い頃から国内外のバイクツーリングが趣味で、世界一周が夢らしい。特殊なギア構造を持ったイアンのバイクは地味な見た目だが特別タフな作りらしく、ホントに100万くらいするレアものと知った。彼のバイタリティは凄すぎて、ちょっと息切れしそうだが。

あさイチで、AIが弾き出した納豆に最も合う食材がヨーグルトと聞いて試してみる。スタジオではイマイチな反応だったが、うーむ、好みの味ではないな。AI大したことない。以上。

2023/11/15 [Grief]
朝ライド、イアンが疲れているらしく前回より遅い。だが今日は前回省略した公園の器具での筋トレと坂道を利用した基礎トレが結構エグかった。やっぱり熊歩きが相変わらずムズい。

昨日あたりから、緊張で時々手が震える。それと、突発的に涙が出る。制御が難しく、外出が少し怖い。
内科で薬を処方してもらうべく最寄りのクリニックを調べたら、心療内科も一応あると知りダメ元で聞いたらドタキャンが出て奇跡的に予約できた。あいにく今日午後の陶芸サークルと重なり、途中で抜け出して診察を受けにいく。
初めての心療内科。説明する時間がもったいないので事前のWeb問診で要点をきちんと書いておいたが、結局涙ながらに話を繰り返す。医師は丁寧に耳を傾けてくれた。とは言え細かく説明してもそれによって処方がなにか変わるわけでもない。予想通り特効薬などなく、「時間」だけが有効な治療薬のようだ。僕のこれまでの対処は悪くないらしい。そして、無理をせず自分の気持ちに素直に従いマイペースで進むよう言われた。僕は適応障害と診断された。高ストレス状態や心拍の異常などの身体的反応が脳や心臓等へ与える影響は気にしなくていいらしい。人間として正常な反応だし、その程度で壊れることはないと。ただ僕としては、日々の絶え間ないしんどさを科学的に軽減させる薬が欲しい、それがここへ来た最大の目的だ。
不安をやわらげる薬(クロチアゼパム錠)を処方された。いわゆる酒を飲んでリラックスする状態に近いということで、つまり酒でも代用可? でも、酒を飲んでも気は紛れないんだが(効果あるならどんどん飲んでる)。
ただこの薬の副作用を調べると結構ヤバそうで、飲むのが怖くなった。
医師は僕の状態を「悲嘆(ひたん)、英語で griefと言います」と言った。なぜ英単語が出てきたのかというと、概念を示す言葉としてはこのほうがポピュラーで、グリーフケアという言葉もあるようだ。調べると、「ただ一方的に励ますのではなく、寄り添うことが大事」とある。まさに僕が身の回りに望んで訴えてきたことだった。
でもそのグリーフケアを病院で行ってくれるわけではないし、姉にはどんなに訴えても全く通じない概念。

2023/11/16 [LとR]
10時から英会話。初めましてのジョナサン先生。ソフトな低音で、スピードも普通なので僕には聞き取りにくかった。時事関連の記事を題材にして学ぶ方法が中心で、今日は世界人口が80億を超えたという話。専門用語や硬い言い回しが多くて知らない単語が多い。受講生の一人は辞書を持ち込んでいた。
ついていけず落ち込んだが最後に発音を褒められたのは嬉しかった。
レッスンが終わるとみんな足早に帰る。無駄話も受け付けない感じで、期待したような関係構築にはなかなか繋がらないのは残念。
帰宅後、向精神薬を飲んでみる。40分くらいで効いてきて、頭がボーっとしてふらふらする。確かにお酒飲んだ時に近いかも。仕事や運転前には飲めないな。やがて動きたくないほどの眠気が襲ってきた。こんなに効き目がハッキリしているとは思わなかった。脳の働きが阻害されるせいかDuolingoは解答に窮するし間違えてばかりなので諦めた。緊張状態は7割くらい融けて、落ち着ける気がする。涙が出てくる気分にはならない、というか母への自然発生的な想いは回避されている感じ。割と僕が期待していた効果かもしれない。

英語のLとRの発音の違いを今更ながら調べた。Lは舌を上歯茎に付けて、Rはつけず宙に浮かせて。全然守ってなかったな。
日本語のラ行はLの発音に近いから、音声入力では大抵rightよりlightが、riceよりliceが選ばれる。だが、プレイはほぼprayのほうが選ばれるのが不思議だった。
プレイのプの発音は舌が引っ込んでいるため、レの発音で舌を上歯茎に瞬時に移動する意識が無いとそのままプエイと言ってしまいがちだから、と気づいた。この解決として編み出した方法、プの発音時にすでに舌を上歯茎に付けてスタンバっておけば、レもLになりplayと聴き取ってもらえる。
勝手なルール作ってますが?

2023/11/17 [階段トレ]
雨の日は正直ホッとする。
イアン朝練はナシ。だが、午後に階段トレやるから来いってことになった。隣のタワマンに住むイアンはよくやってるらしい。午後1時、食べたばかりの中華丼大盛りで腹が膨れているが、ランでなければ問題ないだろう。
同地区内でも我が家の棟とは作りが違って内階段であり、非常用途の色が濃いせいか蹴上が大きく作りは質素でオフィスビルの階段に近い。天井と床の間が高いのか、1階分も高い気がする。滑るタイル張りで蹴上も小さなウチの階段で練習する気には全くなれないが、このタワマン階段はストレスが少なく快適だった。トータル385段かな。
25階からの眺めは初めてだったが、全く別の世界に見えた。スカイツリーがあんな近くにあるなんて。母にとってこの景色は恐らく仕事で見慣れていただろう。
イアンは最初に練習量を言わないのが怖いが、着いていけない感じはないので今回不安はない。下りはエレベータ。2本目は1段飛ばしで。黙々と上り続けていると、富士登山レースの単調さと似ていると思った。3本目は2段飛ばし? ウソだろと思ってたら冗談だった(ホントに冗談?)3本目は駆け上がるスタイルで。4本目で再び1段飛ばし、5本目で普通に、と山形ピークのメニュー。トータル1925段。約30分。
最大心拍はずっと80手前だったが、最後に急に120に上がる。んーどちらが正しいのか判らない。

「今日の料理」で元宝塚女優がバラ肉を使った料理を紹介していた。どれも豪快なメニューで気持ちいい。姉がこの人のような好みだったら楽なのにな。姉は、味噌以外の調味料禁止、揚げもの炒めもの禁止、納豆以外の全加工食品禁止、ニンニクニラネギ禁止、白米パンパスタラーメン禁止、お菓子もちろん禁止。禁止ばかりで接点がない。
パスタは普段一食分200gと聞いて驚く。大食いなところだけは姉貴と似てるな。

2023/11/18 [酵素玄米の謎]
朝方、初めて母の夢を見た。指でトントンと叩かれ、一言「ケン」と呼ばれ、改まってどうしたの? と返したところで目が覚めた。
涙が止め処なく溢れる。情緒不安定で今日もまた駒沢練には行けなかった。

姉が、8万もする酵素玄米専用炊飯器を通販で買って設置した。我が家のフツーの炊飯器で妥協するのがもうイヤみたい。
酵素玄米ってなんだ? 調べてみた。発芽玄米を炊いて三日以上保温して寝かせてから食べるものらしい。だがこの酵素玄米とやら、なにやらきな臭い。
まず、そうやって作った酵素玄米は「発酵」しているのか否か? ここは最も重要なポイントだが、どうもハッキリしないのである。多くの紹介サイトでは、3,4日保温する過程で発酵すると明記してある。だが、酵母菌を仕込まずに、70℃以上の保温窯でどうやって安定して発酵が起きるというのか。それらしい匂いもしてこない。なお、取説のどこにも発酵の文字はない。あくまで熟成である。
僕が調べた限りの結論を書く。高温で数日保温することで、まずメイラード反応(焦げ)が独特の旨味や身体に良さげな物質を生成すること、食感が変わり食べやすく消化のいいごはんに変わること、等が期待できる。発酵はしていない。

次に、酵素玄米の「酵素」とは何を意味するか。まず酵素というのは複雑な高分子構造のタンパク質で、炊飯時の熱で簡単に分解されるため、食べるときには残っていない。仮に酵素を食べても胃酸等でも壊れるし、腸に届いても消化酵素として役立つわけではなく、健康増進に繋がる類いのものではない。ここで「酵素」の目的は、発芽玄米を水に浸したときに芽の酵素の働きでGABA等の栄養価が高まった玄米に変える役目、ということだ。長期保温とも関連しない。
まとめると、酵素玄米専用炊飯器の特徴は、玄米を効率よく発芽させ栄養価を高めて味よく炊くこと、高温での長期保温に耐える構造であること、の二点。それなりに役割はあるものの、クソ高い本体価格、3,4日かけて電気代も消費する代償に見合った価値があるかどうか。んー本人が納得ならまあいいけどさ。なお、姉に発酵と腐敗は同じことだと言うと機嫌を損ねて席を立ってしまう人である。
僕は、酵素玄米を発酵食品と謳っても誰も正しく否定する者が出てこないこの界隈全体がひとつの宗教であり特殊なジャンルと見た。象印やタイガーなどのまともなメジャーどころが参入していないのがいい証左だと思う。
ところで、激やせの姉は玄米100%食を止めるべきと思ってるが、これもまあ聞き入られるはずもない。

