2004佐倉朝日健康マラソン参戦日誌
2004/3/7
42.195km

レース前日の呟き。

マラソンレースは毎回、ゴールまで余力をもって走りきれず、必ずどこかで潰れている。
去年の掛川はかなり早めで潰れてしまった。スピードとしては鈍かったし、心拍数もはるかに低いはずなのに、潰れるというのは、筋持久力の不足もさることながら、エネルギー補給に失敗したのではないかと疑っている。
今回は、タイムはどうだっていいから、潰れない走りをすること。それが目標である。
そのために、補給をしっかりとりたい。
また、心拍数を記録し、潰れるメカニズムを知っておこう(やっぱり潰れるつもりなのか??)
ではまた明日。


5:30起床。うわっ、さむっ。
3月になんちゅう寒さじゃ。ヤバイ。長袖のランシャツを持ってないぞ、と当日気づくバカ者。
タンスの中で襟首が黄色く変色した化石のような長袖シャツを発見するも、却下。
代わりにユニクロのフリースを持って出る。フリースでマラソン走っているヤツなんて見たことないぞ。
ところが、現地へ着いてみると、陽が気持ちよく照っていて、風もなく寒くない。なんだ、絶好のマラソン日和って奴じゃないか。天気予報では9時の気温2度、とか言っていたけど、そんなわけないだろう?? 出店では長袖も売っていたので、お得意の「当日調達作戦」に出ようかと思ったが、なぜかせこい気持ちになって買わなかった。結局半袖Tシャツで走ることに。下はワコールの膝下スパッツにロングタイツを重ね着した。
今日はトライアスリートである友人のNさんが一緒である。去年は強風に悩まされサブ4がやっとだったと話していた。今日はリベンジの意味合いも強いのだろう。
佐倉といえばQちゃん縁の地としてもおなじみ。スタートのお立ち台で本人が登場し、みんなの人気者になっている。和やかな気分でスタートを切った。
京成佐倉駅までは結構激しいアップダウン。ここは帰りも通る。だがスタート早々悩まされることはもちろんない。3キロほど過ぎてふと前方を見ると、自分は遅いから、と言っていたNさんが50m先を走っている! ありゃりゃ。速いぞ。あっという間に見えなくなってしまった。
京成の線路沿いを気持ちよく走る。半袖にしたのはナイスな判断だったと思う。しかし、気持ちいい理由はその追い風にあった。穏やかな日和、と思っていたのだが実は大した風が吹いていたのだ。というか吹き始めたと言うべきか。
やがてコンスタントな向かい風に抗って走ることになる。途端に体感温度はぐっと下がり、半袖チョイスを猛烈に後悔。また、日陰と日向でもかなり寒さが違う。5キロから10キロはほとんど向かい風だったが、ここで今日最高のラップが出た。走り初めなんだからあたり前と言えばあたり前。
8キロ付近で早くも尿意を覚えた。トイレは早目に済ませるべし、という教訓に従うには、あまりに早すぎる。これでは、後半にもう一度行きたくなってしまう。
エイドステーションは5キロ毎にしか無いようだ。ちょっと少なくないか? 置いてあるのは、水とかなり薄まったスポーツドリンク。それに、珍しくパンがある。クロワッサン風の脂の多いパンで、食べやすいのはいいが消化が悪そう。エネルギー補給をしっかり行うのが今回のポイントでもあるので、パンを必ずとって、スポーツドリンクをしっかり飲む。5キロ毎だから慎重である。すると、腹のあたりがギュルギュルしてきた。ヤバイ。朝から何となく腸に問題があると感じていたが、まさか下痢気味になるとは。この寒さで腹も冷えたか。慌てて水を飲むのを止める。でも、我慢しきれなくなったらどうしたらいいんだろう??
加えて、キンタマ袋の底が擦れて痛くなってきた。この寒い中、チンチンは極端に短くなり、その分キンタマは膨れ上がるという、チンタマ保存の法則により(僕だけですか?)、タマ袋がスパッツの中で悲鳴をあげ始めたのだ。まだ序盤だと言うのに、この先30キロも袋は持つだろうか。まあ破れるなんてことは無いと思うが。

