足柄大橋開通22周年記念 金太郎マラソン大会 参戦日誌
2009/5/24
15kmの部
15年前は一緒にトライアスロンに出ていた職場の友人が長いブランクを経て再び走り始めた。運動とはほとんど無縁だったらしい彼の奥さんもジムで走り始めている。二人にとってほぼ初めてとなるレースがこの金太郎マラソンだ。友人は15kmに、奥さんは10kmにエントリー。二人の門出を見守るべく、僕も参加することにした。実はこの大会には+500円でアサヒビール工場見学というオプションがあって、作りたてのビールを3杯飲めるのだ。

いつもの物練と同じ時刻に家を出て、湘南ライナーでは快眠、国府津乗り換え、御殿場線松田駅へ。今時Suicaエリア外の駅ということで、改札を出るのに手こずる。切符を買っていくか、運賃を釣り銭なしで用意していた方がいい。
今日は小雨がぱらついており、大会会場では屋根を求める選手たちで唯一の建物がスシ詰めになっている。着替える足場を探すのも大変で、僕は自転車置き場の屋根の下で着替えた。大きめのビニル袋でもあればよかった。レジャーシートは泥で汚れるので却って困るだろう。
本気モードではないのでスタート直前まで余裕ぶっこいていたが、何の問題もなかった。スタートのグラウンドへ行ってみると、大きなゴールアーチの前に数百人が集まっているという感じ。そろそろ時間かなと思っていたら、唐突にパン!と音がしてスタートが切られた。

9:45 a.m. 15kmの部スタート
このごろはアキレス腱を痛めていて、本来ランはまだ封印中の身であるので、友人のペースに合わせてジョグすると決める。目標タイムを訊くと1時間40分、キロ6分40秒だという。で、この大会の制限時間はと言うと1時間45分とかなりギリギリ。目標タイムのペースで走っていたらやばいんじゃないの、ってことで少しペースアップ。キロ6分台前半のペースを作る。3kmあたりまでずっと追い越されっぱなしだった。どもすみません。
雨がシトシト降っているが気温は高めなので気にならない。友人はちょっと寒いと言っている。じゃあもっとペースアップして身体を温める? そのときの心拍数、僕は114で彼は150。寒がる人間が逆では?

酒匂川沿いのサイクリングロードに入る。道幅1.5m程度で狭く、参加者が少ないからこそ可能なコースだ。左手には足柄の山々を背景に、田園風景が奥行き感をもって広がっている。金太郎由来は正直どうでもいいけど、この自然溢るるのどかで風光明媚な眺めは気持ちいい。
20分後の10時5分(予定の5分遅れ)に10kmの部がスタート。一部ショートカットしつつ15kmの部のコースと同じルートを辿る。程なくしてトップが我々に追いついてきて、ものすごい速度差で脇を抜けていく。ストライドが違う彼らの腿や膝の裏は泥を跳ね上げて汚れている。試しに一瞬だけ着いていってみるが、たちまちアキレス腱が悲鳴を上げる。思いっ切り走れないのが歯がゆい。

やがて正面に足柄大橋が見えてくる。この橋を往きと帰りの二度渡ることになり、一つのハイライトと言えるのだが、走路は歩道なので今一つ豪華さはない。15kmトップはすでに復路を渡りきってゴールへ向かっている。僕らはまだ7km地点を過ぎたばかり。

橋を渡った反対側は少し複雑な走路となっていて、ふたつの折り返しポイントがある。一つ目の折り返しで友人のペースが僅かに落ちたのが判った。ここまで順調にキロ6分強を維持してきたがいよいよ壁にブチ当たったか。
うまくイーブンペースを貫いてきたお陰か、タレてきたとは言え徐々に追い越す展開が続いている。キロ6分というと周囲は楽なペースのお楽しみ派と思いがちだが、実は真剣そのものという人がほとんどで、1時間を過ぎ、顔には疲労の色が濃く出ている。どんなスピードだろうと、己の限界に挑む姿はいいものだ。自分に余裕があると興味深いことが見えてくる。
最初は寒いと言っていた彼も、暑さが堪えてきているようだ。エイドの水は飲むのではなく身体にかけろ、とアドバイスする前に、自ら帽子を取って頭からかけていた。トラ時代のレース勘は忘れていないようだ。
足柄大橋と金太郎と熊
カメラ目線でラストスパートを表現

再び足柄大橋(金太郎橋)を渡り、残すところあと2.5kmとなった。100m前方を行く、黒ウェアの重量級選手を見た友人が、「アイツには負けたくない」とロックオン。あいにく黒ウェアの彼もゴールに向けてロングスパートに入ったらしく、こちらが徐々にペースアップしても一向に差は縮まらない。「一度決めた目標はやり通さなきゃ男が廃る、集中だ!」とか何とか色々言って奮い立たせる(単に面白がっているだけかも)。
こういう場面での彼の粘りはすごい。無理だろうと踏んだ差を見る見る縮めてあっさりパスしてしまった。キロ6分もきつかったのに、ラスト1kmはキロ5分11秒までスピードアップ。ゴール手前500mで、偶然にも10kmの部の奥さんに追いついた。
3人で仲良くフィニッシュ。彼も目標タイムを軽々クリアできて門出のレースは成功裏に終わった。

ラストスパートで200bpmに迫る走りをした彼はかなりへたばっていたが、対する奥さんは、これまで最長2kmしか走ったことが無く、トレッドミルでは7km/h台が限界と言っていた割に、10kmを走り終えたとは思えない余裕の表情である。3時間以上本屋で時間を潰せるという彼女は、スタミナ的な才能を持っているかもしれない。僕は1時間で脚が棒。

1:34:04 男子40代の部 199位
HRave/max=117/136bpm 773kcal EPOC 26ml/kg

この大会、ちょっと面白いのは、参加者リストも順位もエイジ別に分かれている点。マラソンというと順位を気にするようなことはあまりないのだけれど、こんなふうに細かくエイジ分けされていると不思議と関心が出てくる。トライアスロンや自転車ヒルクライムレースの感覚に近い。さらに、去年参加した人はリストに去年のタイムが出ており競争心をさらにかき立てている。

用意されたバスに乗り、豊かな自然に囲まれたアサヒビール工場へと向かう。小雨の中のLSDだったのでビールへの執着はあまりないけれど、来てみるとやっぱり飲みたくなってきた。
当然ながら、到着後すぐに美味しいビールが出てくるわけではなく、工場見学というコースを辿らなければならない。まあでもなかなか興味深い話でおもしろかった。ただ、最も見応えありと思われる缶詰・瓶詰工程のラインが完全に止まっていたのはがっかり。ビール、売れてないんでしょうか?
待ちに待ったビール(スーパードライ)は、炭酸度が低くマイルドな味だった。二日後に発売されるというマスターというビールが飲みたかったなあ。一人三杯まで、という条件よりも制限タイムが厳しくて僕は二杯までしか飲めなかった。十分満足したのでOKなのだけど。
ただ、3名は飲みながらふと気がついた。ロハで飲めるって別に大した魅力でもなく、飲みたいときにじっくり飲めることのほうが遙かに大事だなと。
同じ見学を二度三度する気にはならないから、リピータは少ないだろうな。

ビールは飲めたが、腹は減ったままの我々は松田駅周辺で食事処を探したが、唯一満員で入店拒否された焼き肉店を除き、見事に店がない。名前が気になっていた駅前の「マニラ食堂」は廃業していた。仕方なく電車で移動する。小田急線はとても混んでいるのに、町は寂しい。