夜、顔馴染みの民生委員が母の安否確認に訪れた。母が亡くなったことを告げると驚くとともに、近所で安否の噂が立っていたとも言っていた。
ただ、結構お年を召しているように窺えるその方も8月に母を亡くしたそうで、相続手続きで忙しくしたという。同じ境遇同士もっと慰め合ってもよかったのかもしれないと後で思った。
辛くなって向精神薬を飲んだが、前回と違ってほとんど効いてこない。
小さなデイサービスのバイトに意を決して申し込んだ。社会復帰へのカウントダウン。

2023/11/19 [18年ぶり]
日曜日はイアンの早朝基礎トレ日。Yさんという方が来られたが、イアンとはもう20年来、極真空手の道場からの付き合いらしい。イアンはボクシングも嗜んでいたそうで、ほんとに精力的な人だ。
今日も疲れた~。

午後、18年ぶりの人と会う。
先日、僕のホームページ読者というFさんから、初めてメールを頂いた。
2005年、TDOの前まで物見山練にVitesseメンバーとして数回参加されたというFさん、実は全く覚えがない。日記を読み返すと夏の白石峠練に確かにFさんの名前が出てくるが、僕自身も初物見山練の頃だった。
そのわずか数回の繋がりしかないのに、落ち込んだ僕の支えになりたいと遥々会いに来てくれるという。そんな奇跡のようなご提案を甘んじて受けることにして、本日会う運びとなった。
駅でFさんと対面しても、記憶は蘇ってこない。ほぼ初めましてだが、遠い昔の話が通じる奇妙な感覚。
Fさんはすでにロードから身を引いて長く、共通の知人もどうやらいないと判った。なぜ20年近くにも亘ってこのサイトを訪れに来てくれるのか、益々謎めいている。
周囲に気兼ねなく話ができる海沿いの公園へ。日曜で割と賑やかだ。陽が傾いてくるまでベンチで話をした。持参したドーナツやコーヒーも全く準備しないまま話に夢中になってしまっていた。でもFさんはどこまでも僕の話にじっくりつきあってくれた。感謝の言葉もない。
たぶん僕は、自慢の母をなんとか少しでも誰かの記憶に残したいのかもしれないな。
僕から見た母は光るものを有していた人だったけど、その才能や美点はほとんど表舞台に立つことはなかったし、本人の望みでもなかった。僕としてはやはりそれが心残りでもあるのだろう。
帰る頃にはFさんの面影を昔の記憶の引き出しに見つけたような気がしてきた。
ただそれにしても、わざわざ浦安までやってきたのは、Fさんにも実は何か伝えたい思いがあったからなのでは、僕が何か汲み取るべきことがあったのかも、などと、後に思い返してもみたが、やはり判らず仕舞い。僕が存分に想いを吐き出せるよう自身の存在感は引っ込めていたのだと思うが、普段からそういう方なのかもしれない。

ここの読者は計5人くらいと思ってたが、もう一人多かったようだ。

2023/11/20 [棚に商品がない]
英会話。二度目のJem先生はやっぱり難易度高い。それを目当てに受講生が集まる気もして表現が慣れている。語彙力や文法知識も僕だけ低い。出題形式の時間では、なぜその答になるのかのフォローがなくパッと次に進んでしまう。Idiomの意味を推測する問題では、答すらわからない。これでは何も頭に残らず肥やしにならないので、次回は少し食い下がってみたい。
一つだけ覚えているのは、名詞の shop に「仕事の話」という意味があり、talkと使う。
Don't talk shop here! (ここで仕事の話すんなよ!)
とか。

イアンのこだわりツーリングバイクを見て、僕も久しぶりにマトモなバイク欲しいかも、と少し興味が沸いている。2005年型VXRS、1990年型Kestrel、いずれも傷み過ぎている。ところで、Kestrelは2018年に店を畳んでたっぽい。悲しいね。
今度はやはりドイツ製から選びたいか。日本で馴染みのないメーカーを探す。相変わらず、ドイツ語っぽい響きのブランド名が無くて悲しいが(CUBEもCANYONもぜんぜんドイツ語じゃねぇ!)Roseという新進のメーカーが目にとまった。フレームの面構成やカラーで気に入った機種が見つかった。ドイツ語っぽさは希薄だがRoseは一応ドイツ語だ。Canyon同様直販型らしい(送料高いけど)。日経平均はこの頃絶好調だし、金への執着心も全然なくなっちゃった中、久しぶりの物欲はメンタル改善にいいし散財するのもいいかも。ただし、昔みたいにハイエンドなガチレース仕様じゃなくて、身の丈を考えたpreiswertでbequemなやつ。恐れ多くて普段使いできないんじゃ意味ないし。ただし将来トラに復帰した暁には相棒としても使えそうなやつ。
だーが。僕に合うサイズ(50cm)は軒並みSold out なのなんで? そんな簡単に機会損失を放置するなよ。もし棚を可視化すりゃ北朝鮮のスーパー同然だよ(知らんけど)。

2023/11/21 [求められない人]
運よくIan先生とマンツーマンだったのに、今日は(調子もクソもないけど)まるでろくに話せず自分にウンザリしてきた。
イアンの話は相変わらず面白い。
先日車検を通すため検査場まで行って節約してきたかと思えば、宝くじを50年毎日欠かさず買い、また一方で中央アジアの知人を支援しているという。僕の何倍もの密度で生きている人だな。

某デイケアサービス施設の求人に申し込んだのだが、来ると約束された連絡がサパーリ来ない。もしかしてこちらからアプローチする積極性を試されたりしているのか?でもホントに人が足りないならそんな回りくどいことしないよな? 
この手の業界のしきたりが判らない。

2023/11/22 [朝ドラがしんどい]
朝晩寒くて風邪ひきそう。
朝ドラブギウギ、母親が病に伏したり弟が出征したりと、死や別れが連続して描かれ、ストレートパンチを受けまくって辛い。死とは何かを想像して怖がる弟に自分を映して見てしまう。生と死の境目を見続けたせいか、最近ホントに死が恐怖だ。自分が死ぬなら知らないまま死ねることを希望します神様。

午後は陶芸。4週間ずっと削り続けている半磁器の丸いオブジェ、ようやく愛着が出てきた。完成はまだ先だが、照明スタンドになりそうなことはハッキリしてきた。未だに柔らかい粘土には触っていない。

夜、また姉とケンカになってしまう。
姉は、自分に関わる家事(風呂の準備、衣類等の洗濯、ベッドメイクや皿洗い etc)を僕がやることを非常に悪びれるが、姉には僕が頼んで来てもらっているわけであるし、主夫がそれらを担うのは当然と考えている(何なら食事も提供したいが断られている)。だがその一方で、例えば、TVを点けておくことが僕の精神安定剤と断っているにも関わらず、僕が席を外した隙に消すような行動をなぜ平気でするのか。僕への気遣いはないのか? 僕は穏便に仲良くやっていきたいのに、なぜ角を立てるような言葉や行動を厭わないのか。
だが本人はそれが角が立つ言動とは全く思っていないし、合理的理由に基づいただけ、と答えるばかり。この言い合いが繰り返される。

でも、思えば僕の一方的な怒りは、僕がひたすら後悔し反省して止まない、母に対する態度と同じなんだよな。なぜまた同じ過ちを繰り返してしまうのだろう。ホントに愚か者としか言いようがない。
明らかに昔の僕はこんな風に不満を露わにするところはなかった。他人事のようだが、何かが壊れている。前頭葉がこの数年で急激に委縮しているのかな。

2023/11/23 [久々のウンドー]
珍しくイベントが何もなく、一日ソファに根を生やしてた。
夜、ふとローラーに乗ってみる。2.8w/kgのCクラス、Watopiaの平坦基調ループ。
すぐに心拍がグッと上がった。脚もだんだん疲れてきて、ローラーって効くんだなと思った。30分が長かった。集団が大きかったので楽させてもらったかもしれない。
RB20km Wa 30:50 38.9km/h HR127/142 353kcal TE3.8 164W 74rpm ↑81m

2023/11/24 [気持ちの波]
英会話、初めましてのエド先生。繊細そうな彼はとても丁寧でゆっくり話す。だが、愛想が良すぎて戸惑う。なんてことない話やイマイチな話をしても、相応以上の驚きや感動を示し追加質問が来るので、今のはなにか誤解して伝わっているかなと身構えてしまう。いや、実際そうなのかも。

