PARACUP2009 〜世界の子供たちに贈るRUN〜 参戦日誌
2009/4/29
ハーフの部 21.0975km

かすみがうらマラソンを無理なく走って基礎を固め、続くこのPARACUPでしばらくぶりのハーフの記録更新を果たす---。密かにそんな野望を抱いていたが、久しぶりに風邪が本格化して皮算用が狂ってしまった。風邪は小康状態に落ち着いたものの、ブランク以上のパフォーマンス低下は目に見えている。DNSが賢明とは思うが、練習不足の焦りもあり参加を決意。お気楽イベント型大会なのでまあリハビリにはちょうど良いでしょう。Mixiコミュの仲間と9時に東急多摩川駅に集合。快晴の下、10数人の大所帯で多摩川河川敷の会場へ向かう。来てよかった。

選手受付は大行列になっている。あかさたな別に受付が分かれているようだが、列が長すぎてマ行がどの列か判らない。後ろにならんだひとみんさんに指摘されるまでハ行に並んでた。キリオ君の代理受付を引き受けていたが、同じマ行で幸いだった。
参加賞のTシャツをかなりの人が着ていて、会場は一気にみずいろに染まってきた。要項をきちんと読んでないけど、つまり着て走ってくださいってことか?チャリティレースならではの光景だろう。ちょっと迷ったけど、結局快適性を優先してポンズジャージで走ることに。本気度が低いのなら、主催者の意向を汲むべきだったかもしれない。ハーフでトップ独走の選手はこのTシャツを着ていた。

ゼッケンには、応援する人が呼びやすいようにとニックネームを書き込む枠が大きく設けられてあり、ほとんどの人がきちんと書いているのにはちょっと驚いた。緊急時に備えてゼッケンに名前や連絡先を書かせることがたまにあるけど、大抵の人が書かないもの。Tシャツにしてもゼッケンにしても、つまりは参加者が大会の趣旨を理解しとても協力的なのだ。
10kmの部のスタートを傍で見守っていると、ピンクのランスカをはいた双子スターターに目が止まった。アイドルのナントカって人たちらしい。しかも彼女たちはウルトラでキリオ君より速いらしい。なぬー! それってつまり芸能界一速い女性ランナーってこと?

いよいよハーフの部のスタート位置に向かう。脇を通って前方に移動すると、「1時間半以内」のプラカードがほぼ最前列にいる。どういうこと? 1時間半は切れるよなあと思いつつ、そのプラカードより後ろに並ぶ。スタートラインは5m先なので何ら問題ない。近くにはキリオ君、Diceさん、ホソジュンさん。ハーフ1時間20分の記録を持つというホソジュンさん、今日は25分くらいを狙うとのことだが、ついていけるかどうか。

10時45分、ハーフの部スタート。
多摩川沿い、丸子橋からまずは下流へ向かって走る。前が一気に開けて、すぐにマイペースで走れるようになった。というか、全力だ。スタート直後から後先考えずぶっ飛ばすこの感覚は、最近のレースでは経験がない。高校時代の校内マラソン大会を思い出した。今思えばなんてことない17kmの大会だったが、当時はとてつもない距離に思えた。担任の先生が「とにかくスタートで遅れたら勝ち目はない」というアドバイスを鵜呑みにして、ぶっ飛ばして数kmでばててしまった。体育の教師のクセして、まるでなっちゃいないアドバイスだった。あのときの苦い思い出が頭を埋め尽くしたが、近くの走者の会話で1km通過は4分14秒と知り、「飛ばしすぎ」とはほど遠い、ぬるいペースだった。
路面は砂利で、大勢が駆け抜けるため砂ぼこりがたつ。この当然の状況は案外厳しいことに気づいた。まだ先行者が少ないからいいものの、もっと後方寄りで、しかも風が強い日だったらどうなっていただろう。
やがて土のトラックを3周するという変則コースへと入った。トラックの中のスタッフは特にノリノリで、次々とハイタッチで迎えてくれる。応援団の踊りも賑やかだ。周回を重ねる毎に後続ランナーと合流し、トラックは人で溢れる。こういうコース設定は(厳格な順位判定が難しいことから)他に類をみないが、なかなか面白い。いわゆるこのレースのハイライトだろう。
ホソジュンさんと肩を並べてここまで来たが、1周目後半で一気に限界が来て千切れてしまった。背後のDiceさんの気配もやがて消え、メンツはバラバラになった。

まだ楽観視していた僕は、身体がペースに順応すれば楽になりスピードアップできるだろうと考えていた。それにしてもこの砂利道というのは滑って走りにくい。いつまで続くんだろう、まさかゴールまでずっと続くとはこのときは予想してなかった。
FootPodが示すスピードは実際のそれよりキロ15秒以上速い値で安定している。通常予想しうる誤差を大きく外れており、このズレはおそらく路面条件差が生んだものと思われた。一蹴り毎にズリッとスリップしてロスが生じているのは間違いなく、その分が計測ズレと考えると納得がいく。特に今日は脚を速く回すことがしんどくてストライドが大きくなり、スリップも大きくなって不向きだ。細かいピッチ走法が特徴的なホソジュンさんの後ろ姿がみるみる小さくなっていく。
折り返して向かい風から追い風に変わった。さあここから調子が上向く、との最後の望みもやがて打ち砕かれ、ようやく現実を受け入れることとなった。ますます余裕がなくなり、対向からせっかく声をかけられても気づくのが遅れて何人かスルーしてしまった。
結局、本日のレースも東京マラソンと変わらず余裕がない。こんなことでよかったのかな?

