ウインターロードレース参戦日誌
2005/2/27
修善寺CSC クラスB 30km 

3周するクラスCで昨年参加したこのレース。今年は6周するクラスBにチャレンジだ。
かなりのツワモノが混じっている場合があり、足切りの基準も厳しいので、完走が可能かどうかを慎重に吟味するところから始まった。
昨年9月のJCRC第6戦、Zクラスにおいて、ここ日本CSCコース逆周りを14周したときの6周目の通過タイムは1時間1分8秒で、そのタイムなら過去のリザルトを見る限り足切りの可能性は低いだろう、という考えが一つ。
その一方、冬場のレースというのは総じてタイムが悪いものだ。さらには、昨年10-11月に体調が総崩れしたので、昨年9月の方が脚力は上だったとも考えられる。
それらプラスとマイナスの判断材料があり、本番ではどのような結果となるのか、我ながら大変興味深いものがあった。
ところで、なぜ冬場はタイムが悪くなるのか。その一因として、単純にウェアが重い、着膨れして身動きが悪くなる、などの点を疑ってみた。そこで今回は多少寒さを我慢してでも、夏場の条件に少しでも近づくように薄着で走ろうと考えたのである。レース前日に天気予報を確認すると、伊豆は見事におだやかな晴れ。去年のような雨の予報は皆無で、薄着プロジェクトは予定通り遂行できると確信した。うひひひ。

早朝5時30分家出。コンビニのパンをかじりながら首都高を走っていると、「沼津-大井松田間凍結のため通行止」と出ている。ナヌー、ニッポンの大動脈が、凍結ごときで通行止めになって良いのか? 明日の米と味噌は手に入るのか? ま、でもおいらは小田原厚着道路を通っていくから関係ねーべ。
東名から小田厚に入ると、早速電光掲示板に「箱根新道は雪のため通行止」と出ている。ナヌー! お気に入りの箱新が通行止めとは! しゃあねー割高なターンパイクで行ってやるよ。
トロトロと法定速度で小田厚を走っていると、エアコン口から時々冷気が出てくる。外気温は-4度。ふと大磯辺りで異変に気づいた。あたり一面、真っ白なのである。あれ? ここは何処ですか。今からスノボー大会にでも行くですか?
そこで初めてラジオをつけ、昨夜の降雪で峠の有料道路は全部使えないことが分かった。箱根新道が雪で、ターンパイクが走れるはずがないのである。箱根パークウェイも伊豆スカも全滅である。一般道は、チェーン規制と言っている(チェーンって、自転車のチェーンじゃないよね)。要するに、西伊豆側へ行く道はすべて閉ざされた。どうすんだ??

かといって、ここでUターンするのも悲しすぎる。半ばヤケクソで海岸沿いを南下することにした。峠をクルマが越えられないのなら、自転車で超えるしかないか・・・ 伊東にクルマを止めておくところがあれば良いなー、と思いながら、所々白く積もった真鶴の一般道梅コースを恐々走る。ちょっとした高台でこの状態だから、箱根なんぞ走れるはずがないと納得。
ところが、伊東までは雪が及んでなかったようで、そこから亀石峠を無事チェーン無しで超えられた。やったぜラッキー! 案の定CSCの駐車場にクルマはまばらで、7割方DNSか?ひょっとして、レース中止?
30分遅れでレースは開催されるアナウンスがあり、安心してローラー台アップを開始する。ぼちぼちとクルマも増え始めた。
ネットでのお知り合い、オーベストの森川さんに声をかけられた。トライアスリートであるが近頃すっかり自転車にハマってしまった方。はじめまして、どもよろしくです。あれほど釘をさしておいたのに、今日はCで出場ですか。それは、ホーリツ違反ですよ。
30分ばかり乗っていたら、汗が滴るほど噴出してきた。リマサンズの上原さん(仮名)が到着し、僕のとっておきの薄着大作戦を打ち明けてみたりする。
さてさて、今日はいかほどの薄着が可能かな、と駐車場のまわりを1周したら、ギョエー、スンゲー寒い。無風で陽も出ているためじっとしていると暖かいが、気温はかなり低い。薄着プロジェクトなんて、ありえなーい。即決で中止した。
とっておきの日の為にあるBLBのジャージに袖を通し、会場内へ行ってみると、うっ! おいらのようなレプリカジャージ着ている奴は予想はしていたが限りなくゼロパーセント。なんかすごーく恥ずかしいのであるが、このジャージは素晴らしく空気抵抗が少ない夢のようなジャージのため(と思い込んでいるため)背に腹は替えられないのである。恥は一時、怪我一生である。