ここ数日、少し気持ちが落ち着いてきたかなと思っていたのだが、夜からまた心神耗弱っぽくなり薬を飲む。どうも波がある。でっかい波が来ないとも限らない。
専ら今日は、現在にも未来にもビジョンがないことへの絶望感と恐怖か。

2023/11/25 [完璧なジャンプ]
今朝も気持ちが落ち着かず、薬を飲む。朝に飲むと妙に効き目が強いのか、ソファで気を失ってたりする。
駒沢練は当然のようにサボる。再開の見通しが立たず、もう二度と行かないような気がしてきた。走るのなんてクソつまんないことをなぜやる必要があるんだと思う。

フィギュアのNHK杯、復活した鍵山を久しぶりに見られた。彼の演技は素人目にも滑らかで力みがなく全体的に整って見え、惚れ惚れする。宇野も昔のガキっぽさが消えていい味出してきたし完成度も上がったと思うが、僕は鍵山の滑りが好きだな。ただ、青いジャケット着てあの素っ気ない顔だけ見ると町工場のエンジニアにしか見えない。舞台用の化粧をしてメリハリつけたらどうだろうか? せめて眉毛はさりげなくしっかり描いてほしい。
二人の新たな魅力の創出を母は見られないんだなあ、と思うとまた辛くなってしまう。

2023/11/26 [マズさ極まり]
日曜朝トレ@キャンパス。イアン不在、Yさん寝坊で7:30集合。僕にはちょうどいい時間かも。
ラインのグループ名にもなっている ”トカゲ歩き” は、熊歩きにさらに一歩ずつ腕立てを加えたハードメニュー、だけどホリス主導のおかげで省略。ちょい緩めに終わる。
それにしても寒い日。

夜ローラー。インスブルック定番ソロ走。
RB16km In 36:44 26.3km/h HR137/149 456kcal TE5.0 189W 69rpm ↑427m
上りが多かったせいか平均出力は高かった。こんな短時間でTE5まで行ってるが体感的にはさほど追い込んでいない。最近NMNもほとんど飲んでなかったし、心拍が高いのは何故なのかもう判らない。長期ブランクの影響か。

夜、姉制作の豚肉料理を少しおすそ分けしてもらい、激しく不味くて驚く。今すぐトイレへ駆け込みたいくらい不味い。僕は、食に関しては極めて許容範囲が広いと自負しており、例えば最も嫌いな伊達巻でさえ、平然と食べることに何の問題もない。だが、今回これほどのものは…初体験かもしれん。我が家のスパイスをどう悪用してもこの味にはなるまい。おそらくこれは、姉のオリジナル ”だし” によるものだろう。アフリカ原住民集落の晩餐に招かれた探検家の気分だ。

2023/11/27 [TalkとBasic]
脹脛が滅茶張ってる。昨日のローラーがかなり効いていてびっくり。
朝バイク。イアンもホリスも真剣に走ってないから温すぎ。僕にとってのメインは、川沿いの運動器具場での筋トレかな。腕立てがまだ昔みたいに連続してできない、当たり前だけど。

朝ドラ、妻に先立たれた柳葉が、1年も経って未だ飲んだくれているかと思えば、屋台のおやじもツレに逃げられて気を失うほど飲んだと打ち明ける。そういうもんだよなあ。
僕は気を失うほど飲んだくれたことはないから、まだちゃんとしてるほうじゃないか?
カッコ悪いと言いながら、未練をいつまでも引きずるのが男なんだよね。まったく。
でも、相思相愛のまま奥さんをきちんと見送れたのだし、気遣いのできる愛娘がついているし、柳葉はまだ幸せだよなあ・・・。

Talkクラスがどうも身の丈に合ってないので、Basicクラスを試すとイアンに告げたところ、Basicとは言っても期待するような基礎トレはしないと釘を刺される。長年工夫を重ねてきたが、文法などでテーマを決めての練習は人気がなくて結局やめたという。英語塾かよ、って言われてしまうらしいが、その通りだろ?
で、イアン先生のBasicクラス。今日はおばさま二人と一緒だったが、相変わらず僕が断トツで話下手だった。つか、BasicもTalkも差がない。イアンの言ってた通りだ。
今日は、訊かれた質問にどれも答えられなかった。
英語以前に答自体が頭に浮かばない。テンパってるので尚更だ。
つまるところ、問いかけのほとんどは How about you?  あなたのことを話してください、それって面接や合コンでの会話術みたいなもんで、ヘタな奴はどこまでもヘタだと思う。まあそれも含めての英会話スキルと言われればそれまでだが、自分のアイデンティティを晒す躊躇いって必ずあるでしょう?
僕の場合レッスンが高頻度なので持ちネタが尽きてしまうのもある。そう毎日人に話すネタなんて無い、ましてや僕のような生き方では。

今日も夜ローラー。ジョグに出るのはすっかり怖気づいているが、ローラーはまだできる。
筋肉痛が残るので、Watopia平地基調のグループ走、たぶん先週と同じ。Cクラス2.8w/kgで人数そこそこ多く緩い。途中考え事をしてしまい、カントクと母の想い出がミックスされて涙が出てくる。所かまわずなんだよな。
RB30km Wa 48:00 HR133/148 569kcal TE5.0 172W 75rpm ↑131m
緩かったのに今日もTE5が出る。最後の6分間はHRave144、見たところエラーはない。辛くはなかったので、ありえない値が現実に起きている。ただ、心拍数が勝手に上がってくれるおかげで楽なのは間違いなさそう。

2023/11/28 [仏壇物色]
おお、脹脛がビンビンに張ってる。ローラー効いてるな、というより、1カ月サボったツケがここまで出るか。

朝から気分が滅入っているので薬を飲み、二度目の心療内科へ。心拍の常時上昇は高止まり状態だが、たまに下がる日が見られる。パニックになりそうな孤独感や不安感の頻度も幾分減ってきた。波はあるが、ピークアウトし緩やかに減る傾向にあると思うと申告。自分で言ってりゃ医者要らないけどな。不整脈が頻発するので、次回に心電図をとってもらう約束をして、薬を追加でもらう。
帰りがけにニトリで仏壇を下見。仏壇ってどこで買うのがいいんだろう。ハセガワから時折電話がかかってくるが、都内の縁のない店より何度か世話になった近所のニトリのほうが(大衆的だとしても)いいような気がしてる。お金をかけても欲しいものに近づかないし。
見ていると涙が止まらないので退散し、ヤオコーで花を買っていく。ささやかでも花を飾るようにしよう。母が残していったお金は母のためにも使わないと。

「彼女たちの犯罪」っていう母と見ていたドラマをやっと見終えたんだが、前半のミステリアスな展開の種明かしが実に杜撰で無理あり過ぎ。いずれにせよこの結末を知ることなく旅立った母を想うと悲しみややりきれなさが津波のように押し寄せてくる。夜も薬を飲んだのに全然効き目ない。

2023/11/29 [頼らない生き方]
情緒不安定で、イアンの朝練を断る。ごめんなさい。
午前中ラフィ先生の英会話。益々話ができなくなって落ち込む。何度も自分のことを訊かれて答えられないと、尋問で追い詰められているようだ。考え方を変えないとまずい。
午後は陶芸。概ね完成したが何か物足りない。惰性で作っていて魂が籠ってないんだろう。単なるいい時間つぶしだ。これからも人生ずっと時間つぶしだろうか。

夜、とにかくウンドー不足を解消しようとローラー。クローズアップ現代をしっかり見たかったので軽目の負荷を選ぶ。Watopiaのツルペタ往復コース、2.7w/kgの大集団なのでTVに集中してもうっかり切れることはないだろう。
と思ったらいつのまにか先行していた。温すぎた。
RB25km Wa 37:00 40.6km/h HR133/146 440kcal TE4.5 178W 77rpm ↑37m
今日のクロ現、働き方改革で医療現場崩壊の危機が迫っていることを伝える。予想以上にヤバいな。この調子だと近いうちに平等かつ手厚い医療が普通に享受できなくなる時代が来ると感じた。健康であることは国民の義務であり、今後益々重要になるだろう。自分の愚かさ故に医療制度に負担をかけることのないよう、自分の身は自分で守らねば。
2023/11/30 [新ルート発見]
またグリーフの大波がやってくる。うまく行かないことが幾つか重なって悲観的になってるのもある。ソファで1時間くらいダンゴムシになってたら、いつのまにかアルゾーが懐の中に居た。ありがとうアルゾー。
散歩する勇気も出ず、引きこもる。今日も夜はローラー。まだ走ったことの無い長い海岸線をWatopiaに見つけたのでソロで走ってみる。こういう変化の弱い道は好きだな。
RB26km Wa 42:40 36.7km/h HR135/149 518kcal TE5.0 183W 78rpm ↑123m