13キロ付近、本日一発目のキツイ上り。かなりの傾斜にもかかわらず、周囲はいままでのペースを維持して難なく上っていく。無理すれば上れなくも無かったけど、とてもついていく気にはなれず、ズルズルと後退する。上りきってへたばったところでトイレ。40秒のロスタイム。
黙々と走りつづける。佐倉のコースは、かなり単調でしかも見晴らしがいい。随分先のほうまで選手の姿を確認できることが多い。単調なコースは性にあっていると思っていたけど、さすがに退屈さを覚えることもしばしばだった。
1時間48分28秒、ハーフポイントを通過する。このペースで行くとゴールは3時間37分だ。最後までペースを崩さずに行ければの話だが、今回はそれが第一目標でもあるのだ。などと考えて走っていたら、突如右足のかかとに刺すような痛みが走る。こんなに痛い症状を残り21キロ背負わなければならないのか? ありえなーい。思い切って立ち止まり、屈伸なんぞを試みる。おもわず後ろに引っくり返りそうになり、超間抜けだ。ところが立ち上がって走り始めると、幸い痛みは消えていた。ラッキー。周囲が順調に走っている中で立ち止まることは勇気がいるが、身体に異変を感じたときは臆せずに止まって確認することも大事だなと思った。
25キロを過ぎた頃から、徐々に周りを抜きながら走るようになる。ペースは変ってないから、周りがスローダウンしているのだ。イーブンペースがいかに難しいかを物語っている。
さて、現時点で問題点は、腹の具合が相変わらず悪いことを除いて、決定的なものは見当たらない。脚がやや疲れてきた感はあるものの、買い物疲れの時と似たような感じだ。
30キロも過ぎて、だんだんゴールが見えてきた。佐倉は5キロ毎のキロ表示なので、気分的には5キロをあと2回走ればゴール間近、ということになる。今までの感じからすると、それは十分クリア可能なことに思われた。
また、このあたりから、前半走ったコースを逆戻りすることになるので、ゴールまでの距離感が掴みやすくなった。前半向かい風で苦しんだ区間を、追い風で走ることになる。この追い風をうまく利用しない手は無いだろう、ということで、風に乗って気持ちペースをアップさせた。
周囲とのペースの差はますます広がってきて、気分的にも悪くない。腕を前後に強く振れば、スピードもアップできた。心肺機能は余裕があるので、脚を温存し、他の部位の筋肉での前進を心がける。ちなみに、この頃からエイドは5キロより短い区間で現れるようになる。前半は少なく、後半は充実させていたようだ。飽きずにパンをかじり、とっておいたVAAMゼリーを飲み始めた。エイドにはバナナやオレンジも欲しいところだが、相変わらずパンのみである。
35キロ地点でラップを見ると、予想よりもペースアップされておらず、脚の衰えによるスローダウンをカバーしたに過ぎなかった。とは言え今日2番目のハイペース区間となった。
残り7キロ、この辺から脚の衰えを無視できなくなる。潰れたとまでは言い切れないのは、心肺など他の機能は極めて順調だからだ。また、平地であれば、腕振りを主体に走ればペースを維持できる。平地であればの話だ。ここでキツイ上りが待ち受けていた。全然上れない。走っている意味が無いくらいのスピードになり、歩いてしまう。正直言ってこのときは日和ってしまった。去年の潰れ様と比べたらかなりマシだったので、この程度の上りなら歩いてもバチはアタルメー、などと思ってしまったのだ。
その後の下り基調の道ではペースを取り戻した。かなり脚は痛いが。特につま先を持ち上げるための筋肉がすっかりやられている。
ゴールもあと3キロを切ったというところの、京成佐倉駅前の交差点で、なんとNさんを発見した。やっぱりずっと先行していたのだ。しかし、ここで追いついたということは、ペースが落ちているとも考えられる。「やっと追いつきました」と声を掛けると、「アレー、速いっすね」とのご返事。速いのはNさんのほうである。さて、その後である。「追いついたけど、また離される」と声を掛けたのが早いか、Nさんはすぐさまとんでもないロケットダッシュで、あっという間に全く見えなくなってしまったのである。僕も周囲よりは早いペースだったから、Nさんのペースはそれはもう、桁違いだったのである。
ここからゴールまでの2キロ半は僕にとって最も辛い区間だった。度重なるアップダウンにとうとう脚の筋肉全てが音を上げてしまったようだ。本日のマラソンで全ての試練はここに集約されていると思った。
ゴール手前のきつい坂で、ウエストポーチにしまいこんでいたPOLARを初めて取り出した。上りなので息がそうとう上がっていたが、そこでPOLARが示した心拍数は128だったので、なんだ、壊れたのか? と思ったくらいだ。
念願の陸上競技場へと入る。ゴール手前の直線でラストスパートを試みるが、心拍数は150どまりだった。それでも本日最高なのだが。3時間37分40秒でゴール。Nさんは2分も前にゴールしていた。

ゴールした途端、あまりの筋肉痛と猛烈な寒さに、身動きがとれなくなってしまった。
着替えを置いてある場所までたどり着くだけでかなり難儀した。走っている間は、いかに気が張っていたかを思い知らされる。無料で配られる紅茶と味噌汁がありがたかった。

心拍データに5キロ毎のキロペースグラフをプラス。下は高低差グラフ。

平均/最大心拍数135/150bpm、獲得高度180m、消費2423kcal

当初の目標である、潰れずに走る、というお題はクリアできたと言えるのか、疑問ではあるが、中間地点での予想ゴールタイムをほぼ守れたので、及第点としよう。腸も問題なくてよかったヨカッタ。
心拍データを見て意外に思ったのは、終盤の最も辛く感じた区間や、坂で歩いたりした時の心拍数は、上がるどころかむしろ下がっているということだ。そのときの辛さは平地よりもずっと高く、息も上がっていることは間違いないのだが、確かに運動量としては落ちているとも言える。まさに傍からは怠けて見える状態であり、心臓もやはり冷静に判断しているのだ。逆に、調子がいい時の前半の上りでは、通常どおりその上りにあわせて心拍数も上昇している。まだ潰れたと自覚してない30キロからの5キロは最も平均心拍数が高い。充実した走りができたということだろう。その分のツケが残り7キロに回ったとも言えるが。