厚着が足りないのか、ガクガクブルブル震えながら、10時過ぎにレースはスタート。なぜか今回は、1周目のみ先導車ありのローリングスタートとされたので、慌てずともよい。ところが、その赤いボルボはあまりに遅すぎる。これじゃあ、アップ走行以下で、この1周に何の意味もないじゃないか。事実上5周のレースだ。下り区間が全て終わったゴール手前の急坂でも、ノロノロと選手を抑え付け、選手間に欲求不満の気配が充満したころに、メガホンから「じゃーあ、ここからスタァートォー」と含みのある声が響き、赤いボルボはフルスロットルで逃げるようにぶっ飛んでいった。それはまるで、人喰い人種の住む島に生贄を置き去りにしていくツアーコンダクターを思わせた。「ウソつきー」とナイスな罵声が上がり、6周のBクラスと3周のCクラスごっちゃの集団は勢い良くスピードを上げた。
その後の急なペースアップに、早くも集団後方寄りになる。頂上を過ぎテクニカルコーナーが続くところで、下り慎重派に行く手を阻まれ、トップから遅れ始めた。ここで焦りが出たのか、50km/hは出ている3つ目のきつい左コーナーをインから急角度で抜こうとして後輪がロック・アンド・ターン。ズリっとテールスライドし、反射的にカウンターを当ててかろうじて体勢を取り戻す。アッブネー奴ですみません。
2号橋でトップに追いつき、頂上まで無理やりついていく。心拍計は160を超えた。かなりキツイ。こんなペースじゃあと4周ももたない。
2周目を終えてラップを見ると、9分21秒と出ている。過去最速ラップだ。喜んではいられない。これは自滅パターンである。ここから徐々にマイペースに切り替える。かなりの人数との切り離しを断行した。
下りはやはり先ほどのトロい選手に再び捕まってしまう。ビクビクオーラが出ている人ほどベストラインを自在に使って走るので抜かすのがムズカシイ。でも焦りは禁物。コーナーで無理なブレーキングをしない限り大丈夫だ。先ほどはカーボンリムのZIPPを雑に扱いすぎた結果だ。
3周目後半ののぼり口で、先頭集団に追いつきかけたが、結局最後は見えなくなった。まあこんなもんでしょう。3周目のラップは一気に10分台に落ちた。ミラクルなラップタイムはたった1周で終わったのだ。
4周目後半の上り坂途中で、意外にも5、6人程の小集団に追いついた。早めのイーブンペース作戦が実を結び始めたか。そのまま追い越したが、だれもついてこないで、パスしたようだ。5周目の下りでは完全に差が開いて、もう見えなくなった。
あれほど寒がっていたが、今はちょっと暑いくらい。無理してでも薄着プロジェクトを実行すべきだったかと少し後悔する。暑いので結構水分補給もマメに行う。クエン酸パウダーを追加した903を500ml携帯したが、この季節にしてはいい感じで減っていく。
5周目の上り途中では、また一人追いつく。やはりそのままパスし、着かれることはなかった。僕にとってこのコースは他人とペースが合わないようだ。
ほとんど一人旅に終始したが、何とか完走は果たせそうである。最終周は全力を出し切って再び9分台のラップを刻みたい、と思って頑張ってみる。急にヒラヒラと雪が降ってきて、何だかオツですね。後半の上りで力をほぼ出し尽くし、必要のない水分補給をしていると、いつのまにか後ろに3人もいた。ありゃりゃ、いったいこの急激な追い上げはどういうことですか!平和にフィニッシュしようと考えていたのに、最後の試練が待っていた。一人が先陣切って1号橋へ下っていったので、ピッチリ後ろにつけて温存を図る。橋を渡り、重いギアでダンシングしてできる限りスピードを残すと、そこからが真剣勝負。
と思いきや、あっさり2人に抜かされる。ダメダメだ。あー腹減った。と変な考えが突如よぎる。
だが、近くて遠いゴール地点はなかなか近づいてこない。慌てずにダンシング体勢で2人を追うが、両者とも伸びがイマイチな感があり、それでは、と重いギアで最後のダンシングスパート決行。一人をパスし、もう一人の高校生は粘りがあった。そのまま、刺し返せずにフィニッシュ、
1時間3分9秒。

はて、今年も何位だか分からぬままの撤収。ま、完走できたのでよしとしよう。レース中は一度も見かけなかった森川さん、Cで何と2位ですか。すばらしい。まちがいなく、ランでのアップが効を奏したということで、特許料を払って下さい。

ローリングスタートの1周目は13分18秒もかかっていた。これはタイムから除外するとして、残り5周のタイムは49分51秒で、平均ラップはギリギリ10分を切り、9月のJCRCレースの5周通過タイムよりもわずかに10秒速かった。ただし、実際に9分台を出したのは1周ポッキリだったのは残念。
HRデータによれば、最も心拍数の下がるポイントは1号橋通過時。また、これは意外だったが、もっともスピードが出る位置は1号橋付近とは限らず、スタート後最初に訪れる下りと、秀峰亭を過ぎた下りも同じようなスピードだった。
下り区間を集団で下った場合と、その後のソロで下ったタイムに、さほどの差は見られなかった。ソロのほうが速いとしても、最大10秒程度のようだ。逆に言えば、タイムの差は概ね上り区間での差であり、要は下りでいくら飛ばしてもその効果は僅かだから、力まずに上りの為に温存した走りに徹した方が有利とも考えられる。その温存走りがいかほど効果的かは、また別に試してみないと何ともいえないが。

他のレースとのラップタイム比較図はこちら

帰りはやはり伊東方面へ降りて海岸沿いを走ったが、恐ろしいほどの渋滞にハマって散々な目にあった。昼以降も峠超えの有料道路が封鎖で真鶴道路にクルマが集中したのだ。上原さん(仮名)の名ナビのお陰でそれでもかなり救われたが。
観光客が減っているとか言っている前に、歓迎の気持ちがさらさらない伊豆の道路をなんとかして欲しい!
後日、発表されたリザルトを見ると、気温8℃と出ている。去年もそうだったが、絶対そんなに無いって。Polarは平均3℃と記録している。
レベルが桁違いな上原さん(仮名)でさえ、表彰対象の10位以内ではなかったので、自分の順位はどうなることかと思ったが、予想外にいい15位(トップから2分51秒遅れ)。出走は41名(DNF3名)。僕の前には、先頭集団以外ほとんどいかなったということのようだ。逆に、僕のすぐ後ろには6人もいた。最後に追いつかれたのは7人の集団だったようだ。ゴボウ抜かれされずに済んで助かった(汗)。