姉貴は玄米好きだが、米に混ぜるなら僕は麦が好き。扱いが楽だし臭いもないし、ぷにぷにした食感は楽しい。牛タンとろろとか、麦で食べたいメニューもある。そして、ローカット玄米などと比べて麦は極めて安く、栄養価も高い。いいこと尽くめだと思う。
ふと思い立って、麦100%で鍋で炊いてみる。麦を最初に軽く煎り、麦の1.8倍のカップの水で15分弱火で炊くだけ。パラパラし過ぎだけど悪くない。


2023/12/1 [自分語り]
秒針の音が気になって寝られないからと掛け時計を撤去させた姉。そんな人が、朝5時前から騒々しく掃除機をかけていることに気づく。世間が寝ている時間帯はお静かに、というあえて言うまでもない配慮が一切ない。近隣に響くからやめてくれとやんわり言うと、何か文句言われたのか? と。勘弁してくれよまったく。

朝散歩ライド。ホリス不在でイアンと二人。風が無く穏やかだ。最近ニューバイク買おうか考えてる話をしたら、家に余ってるっぽいTrekのロードを見せてくれた。結構古い型だが軽いし乗り心地は現代科学に基づいた快適さ。だが、僕にはサイズが全然合わないし、譲りたいのか意図がイマイチ読めないが、僕はバイクが入用なんじゃなくて、人生に新しい風を吹かせたいんだよ。
英会話もイアンの日。「直近のハッピーな出来事」みたいな質問はすっかりネタ切れで困ってる話を朝練でボヤいたばかりだったので、さーて今日のケンのハッピーネタは何かな~と案の定イジられたが、やはり冗談抜きで答えが出ない。些細なネタを昨日思いついてたんだがすっかり忘れてる。
レッスン後、同席したおばさまから、質問の答に困っているのは皆共通の悩み、と打ち明けてくれた。違う先生なら同じ回答を繰り返すとか、ネタを事前に考えておくとか、いろいろ対策も考えているらしい。
そもそも僕は誰かと話がしたくてここへ来たはずであった。せっかく堂々と ”自分語り” をさせてもらえるというのにいつの間にか苦痛になってるなんてバカだ。これからは、ネタの2つや3つ用意するくらいの予習をちゃんとしよう。それを英語でどう表現するか考えるのが勉強だ。受け身ではなく自分でレッスンを活用していかないと。

夕方、ヤオコーで巨大な生たらこを見つけてとりあえず買ってみる。
普通のタラコと比べるとどえりゃー安いんだけど、どう違うんだろう? まず、大きさが違うけど。
マダラとスケトウダラの違いだって?

ローラーもなし。

2023/12/2 [再開]
珍しい夢を見た。女性上司のお伴という任務でイタリアに出張を命じられ、内心ワクワク。夢とは言え心躍る瞬間が起きたことに、目が覚めて驚いた。人生に希望は見つかるか。

穏やかで走りやすそうな日だったが、駒沢は今日もサボる。
クルマに乗って出かける自分が想像できない。

団地の中庭でイルミネーションのデコレーションイベントがあり、夕方明かりが灯った。それをきっかけにして?ランを再開。姉とのジョグを例外とすれば、7週間、49日ぶり。
そろそろ母の四十九日だ。
最初の300mは調子良かったが、1kmくらいでもう脚に異変を感じてくる。5km以降からジワジワ我慢大会になった。ゆっくり走ってもダメージ防止には関係ない気がしてきたので、後半少しペースを上げる。
懸垂も7週間ぶり。イアンはなぜかランと懸垂はやらないのだ。なんとか10回できた。
R11.6km 1:04:10 P5:32 HR132/153 726kcal TE4.7 167spm 12℃

ジョグで恐れていたのは物思いにふけって激しく落ち込むことだったが、専ら姉のこと、姉に未だ頼らざるを得ない自分に腹を立てていた。僕が頼んで来てもらっているから何も言えないんだけど、それにしても、何一つ、そう何一つ、弱っている僕を気遣う配慮を見せた試しがない。全く知らない他人同然である。献身的なことも何一つしない。自分のことしかしない。僕が頼んだから来てるだけ、徹底的にそれだけで、それ以外の干渉は許されない。まあでもそういう思考回路の人であって悪気はないので仕方がない。悪気があってやってたらたまんないけどな。
今日は珍しくGarminのストレスグラフがほぼブルー、休息時間が増えていた。ストレスだらけの昨日とどう違うのか体感的な違いは全くない。心拍は相変わらず低くはない。何を根拠に判断しているのだろう。

2023/12/3 [四肢運動]
日曜朝トレ。今日はミディアムレベル、と言ってたのにどう見てもハードじゃん。
僕はどうも四つん這いになるエクササイズが極端にヘタだ。イアンと比べると一歩分のストロークがあまりに短い。単なる身長差では説明がつかない。恐らく体幹が弱いために縮こまったフォルムになっているのだろう。それと胴長短足短腕体型や、身体の硬さも影響していると思う。
いままで開拓してこなかった分野であり、続けるのは有意義かもしれない。

英会話はマーク先生。前回と同じ感想だが、自分ばかり喋っていて無駄な時間でしかなかった。早口で聞き取れないうえに、趣味のエンタメ話ばかりでついていけない。おもんねーよ、って空気も見事に読まない。もうこの人は避けよう。
ジョグの筋肉痛がハンパないのでローラー。Cクラス3.1w/kg@Makuriのグループ走、上りで230Wくらいを維持しないと離されるので結構しんどかった。つらくて30分で止めた。
RB19km 30:30 37.5km/h HR135/145 367kcal TE4.0 187W 78rpm ↑131m
案の定平均出力は高かった。

珍しく姉から、マイワシ買い過ぎたので食わないかと提案があった。
だが、丁重に断った。生姜だけで煮た、一日経ったイワシ水煮、奇妙すぎる味でとても食えないことは学習済みである。だがとたんに機嫌を損ねる。すごい勝手な人だなー。

2023/12/4 [戦争話反対!]
朝ドラ、戦争中の悲惨な話はほどほどにしてくれ。不幸ばかりで辛すぎる。それを伝えてどうしたいんじゃ? 「おまいらの祖先はこんなにクレイジーだった」って言いたいんか。知らんがな。もうほんとしんどい。

パスタを具の中で茹でる、という常識破りなレシピ、本場イタリア発祥だとは知らんかった。
トマトの炒め煮で香りを出すのが肝らしいが、水分が少ないとパスタが茹で上がらないし、バランスが難しい。

パスタがスープを吸うので濃厚になる、とは言うほど感じないし、時短にもならないし、メリットと言えば洗い物が減る程度かな。

2023/12/5 [落ち込む]
イアンの英会話。今日は割と積極的に会話に割って入り、自分から話しかけたのは良かったと思うが、我ながらかなり滅茶苦茶な英語で文法も何もあったもんじゃないと思う。思いついた単語をそのまま並べてるくらいのテキトーさだ。

母の四十九日のために位牌と仏壇を用意せねばとようやく腰を上げ始めたが、僕が想像しているよりも納期がはるかに長いことに今更ながら気づく。なんでも後手後手だ。まあでも遅れてもしかたないからとりあえず速やかに手に入りつつ妥協しないものを選んだ。
こうした作業の繰り返しでどうしても気が滅入ってきて、すっかり身動きが取れなくなる。
ラン再開もとても無理で今日もサボる。
薬を飲むが、やはり夜は効き目を感じない。

2023/12/6 [脳をだます]
「本心」という小説の新聞広告が目にとまった。作者は平野啓一郎。急逝した母をAI技術で蘇らせた青年が経験する、愛と孤独の魂の遍歴、とある。
どんなに技術が発達しても、どんなにお金を積んでも、死んだ人は帰ってこない。死別に遭った人は誰でもきっとこの判りきった定めにつくづく打ちひしがれると思う。
母宛ての手紙や母のスマホの挙動に母とのつながりやぬくもりを感じ取ってしまうのは、論理的思考の欠落であり脳のバグだ。それは逆に、脳は騙されやすいとも言える。もしも母とうり二つのロボットが現れたら、意外と全然オッケーかもしれない。などと思ったりする。いや、極めて危ないので考えないようにしているが。
亡くなった人をAIが再現するアイデアは僕も可能性があると考えていた。今後近いうちにビジネス化するのではないか。母の髪の毛を少し頂戴したのは、いつの日か母のDNAが何かを創生する可能性を残したいとの想いもあった。なのでこの小説は今の僕のぼんやりした希望的な発想がいきなり目の前に具象化され、とんでもなく感情をかき乱されることになると思う。パンドラの箱を開けてしまいかねない恐怖。だが関心がないと言えば嘘になる。
まあ、少なくとも1ミリも幸せにはなれないだろうから、近づかないでおこう。映画化決定? やめてくれ。

