みやぎ国際トライアスロン七ヶ浜大会参戦日誌
2004/7/4 
オリンピックディスタンス
7月3日(レース前日)
「ぶらり各駅停車の旅(関東限定)」をぶらぶらと見ていたために家を出るのが遅れ、おかげで東北自動車道をほとんどノンストップで走る羽目になり、七ヶ浜町役場に着いたのがちょうど午後3時。選手受付はまさに3時締め切りなのだが、2-3分の遅れは大目に見てくれるだろう、さて、受付場所の中央公民館ってのはどこだい?
これが一向に見つからないのである。案内の看板らしきものは見ないし、選手がごそっとたむろしている気配もない。40分ほど町中探して、もうやけくそになってきた。大会事務局に電話しようと、すでに5回は素通りしたファミリーマートヘ寄ると、公衆電話は置いてないときた! 畜生とぼやきながらクルマへ戻るその時、2,3人の選手がとある敷地内から出てくるのを発見。しかしその施設はサッカー場としか書いてないが? 門を入って裏手に回ったそこにひっそりと公民館がいやがった! 表のどこを探したって一切の看板は無しだ。どうやってここへたどり着けというのか? しかもなぜ、自分だけたどり着けないのか? なぜ?
というわけで選手説明会も聞きそびれたが、無事受付を済ませて手にしたパンフレットを見るとバイクコースが以前貰った資料と違っている。これらの説明がクドクドとあったに違いないと予想しつつ、地図を見ながらバイクで試走開始。だが、あちこちに立掛けられている交通規制の看板の内容とも違うぞ。いったい何を信じたらいいんだ!?


スイム会場を視察。台風の影響はなく、波は穏やかでほっとする。

募る不信感は絶頂に達したまま、隣町の多賀城市のビジネスホテルへ向かう。七ヶ浜の民宿は一杯で取れなかったが、結果的にこのホテル(キャッスルプラザ多賀城)はなかなかよかった。建物が新しくきれいで、浴場やサウナもついている(独占して使えた)。脱衣場の洗面台に1時間ほど腕時計を置き忘れるという失態をしでかしたが、慌てて行ってみると盗まれずに堂々と残ってた。善良な人たちばかりでよかった(それともそんなに魅力ないですかね、おいらの時計)。
エレベータで西内オヤジ氏(オリンピック代表西内選手のお父さん)に遭遇。2年前の象潟に始まり、東北のレースでは必ずネタに絡んでくる重要人物であるが、ご挨拶申し上げると、僕のことは覚えてないとの事。ま、無理もないっす。しかし、同じホテルでしかもエレベータで遭うというのは、かなり奇遇である。その上、ゼッケンは隣同士だ。
近くの西友で買い込んだ惣菜類で夕食をすませ(味は期待はずれ)することも無いので9時半に消灯。涼しくて寝心地も最高。

DHバー、スペアタイヤ、ポンプ付戦闘状態で8.15kg

7月4日(レース当日)
スタートが遅めなので慌てることもなく6時に起きる。昨夜食いすぎたか、食欲がなく無理やり口に突っ込む。7時前、レース会場に着くと、5台隣に見覚えのあるクルマが。原町以来のお付き合い、同じ千葉の戦友、TTさんだ。2年前にもこのレースに出ているTTさんに、バイクコース変更の情報を訊くと、どうやら単なるパンフレットのミスらしいということがわかった。いいかげんなやっちゃ。
芳しくないという天気予報を裏切って、なかなか見事にカラッと晴れ渡っていて気持ちいい。まさにベストコンディションだ。
スイムはテトラポットを囲むような750mのルートを2周、1500mだ。ITUのエリートレース同時開催のため、1周終わると一度浜に上がってのスタイルをとる。水はきれいだが澄み渡っているというほどではない。午前9時10分、浜辺からのスタート!

9:10 スイムスタート
参加者が少ないため、スイムバトルはさほどなくそこそこのペースで泳げる。ただ、実力の拮抗する学生が大勢いるためか、なかなかバラけない。テトラポットから外へ出ると波がすこし高くなるが、今日はかなり穏やかなほうだろう。海は海藻類に混じってビニール袋とか、やたらとごみが多い。くらげかと思ってドキッとすること数回。大きくコースアウトすることもなく無事1周目を終えて浜へ上がると、12分47秒とそこそこ、だが問題は2周目にいかにタレずに泳げるかということだ。だいぶ人も減って、コースロープ沿いに泳げる。この頃から右肩が痛くなりプルがまともにできなくなってきた。五島のときに痛めた肩が治っていないようだ。周囲のペースに取り残される感じはなかったが、2周目は13分半もかかり、やはりタレてしまった。スキルのなさを言い訳にできない内容である。