スタート位置を通り過ぎ、帰ってくる10kmの部のランナーとすれ違いながら、まだまだ上流へと向かう。
さらなるタレを自覚していた頃、一人のランナーに抜かれた。ずっと一人だったので集中力も切れかかっていたところ。いつしか後ろにはりついていた。やがて調子がでてくると抜き返したりして、お互い張り合う関係になってきた。やがてもう一人追いついてきて3人で固まって走る。
予想されたことだが暑さが徐々に厳しくなってきた。エイドでは確実に水をとって頭からかける。飲むよりもまず体を冷やす方が急務と考えた。手作り大会の割にエイドはしっかりしており、ゴミ箱もきちんと設置されている。

僕のゼッケンにはニックネームではなくてフツーに姓が書いてあったが(byゆかっちさん)、その方がむしろ呼びやすいのか、結構多くのスタッフから名前で応援を受け、急に知り合いが増えたかのようだった。スタッフの多くはハイタッチで積極的に応援してくれる。たぶんルール的には好ましくないので一般的にはあまり見ない光景だけど、ファンランな僕らには大歓迎だろう。

ようやく上流方向の折り返しがやってきた。スタッフの数が多く、威勢のいい応援を受けて少しペースアップ。前後に選手が少ないポジションの特権かもしれない。このころは風向きがなぜか逆に変わっていたので、折り返してから追い風に切り替わった。しかし、ここからまだあと6kmもある。
スタートからずっと1kmが長く感じていた。6kmがこんなに厳しいと思ったのは久しぶりだ。前半のころとは変わって、心肺よりも脚のほうが限界になってきた。ラップの度にスピードが落ち、キロ4分半も切れなくなってくる。東京マラソンの地獄の35km以降よりも遥かに遅い。なんてこったい!

コース図をよく見てなかったので、最後に折り返しループ区間があることを知らなかった。キリオ君の存在を認め、ほとんど差がないことを知る。19km地点で時計を見ると、残りをキロ4分で走っても1時間半を切れないことが判った。1時間半は切れるよなあ、ってスタート前に考えてたのは誰だ! 
ラスト1kmは石がごろごろ埋まったでこぼこの道で、どうにも進まずこれには泣けた。もうレースという感覚ではない。ようやく大会会場に来たとき、10kmの部の仲間が揃って声をかけてくれた。
だがその後の板敷きのところがゴールの計測ラインと勘違いして、SuuntoをSTOPさせてしまう。沿道から「ガンバレー」と言われて、まだゴールじゃないことに気づいた。アホだ。本当のゴールではきちんとゴールテープで迎えてくれた。参加者の多いマラソンでこのおもてなしは普通見ないよね。



かなり心拍が安定していない。初っ端からレッドゾーンに入っている。これではバテるのは目に見えているが、総じて心拍は高く、風邪の影響が大きいと考えられる。EPOCピークは2月の浦安ハーフより100以上も高かった。どう考えてもおかしい。


1:32:07 HRave/max=153/160bpm 1300kcal EPOC=402ml/kg
05km 21:01  
10km 42:16 21:15
15km 1:03:44 21:28
20km 1:26:30 22:46

手作りの完走メダルをかけてもらう。一人一人柄がまるで違っていて、この暖かさはなかなかグーですよ。果物の実を削りだしたものとかかな?
チャリティーマラソンであるこの大会は、参加費のいくらかは寄付金へと回る。運営はかなりギリギリなところでやっていかねばならない。そんな中、キッパリ切り捨てるところと、大事にして思いっきり頑張るところの取捨選択にセンスを感じ共感できる。ランナーのことも良く判っている。こういうスタッフの知恵と努力が参加者にも通じてリピーターが増えているんだろう。

ホソジュンさんもキリオ君も、当初の予想よりはタイムを落としたようで、僕の記録の悪さは風邪のせいだけではなさそうだ。やはり一つは暑さで、絶対的な温度としてはさほどではないもののやはりまだ身体が暑さ慣れしてない証拠だろう。それとラフロードは舗装路ばかり走っている僕には堪えた。

みんなで電車で蒲田へ出て、午前中から営業しているという銭湯へ寄り、ウダウダした後に3500円で食べ放題飲み放題の中華屋で打ち上げ。こういう気取らないリーズナブルな企画を立てるのがホント上手いなあ。満足しまくった一日でした。