相変わらず全然走りたくないが、風のないこの好コンディションを活かすべきと無理くり外へ出る。
先日と違ってかなり調子悪く気持ちよくない。筋肉痛は消えたがダメージは残っているということなのだろう。2kmくらいで足底が痛くてやってられない。予定より早く墓地公園で折り返す。全くペースを上げられなかった。懸垂だけは問題なし。
R8.3km 47:55 P5:46 HR125/136 510kcal TE3.7 166spm 14℃

2023/12/7 [四十九日]
スマートウォッチで身体の不具合を早期発見、という事例をあさイチで紹介していた。イマドキのは心電図が測定できるのか、知らんかった。商品化には法律改正も関わっているとか。
Ironman等のエントリーに負荷心電図検査の提出が必須だった30年前から、僕の心臓は人とは違うことが判っているので、心電図がとれるスマートウォッチは関心がある。ちょっとググったら、クソ安い値段で売っているではないか。おまけに血圧や血糖値が測れ(ホントなのかな)、カウチポテト警告もしてくれるらしい。試しに買ってみることにした。
いろいろ見ているうちに、思い出したことがあった。ほんの数カ月前、血圧が計れる時計の新聞広告を見つけたと母が僕に相談してきたタイプと、これらはほぼ同じものだ。こんな機器でも身体の異変の早期発見に繋がる効果を上げ、専用の外来窓口を用意した病院もあるらしい。あのときもし買っていたら、身体からのシグナルに少し気を配ろうと意識が変わっていたかもしれない。だが僕は、インチキだろうと頭ごなしに否定したんだった。
母の直感力って、結果的にはいつも正しい。母は体調がどことなく気がかりだったんだ。僕はそれを酌むこともなかった。

英会話はラフィ先生。生徒が4人と多く、皆よく話せるので緊張したが何とか切り抜けた。ドーナツ、混ぜご飯、麺類など食べ物ネタが多かったのが幸いしたかも。

母の四十九日に、花を多めに買い、うなぎ丼をお供えにする。
母が好きだった食べ物はいくつかあったが、うなぎは特にシンボリックな存在だ。入院後ほとんど何も食べられなくなっても、うなぎなら食べられると意地を張ったので買ってはみたものの、結局は食べる機会は訪れず、そうして冷凍庫に残されたままのうなぎを、どうして僕が平然と食べられよう?
今日を理由に開封する。お母さんと一緒に頂くことにしよう。

母が病床で最後に食べたものはたぶん焼き芋ということになるか。脳梗塞発症後もまだ何か食べてみたいという気持ちが芽生えてスッと手が出た、最後の食べ物だった。確かに焼き芋は美味いけど…その場面を思い出すと強烈に悲し過ぎて辛い。
OKの焼き芋を買うことはもうできないだろう。売り場で目にするのも辛い。

今日もウンドーはサボる。
夜の番組で、サツマイモが最近ブームだと聞いた。そっか。最後に味わった食べ物として、悪くなかったのかもしれないな。母は案外流行に敏感なんだ。

2023/12/8 [家族像]
わからない。四十九日でいろいろと準備したからなのか、どうにも悲しみ止まらない。以前よりも想いが強くなってしまった気がする。生きる気力が全く生まれない。困った。
穏やかですごくいい天気で、気温も高い。外のほうが暖かいくらいだ。でも何もしなかった。
夕方薬を飲んだが、ちょっとボーっとするだけで、3時間くらいで切れる。
夜、余った鶏肉で鶏炊き込みご飯を作ったら、調合バランスがたまたまよかったのだろう、今までになく美味いのができた。甘味がちょうどいい。オイスターソースを加えたのが良かったのかな。炊き込みご飯は今まで何度も作っているが、母に未完成なものばかり食べさせてきたな、とまた落ち込む材料を見つけてしまう。

ゆりあ先生の赤い糸、意識の回復しない夫の面倒を自宅で看る話。これ見ていていいなと思うのは、一つ屋根の下で大勢ガヤガヤ賑やかなところだ。ドイツのWG(シェアハウス)のスタイルや、過去の朝ドラのひらりを見ても羨ましいと思った。コミュ力に欠ける僕は集団生活は苦手と思い込んでいたが、実は憧れていたのかもしれない。
ただ、ゆりあ先生がチャラい若造に魅かれるというシナリオはあかん。たまたま相手が悪人じゃないってだけで、逆ハニートラップの詐欺構造とどこが違うというのだろう。それに、彼女の義理堅さと、いとも簡単に夫を裏切ることとは全く相容れない要素だと思う。つまり、説得性のないストーリーは作り物でしかなく面白くないの。

2023/12/9 [やさしい味]
バグダットカフェという古い映画を観た。原題 "Out of Rosenheim" にある通り、ドイツのローゼンハイムから観光でアメリカに来た、キャラの濃い太っちょおばさんが砂漠のドライブインで繰り広げる地味な人間模様。
タイトルだけは聞いたことがあったが内容は全く知らなかった。人の描き方が丁寧で味があるので興味深く見ていられる。変な人が多いが、悪人や憎むべき人はいない。
映画ってそもそも激しく心を揺さぶられるものだから、今の僕には時に刺激が強すぎて辛く感じることがあるが、この話は人の温かみがやさしい塩味って感じでちょうどよかった。最近見た作品では一番面白かったかもしれない。

2023/12/10 [エドワーズ]
日曜朝トレ、ポカポカ陽気で気持ちいい。渋滞に嵌ってまだ来ないYさんを待ちながら芝生のベンチに座っていると、こんな身近にある日常の幸せすら母と共有したことがなかった、と涙が溢れる。
熊歩きがだいぶ様になってきた。コツを掴んだようだ。トカゲ歩きは腕を曲げないで腰を横に落とせばいいことに気づいた。ズルいけど。

英会話、初めてのスティーブ先生に申し込む。僕がダメ出しした隣部屋のマーク先生には人が集まっているのにこちらはマンツーマン。
まずはお互い現在独り身と判り、友よ、って感じになる。ただ、人が恋しい僕とは対比的に、彼はもう奥さんは懲りごりで、ペットとの賑やかな暮らしで十分であると。4人の子供を育てたからこその余裕かもな。動物保護のNPOでも働いている。彼もイアンに似てラグビーや合気道などガチなスポーツ経験者でMTBで1年間世界を旅したことも。凄い。大手英会話学校をリストラされ、愛犬を亡くし、ハゲで髭を生やした50代、やはり似た者同士じゃないかと。
「大草原の小さな家」で、粗野で母(キャロライン)が嫌がってたエドワーズを少し彷彿させた。

2023/12/11 [終わりよければ総てよし]
鈍った生活が続いているせいか、めまい症が少し出てきた。
今日もやる気がセンベロ。あかんですわ。
ドラマ「ミワさんなりすます」で、俳優、八海が危篤の母を見舞う。母とはこれまで何十年と疎遠だった。一瞬だけ意識を取り戻したとき、彼は彼らしい方法で母に愛情を伝え、和解し親不孝を清算する。終わりよければすべてよし。ずるいよまったく。
僕の気持ちは最後には母に理解してもらえたんだろうか。なぜきちんと伝えなかったんだろう。現実はドラマのようには上手く行かない。

2023/12/12 [使える道具]
イアンとまたマンツーマン。何がしたいかと訊かれたので、Eテレの英会話「フィーリングリッシュ」を例に挙げて、既に知ってはいるが案外使えてないちょっとしたフレーズなんかを深掘りする、みたいな提案をしたのだが、そういう類は長年トライしてきて結局ウケない、とまたしても否定的な反応。でもイアンが勘違いしているなと思うのは、我々の知らないイディオム(慣用句)を紹介しようとする点で分かる。知らないことを教えるのが教育とばかりに、使い勝手のいい既知のフレーズよりも、馴染みのないイディオムを伝えるほうが価値があると考えてしまう。だが我々は言語という道具をいかに使いこなせるかに関心があり、それはイディオムという切り口とは関係がない。さらに言えば、イディオムというのは概念のパッケージ化だから、使わなくても代替可能であり、初級者には必要に迫られていない。言葉の成り立ちは理屈じゃないから考えても仕方なく、ふーんそうですか、で終わりがちなのもよく分かる。
何がウケるかネイティブは気付かないというツーリズムでよく聞く話と共通性を感じる。

心電図が測れる時計が来た。
早速、心拍数88bpmなどとデタラメな値しか出ない。多少の誤差が生じうる血糖値や酸素飽和度、血圧などとは違い、この心拍数というのはパルスをきちんと拾えているかどうかに過ぎないから、読めてないんじゃそもそも機器として完成していない。安かろう悪かろうと言われてきた中国製も、最近は大分マシになったと期待したが、未だにこんなインチキな製品を平気で世に送り出す企業理念の低さに改めて失望させられる。