9:38 バイクスタート
バイクスタートしてすぐは1kmほど平らな道。ここでメーターが47km/hを示していて驚いた。火事場の馬鹿力がモリモリでているらしい。まだバイクシューズも履けていないのだが。
バイクは結構アップダウンのある町内を4周する周回コースである。バイクが得意と感じてきたこの頃にとっては、ハードなコースは望むところだと言いたいが、現実はスイムで上がりっぱなしの息が落ち着かず、ペダルもフニャフニャだ。
さっそくパスされた東北大学の選手が前方100mに見えている。どうやらいい目標になりそうだ。VXRSの走りにさしたる感動はないが、心持ちアベレージが高い気がする。向かい風区間に入っても、37km/h程度をキープできた。空気抵抗に左右されにくいという印象がある。おととい新調したProfileのカーボン製DHバーは、ダンシングのときにひざがヒジパットを蹴り上げて痛いという欠点をこのとき発見した。ヒジパットは跳ね上げ式じゃないし(旧型を買っちまった?)、とにかく上りには不向きなデザインだ。慌てて買って、ちょっと後悔。
2周目の中ごろになって、ようやく息が落ち着いてきた。やっと自分らしい走りができそうだ。東北大学の選手はすでに遥か先に一瞬確認できる程に離されていたが、これから追い上げれば何とかなる、という気持ちがどこかにあった。3周目に入り、学生ではないエイジの部の選手を抜いた。今回、学生(学生選手権東北予選)と我々エイジとではカテゴリーが別なので、学生は直接のライバルではないのだ(わざわざ分けるのもヘンな話だと思うが)。ますますバイクが快調に思われた頃、とうとうターゲットにしていた学生に追いつく。のぼりでダンシングでパスすると、次ののぼりで抜き返してきた。なかなか根性を見せる奴である。
結局抜き返されたまま、ゴールまで走る。スペシャルドリンク“CITRIC Amino Pro”で満タンにしてあったボトルはちょうど飲み干した。バイク降車も上手くいき、トランジッションに問題はない。バイクの実質的な距離は40kmに満たない39.5km、トランジットを除くアベレージは約35km/hと、アップダウンと直角コーナーのあるコースにしては上出来だったと思う。

10:45 ランスタート

ランは海岸沿いの漁師村の小道を2往復する。フラットな地形の中に、急にせりたったコブのようなアップダウンが2つばかりあり、それを2往復するので退屈させない。道は所々たいへん狭くてコーナーもきつく、黙々と一定ペースで走れないので、どちらかといえば苦手と感じるコースだ。
ランに入ってから、腹にこみ上げるものを感じる。朝飯食いすぎたか? という反省文は今回に限らず。日差しは強いが気温や湿度は低く、エイドで貰った冷水をしっかりかければ冷却効果は完璧だ。
まず最初にちょっとした折り返し区間があり、後続選手を確認できる。ランフォームのきれいなゼッケン14番の選手とすれ違い、バイク3周目でパスした人と気づくが、その安定した走りから見て、追いつかれるのは時間の問題であることを直感する。
急な坂ですぐに息は上がり、早くもヘトヘトな感じだが、脚だけはすこぶる良く動き、快調そのものだ。だが2往復するというコースレイアウトが、「とりあえず1周目は抑えていこう」という気持ちにさせてしまった。1周目の往路で西内オヤジ氏とすれ違う。以前はこの人に追いつけずに涙をのんだ。
1周目を終えると、手持ちの時計で19分46秒、10キロ40分をきるペースだ。さて、2周目もそのペースで行けるだろうか、いや、行くべきだと肝に銘じる。ゼッケン14番の選手と再びすれ違い、そのポイントを見て少し詰められたと知ったが、まだ200mほど離れていた。
7.5kmの折り返し地点。ここで初めて、ゼッケン14番の選手を強く意識した。果たして逃げ切れるか? 先ほどとは差はあまり詰められていない。僕がタレないかぎり、勝算は大きいと見た。あと2.5kmだから、もう全力で行ってもいいだろう?
気持ちよく限界で飛ばしていると、バイクで目標にしていた東北大の選手もパスした。今度は抜き返してこない。いやいや油断はならぬ、と背後に迫った危機感をバネにペースを上げる。思ったより早くゴールが間近に迫ってきた。14番にはもう抜かされないぞ! ゴール手前の下り坂を、股関節が外れるかというくらい大またで駆け下り、ラストスパート!
実に気持ちよくフィニッシュラインを超えた。

TTさんも程なくしてゴールし、健闘をたたえあう。その後西内さんとも話が弾んでいろいろ面白い話を聞かせていただいた。息子さんの使い古しのペナペナになったシューズを、験が現れるからと使い続けている話は正直驚いた。

タイムは2:14:31で総合7位、年代別2位に入ることができた。出場選手が少ないので、順位にあまり意味はないが、タイムが何より満足だった。また、ゼッケン14番の人とも少し話をしたが、その後調べさせてもらったところ、この人は2003年の五島を10:34、2004年は10:36というコンスタントな速さでフィニッシュしているのだ。びっくりたまげた。同時に、やはり自分はロングに向いてないということかとあらためて思った。

我々がゴールした後はITUのエリート達が華麗な走りを見せてくれた。
RESULT
Total 2:14:31 (Place 7/119) 年代別2位
Swim 26:22 (14) Bike 1:09:02 (5) Run 39:07 (16)