2023/12/13 [難題]
朝ライド。ひんやりしているが風がなく快晴のなか、イアンは24km/h巡航で温すぎる。それ精一杯なのかなあ?
だが、ネットで新たに見つけたというエクササイズは難しかった。仰向けに寝た状態から手を使わずに立ち上がるというだけなんだが、かなり難しい。上半身の反動を使って起き上がるのだが、素早さが重要で並々ならぬ体幹パワーが要る。僕はやっと1回できた程度のところ、イアンは10回繰り返していた。これで体力年齢を測れると言うが、若けりゃできるとは思えないけどな。
帰宅後再トライ。脚をクロスさせると成功しやすいことに気づいた。つまり胡坐から立ち上がる要領で、これはズルだ。

陶芸、先週窯入れした素焼きが出来上がった。
再入会後ずっとこればかりだった半磁器の作品、焼き上がってみるといい感じ。

夜、久しぶりにローラー。Cクラス2.8w/kg@マクリのグループ走。きつくはないが楽でもない。相変わらず心拍は高く、お陰でイヤな感じのしんどさはない。
RB25km Ma 43:30 34.5km/h HR133/148 518kcal TE4.6 181W 79rpm ↑255m

2023/12/14 [出川イングリッシュ]
安倍派のパーティ券裏金疑惑、大した見返りもないのになぜ信用失墜のリスクを背負ってまで金に執着するのか、その犯罪心理がよく判らない。そんなにあぶく銭が欲しいならもっと効率のいい別の方法がありそうなものだが。…いや、そうではなくこれが派閥への忠誠度の指標だったりするのだろうか。いずれにせよ、ろくでもない世界。はやいとこ政治家はAIに置き換わってください。素案をAIが作って議会が承認する、でいいんじゃないだろうか、マジで。AIに未来を託すなんて冗談じゃないってみんな思ってるだろうけど、邪悪な人間様に託すよりはずっとマシなんじゃないかね。

朝英会話、低い声が渋いジョナサンは少々難易度高く、来る人もハイレベル。というか僕がダメ過ぎるんだが。
昔よくイッテQの出川の英語を聞いて笑ってたが、僕の英語も見事に同レベルだった。話すというのはアドリブだから特に苦手なのだろう。
よくあるのが、主語が定まらずにごっちゃになるパターン。今日この時計を買いました、を言おうとして時計を主語に話し始めてしまい、途中でフリーズする。たぶんこれは、主語がなくても成立する日本語ならではの、主語を置く意識の欠如が原因だろう。
まずはとにかく I って言ってみるか。

2023/12/15 [ブランドロゴ制作中]
いつの日かインスタあたりで陶芸作品のページを作ろうとぼんやり考えていて、自分ブランドロゴを考え始めている。やはりこういう創作って楽しいな。

夜、火照りを感じ、測ってみると37.1℃と僅かだが明らかに熱がある。
なので少し躊躇ったものの、運動不足解消のためローラーに。Watopiaの海岸沿いコースをソロで。新しいコースなのに走っている人にはあまり出会わず閑散とした雰囲気。やはりグループやレースなど集団練を選ぶユーザーが多数派なのだろうか。
無理のない負荷で長めにと思ったのに結局無理してしまい、20分を過ぎて早くも脚が終わってくる。完全平地では200W維持は何とかできそうなんだが、アップダウンの際に負荷が落ちるのを防ごうとして無駄に体力を消耗する気がする。30分でお腹いっぱい。
RB19km Wa 30:10 37.9km/h HR134/145 362kcal TE3.9 185W 78rpm ↑78m

2023/12/16 [Year End Party]
気温も高いし風もないので絶好のラン日和だったのに、土曜駒沢練は結局サボる。
ダメだ、不安が先行して行動できない。困った。もう気持ちに正直に、一生行かなくてもいいかと思い始める。

朝ドラのブギウギでは、夜のおでん屋台で頻繁に誰かと飲んでいる。また、下宿では卓袱台囲んで家族のように賄い飯を食べられる。何気ない日常のひとコマに見えるが、今の僕にはいずれも実現困難である。英会話や陶芸で知り合った誰かを夜の店へ誘い出す? 状況的に不自然だし、同意してくれる人を見つけるのも難儀するだろう。
食事、特に夕食というイベントには単なる栄養補給以上の意味があると思っている。特に誰かと共に過ごすのが意義深い。サタン志摩も確か似たようなことを言ってた。こういった感性に訴えかける意見を姉にいくら説いても全く響かない。
そんなある日、イアンが自宅での忘年会を企画し、招待してくれた。思ってもみなかったありがたい話。奥さんは旅行中で、日曜朝トレ男子4人での焼肉パーティ。

そういえば気まぐれでサルサソースを買ってあった。トルティーヤとアボカドサラダを持参しよう。自分一人のためにメキシカンを作るなんてこの先も無さそうだから、マサ粉の活用先を思いついてよかった。それに、カリブ海諸島出身のホリスにも本格トルティーヤはウケがいいかもしれない。
思いのほか制作に手間取り、遅刻してイアンの家へ。すっかり待たせてしまった。
実はホリスの祖国はイギリス領ルーツであり、スペイン系のメキシコ料理に全く馴染みがないんだとか。エリア的には近くても文化的な繋がりはなく、料理はアフリカやインドの影響が大きいという。
野郎が企画するBBQにありがちな愚行として、見境なく食材買い過ぎ→フードロスがあるが、その点イアンの見極めはしっかりしていてセンスもあり素晴らしかった。
基本的に会話は英語で、僕もなるべく使うよう頑張った。酔ったお陰で話が通じている気分になれるのはプラスだった。イアンのダジャレのバカバカしさに大いに笑わせてもらったし、僕のノリ突っ込みにホリスがめちゃ受けてたのも嬉しかった。ホリスは図体に似合わず?繊細で優しい言葉をかけてくれる。
腹の底から笑ったのは夏以降初めてだったな。素敵な機会をありがとう、イアン。

2023/12/17 [TuFu?]
異変発生。
昼頃から急に左足の脛が痛み出し、歩くこともできない。なんじゃこりゃー?
まず頭に浮かんだのは、昨日の贅沢肉+ビール3本で痛風発症? ということ。
というか、痛風がどんな痛みなのか当然知らないんだが、とにかく訳も判らず無茶苦茶痛いのは間違いない。従来、痛みの発症には必ずスポーツが何かしら関わっており、何もしてないけど痛くなったというケースは、今回が初めて。非常に不気味なのだ。

夕方になるとなぜか痛みが収まってしまった。
喉元過ぎれば熱さ忘れるで、ローラー。2.8W/kgのグループ走@マクリ島。緩い感じ。
RB26km 43:40 35.8km/h HR121/144 467kcal TE3.5 163W 79rpm ↑178m

2023/12/18 [最後のメッセージ]
昨晩夜中に脚がまた痛みだし、気になって寝られなくなる。これは痛風じゃすまない、ひょっとするともっと取り返しのつかない重病なのでは。糖尿病で脚の切断とか、母が患った深部静脈血栓症か、あるいは母を死に至らしめた原因不明の疾患を僕も発病したか。夜中のため妄想がどんどん膨らみ、もうすぐ死ぬんじゃないかと本気で思い始める。
今すぐでも死ねるなら幸せかもしれないなどと、数日前に考えたこともあったが、いざ直面してみると恐怖におののいている自分がいる。

そして、ハッと気づいた。
こんな程度でも死を予感して恐怖を感じているのだから、病床の母はもう当然死を覚悟していたに違いなかったのだ。だからこそ毎日、電話で救いを求めてきたんじゃないか。あの時の本人の死への恐怖は、今の僕の比ではないはずだ。だが僕は、母が死ぬはずなんてないと思っていたのと同程度に、母自身も病気が治ることだけを考えているものと思っていた。なぜ僕はそんなにも想像力が無かったのだろう??
だから、母が最期に「死ぬはずなんてないんだから、一人ぼっちになどさせやしないよ」と僕に残してくれた言葉は、母が見せた精一杯の強がりであり、僕への最大限の優しさが込められていた証だ。そのメッセージに今頃になってようやく気が付き、僕は嗚咽が止まらなくなった。死への底知れぬ恐怖と日々戦い続けた母、そこに何も応えることのなかった自分の不甲斐なさに涙が止まらなかった。
本当に、取り返しのつかないことをしてしまった。


女性のジェム先生のレッスンは難易度高めなのでBasicクラスのほうに参加してみる。Talkクラスに人が集中していたこともあり。
と思ったらこちらもドタ参で増えて、おばさま方3人に混ぜてもらう形になった。
休日に家族で決まってすることはあるかという質問に、我が家ではハレの日に母が太巻き寿司をよく作ってくれたという話をした。その流れで、母は最近までチラシなどのメール便配達の仕事をしていた、と付け加えたら、あるおばさまには、母が近所にちらし寿司を配っていたことになっていて皆で大笑い。
僕はBrochureとは言ったけどチラシとは一言も言ってないのだけど。
仕事をしてたなんてお母さん若かったのねと言われて82歳と答えたら皆ひっくり返りそうになってた。自分より年上と判ったからだろう。だがその後が矛盾してる。じゃよっぽど若い頃にあなたを産んだのねと。おばさま方は容赦ない。
午後しばらくしたら脚の痛みが消えて、少しホッとした。
あいかわらず走りたくないのでローラー。Watopiaの海岸をソロで。
RB19km Wa 31:16 36.4km/h HR127/145 353kcal TE3.6 175W 79rpm ↑78m

ちゃんと食べてるかと各方面から訊かれる。一人暮らしの男やもめだからな。
一応最低限のバランスはとっているつもりだが、自分のために手の込んだ料理に手を出す気にはならず、手抜きし放題な上に、一人分のためうまく使い切るのが難しく、どうしても食材は限定されがち。
今日の夕飯は、久しぶりにおかずが三品。山芋、こんにゃく甘辛煮、ポトフ。
作ることの後ろめたさは以前より薄れてきた。レベルをガクッと落としたからか。

最近教わったんだけど、山芋は皮を剥くなと。せいぜい髭を取る程度。剥くのが当然と思って疑わなかった。
だが、そのメリットの大きさに気づく。
 ① 皮をピーラーで剥く手間が省ける
 ② 食べる分だけ剥く、剥いた分だけすりおろす、という気遣いが不要
 ③ 剥かなければヌルヌルしないので手が滑らず、安定してすれる
 ④ 爽やかな草の香りと甘味が加わり、味に深みが出る
面倒くささから解放され、しかも美味しくなった。

2023/12/19 [心と身体の健康診断]
イアン朝ライド。今日は高洲公園の丘の坂を使ってエクササイズ。きついわ。
一番しんどかったのが、丘に設置されたローラー滑り台の逆上り練。滑り台の最下点で、頭を下る方にしてうつ伏せになり、手すりに手を置いて足は爪先立ちでプランクのような姿勢を作り、手だけで登っていく。
バイクが遅いとボヤくイアンに、サドルが高すぎるのではと言ってみる。膝が伸び切ってる感じなのだ。しかも彼は足底の真ん中でペダルを踏む。踵合わせでサドルの高さを決めているとすると問題が起きる、と言ってみたけど通じたかな。

心療内科へ。最近は落ち込みが激しくてやるべきことも取り掛かれず、活動量が減ってるのが問題、抗不安薬は効かないので、ヤル気の出る薬ないですかと聞いてみたがスルーされた。
突然の脚の痛みの話もしてみたが、関節部ではないし痛風の疑いは低いと。心電図に加え一応血液検査もすることに。職場健診で散々NGくらった心電図は問題なしと言われる。ありがたい話だがなんだか腑に落ちない。
ニトリに寄り、注文してあった仏壇を持って帰る。
遺影などを仏壇内のセンターに飾ってはいけないらしい。真ん中に鎮座するのは大仏様だそうだ。そのうち粘土で作ってみるか。

2023/12/20 [なまこ、透明、ペルシャブルー]
夜中にまた足が痛くなる。安静が問題なのか。

イレギュラーな時間帯にイアンから突然トレーニングの声がかかったが、脚痛のため断念した。すると彼は一人で実行してきたようで、例の「仰向け状態から立ち上がる」エクササイズを25回やったと証拠映像を送ってきた。いとも簡単にやってる。
陶芸は釉薬がけ作業。今回作品の7割ほどに基本の透明をかけ、特赤粘土系には混合なまこをかけていたが、ちょっと退屈なので明るいペルシャブルーを部分的に吹く。残りはワラ白にしよう。

ニトリの仏壇、塗装の薬品臭があまりに強烈で頭が痛くなり、返品を真剣に考えるくらいの酷さだ。なんで? 仏壇も普通の家具なんだし、ニトリの家具は全部こんなに臭いのか。
きっとお母さんも臭くて堪ったもんじゃないだろう、ベランダに放置して日干しする。

2023/12/21 [親の介護]
朝ライド。イアンのバイクは日に日に遅くなる印象。エグいエクササイズを次々こなせる人に似つかわしくない遅さなので、何かが足を引っ張っている気がする。ポジションか、バイクか、身体に不調ありか。身体も車体も左右に振るライディングフォームが特徴で、気合入ってる風なところがコミカルで微笑ましく感じられていたが、冷静に考えると問題ありだよなと。
みっちり腹筋と腕立て、懸垂。この頃ちょっと大胸筋(おっぱい)が出てきた気がする。

ラフィ先生の英会話。今日もあかんかった。波がある。
同席した二名はいずれも僕より一回り上で、母の介護で苦しんだ共通の過去を持ち、ディメンシア(Dementia 認知症)という単語が飛び交う。単なるボケならまだしも、酷い罵倒や嫌がらせなどの精神的苦痛が大きく、亡くなった後も愛情は残ってないようだ。母に尽くせなかった後悔が大きい僕にとって、二人の経験談は複雑な気持ちにさせた。そんな風に親に愛想を尽かせる状況だったら気が楽になるのになと思ったりもして、やるせなくなった。

2023/12/22 [煩悩108]
痛風ライクがまた痛み出して、歩くのもままならなくなる。これはフレイルが原因だから活動量を増やして治すべしと思い、あえて英会話予約を入れる。
今年最後のイアンのレッスン。除夜の鐘がキッカケで「煩悩」の話になり、煩悩ワードの英訳を一つずつ取り上げはじめた。おいおい英単語108個全部説明する気なのか、イアン手抜きだなー。本人すら知らない難しい単語がちらほら出てくる。意味ないだろ。
一つ学んだのは、アグレッシブ (aggressive)というカタカナ文字はいい意味でしか使ってなかったが、本来は攻撃的とか利己的とか両面の意味を持ち、妻はアグレッシブだ、とか言う場面では完全に癇癪もちってとこみたい。気をつけないと。名詞形の aggression になると侵略とか不当な攻撃とか、まさに今のロシアに相応しい言葉だ。
 
久しぶりに駅前のAEONへ足を延ばし、ゆっくり徘徊して帰ってきたが痛みの解消には繋がらず、むしろ悪化。やっぱこれかなりヤバいかもしれない。明日の忘年会行けるのか?

2023/12/23 [忘年会欠席]
夜中からずっと脚が痛く、起きても変わらず。モップを杖にして室内移動。
駒沢練は当然休んで、風呂で温めてみたけど変化なし。午後に予定されていたTKD忘年会にも行けずキャンセルする。僅かな移動も厳しく、情けなくて涙が出る。昨日の散策で無理したのが良くなかったのかな。
当初は力が加わった時だけ痛かったが、今や安静状態でも痛む。この痛みの種類を冷静に考えると歯痛と似ているかと。ってことは、神経痛? もしかするとザコ痛絡みなのかも? 脛以外にも痛みが広がってきているし。

2023/12/24 [結局一人飯]
やはり歩くのもままならず、日曜朝練(通称Lizard練)も休む。
イアンが提示した新チャレンジに挑戦し散った仲間の背後で高笑いするイアンの映像が送られてくる。見事に彼の術中にハマっておるな。だが僕もちょっと参加したかった。
夕方、気がつくと痛みが全く消えている。なんで? その隙に買い物に出た。寒いが穏やかな気候で、問題なく歩ける感触が嬉しい。もうこれ治ったんと違う?
久々ローラー。Watopiaの海岸沿い時計回りをソロで。ちょっと頑張ってみる。
RB23km Wa 36:30 37.8km/h HR131/145 427kcal TE4.0 188W 78rpm ↑92m
平均出力が1カ月前のベスト189W(HR137)に迫る値だった割に心拍はここ最近と比べ低いのは、向上の証か?それともNMNの効き目が薄れてきた?

クリスマスは姉貴とつくねだんご鍋にしようと準備したが、固形の鍋の素を完全否定され結局別々に作る。この手の調味料はエホバ教にとっての輸血くらいの頑なさで拒否するが、まあ予想通りではある。つまり鍋は水鍋以外禁止で、今まで僕が妥協してきたが、今日は白湯鍋が食べたい気分なのだ。
夜、再びじわじわと痛みが出てくる。

2023/12/25 [筆]
世間はクリスマス。若い頃の、カノジョのいないクリスマスとは違う、寂しさというよりは不安を噛みしめながら過ごす。今までは、母が居たから安心していたんだな。
ローラーもやらなかった。ソファ皿にゴス柄を入れる作業をした程度で、ホントに何もしない人生。

ゴス柄を入れるために、母の書道用の筆を借りた。大量の筆コレクション。いつの間にこんな本数になっていたんだな…。真剣に黙々と書を嗜んでいた姿を思い出し、涙が止まらなくなった。
僕が有馬温泉のお土産として買ってきた人形筆は糊がついたままで使った形跡がなかった。きっと大事にとっておくつもりだったのだろうが、使ってほしかった。

2023/12/26 [再トライ中]
脚の具合も大分引いてきて、朝ライドに参加。今年最後になるか。
「仰向けから起立」エクササイズ、再トライしたがやはり一度もできなかった。まあでもできないなりにトライし続ける動作が腹筋トレになっているかも。イアンは35回に伸ばしたと自慢していたが、一方で愛犬Tちゃんの具合が良くないようで元気がなかった。年末は人も犬も具合が悪くなる時期かもしれない。
夜は相変わらずローラー。
Watopiaの海岸、今日は反時計回りをイージーに。
RB25km 42:23 35.4km/h HR123/139 468kcal TE3.7  164W 77rpm ↑121m

2023/12/27 [想いの結晶]
今年最後の英会話レッスン。ジョナサンがインフルとかで急遽スティーブ先生が代理。同席した若い女性も鳥好きなこともあり、動物の話に終始する。イノシシの被害に困っている話が出たので、今房総で獣害といえばキョンだろう? なにー? 千葉の動物保護団体に所属していてキョンを聞いてないとは!? キョンは英語で何て言うんだ? カシオの電子辞書に載ってないや。(muntjac マントゥジャクと言うらしい)
Basicクラスなのに手加減なしで難し過ぎだよ先生。全然聞き取れず結構落ち込んだ。

午後の陶芸は、先生のツテの窯で焼いてもらった織部作品が出来上がってきた。
僕がお願いしたのはこの照明カサと皿が一枚のみ。

ちょっとグロいかもだけど、狙った通りのものが出来上がってきた。溝に沿って織部が濃く出たし、貫入がいい感じで入っている。Imaiさんが相変わらず欲しいと言ってくれたけど、これは母を亡くした悲しみに暮れながら無心に彫り続けた、言わば僕の涙の結晶なのだ。手放すわけにはいかない。
残りの釉薬がけは、お椀ひとつだけ銀ネズにしてみる。先生に勧められて、上から少しだけ透明を吹く。チラチラと結晶のようなまだら(斑文)が入るらしい。これは黒の油滴天目にも使える技とのこと。覚えておこう。
ゴス柄を入れたソファ皿は予定通りワラ白を吹いた。窯入れ作業も終わり、来年の本焼きを待つのみ。

夜、ウクライナ人のNHK職員の女性が家族のいるキーウに里帰りするドキュメンタリーを見て、いろいろ思った。
帰省は10月前後で、母が亡くなった日とちょうど重なる。
戦死した友人と最後に話をした場所が辛い想い出の場所になってしまったとか、息子を失った母が生きる希望が見つからないとか、僕とおなじ苦悩がそこらじゅうに出てきて、ああこれって死別に共通の苦しみなんだなと分かる。僕の母は病気という戦争に殺されてしまった。ただ一方で、かつての僕なら多分、これらの訴えは戦地にはつきものと諦めて軽く聞き流していただろうとも思った。悲しみの共感は難しい。辛い思いが至る所に潜んでいても、表には見えず特に問題はないかのように日々淡々と過ぎていく。
そんな世の中に絶望するのも判る気がする。

2023/12/28 [200W超え]
TV番組は年末モードに入り、英会話も公民館サークルもしばらくおあずけで、世の中から自分だけ取り残されている不安が大きくなる。この世界にいまだに居場所が見つからず宙ぶらりんのままだ。

来月予定しているリフォームの代金振込みに難儀する。契約者の母の口座から振り込む形にしたいのだが、額が大きくネットバンクの現状の振込上限額を超えている。母の携帯番号が未登録だったために、上限額引き上げができないことが判った。携帯番号登録をするにも手続き用アプリを必要とし、そのアプリではマイナンバーと本人写真の登録を要求する。嫌がらせのようなハードルが次々と現れる。
銀行へのマイナンバー告知で本人死亡が銀行に知れる(→口座凍結)かどうか調べたが答が出ず、リスクを冒せない。ネットバンクは諦め現物主義で行こう。複数のATMで現金を下ろし、振込先銀行のATMにて振り込む作戦に切り替える。犯罪者になった気分だ。だが千葉銀行では70歳以上の引出限度額が20万に制限という新たな壁に直面、一部自分の金で肩代わりして満額準備し、いざ振込先銀行のATMで振り込もうとしたら、「現金での振り込みは10万円までです」ときたー!
なんだくそー。
やってらんねーぞ。
そうまでして母のお金での振込に拘ってるのって何でだっけ? とふと気がつく。

駅までの往復2.8kmジョグ、18分。これを走ったと言えるかどうか微妙だが、かなり久しぶりだ。太腿が一番ヤバい感じ。最近歩くことすらしてなかった。
夜ローラー。Bクラス3.1w/kgグループ走@Watopia。集団は結構大きいのに普段よりきつい。最初185Wくらいをキープしていたらずるずる遅れてあっさり切れてしまい、慌てて追いかけ再連結。やはり気のせいではない、200W以上維持しないとダメだ。しんどいので30分で終了。
RB22km Wa 31:05 42.5km/h HR139/152 391kcal TE4.5 201W 79rpm ↑74m

体感通り出力は高く、従来のTACX最高値188Wを大幅更新し200Wも超えてしまった。
3.1w/kgレベルは初めてではなく、以前は決してここまでではなかった。計算の基準が変わったのかな。
心拍も相変わらず高い。バイク練でHRave139というのは、5年前まで遡って調べたが一度として出たことがなく、異常な高さだが、体感的にはそこまでのしんどさはない。開始後5分でHR135まで上がり、12分以降HR145以上で安定している。従来ではあり得ないフケの良さ。この生理現象が前例のないウンドー不足によるものなら、平均出力更新の理由もまた立たない。やはりNMN効果だろうか。

2023/12/29 [急逝]
臨時のTKD駒沢練の日だったが、もはや恐怖でしかなく諦める。天気は良く、走るにはサイコーの日だっただろうな。
イアンの愛犬Tちゃんが亡くなったとの突然の訃報に皆驚く。ただの食あたりだと思っていたが、一向に治らぬまま世を去った。死因は不明らしい。初老くらいには入っていたが、いつも元気いっぱいで、全く寿命とは言えない。いろいろと、母と重なる部分がある。

午後くらいから喉が痛くなる。ヤバい。今朝方から自覚がありトローチを飲んでいたが、どうも回避は難しいか。陶芸で咳してたItoさんからうつった気がする。昨日のローラーで免疫力が下がったか? あのくらいで?

2023/12/30 [今年三度目の風邪]
喉の乾燥予防にマスクして寝たが、次第に針で刺されたような激痛になり夜中に何度も目が覚める。
参ったな。今日は午後からFさんと会う予定だったが、喋るのは喉を酷使することになるので、残念ではあるがキャンセルする。すごくいい天気なのに実にもったいない。
熱も少し出てきて、風邪は不可避のようだが、まだ動けるうちに年始の準備をしておかないとまずい。近所のスーパーはどこも正月きっちり休むし。
餅米を玄米で仕入れるため、行徳の米屋までクルマで出かける。600円/1kgと良心価格。帰り、西日が眩しくて信号も道も見えなくなり焦る。いよいよ運転すらできないほど白内障が進行したかと思ったら、ガラスがくっそ汚れていたせいだった。最後にガソリン入れたのいつだったかな。
スーパーは正月縁起物ばかりが並び、欲しいものが手に入らない。カニもカズノコも和牛もマジで要らない。食ってて虚しくなるばかりだ。
喉の痛みは少し引いてきた。治ってくれないかな。

とうとうDuolingoの有料会員になる。唯一の生きる支えなのだから、年間8000円くらいまあいいかあ、と(キャンペーン価格)。それに、最近の仕様変更でフリー版は正答至上主義に走らざるを得なくなったのが痛かった。

2023/12/31 [罰ゲーム]
日曜朝練の案内があったが風邪で欠席。雨だったけど、階段練に変更したのかな?
2023年は人生最大に不幸な年となった。これまではそれが2020年だったが、完全に塗りかえられた。もうこんな苦しみは二度と味わいたくないが、さらに次がないとどうして言えよう? でもこれ以上の不幸って、なんだ? うわー考えたくない。

毎年年末の恒例行事に観ていた紅白を一応観る。母に届いているだろうか。
司会者や取り巻きが痛々しくはしゃぎすぎてたのが減って少し落ち着いた気もする。
ふと思ったが、日本の歌詞には「君」という二人称が極めて頻繁に出てくる。だが思うに、現実の会話では使い途のない言葉。相手に嫌味にならぬよう使うには、ごく限られた場面でのみだ。歌の世界ではなぜ王道なのだろう。
あのけん玉はもう止めるべきだろう。できて当然の技を無事にやり遂げるだけのことに進歩はなく、見ている方も失敗を恐れる恐怖しかない。最も問題なのは、このハレのはずの舞台で失敗しても不幸にならないシナリオが何も用意されていない点だ。罰ゲームでしかないことをなぜ毎年続けているのか不思議でならない。












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