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2004小笠・掛川マラソン参戦日誌
2004/4/18 42.195km レースに向けて練習量を調整するテーパリングは、今回はまったく無視したのである。 むしろ逆テーパーであった。ウイークデイはトレッドミルでずんどこ走り、前日の土曜にはバイクで長距離を走り、疲れの溜まった状態で挑むフルマラソンはどんな按配か試してみよう、という計画は、ほぼ順調に推移していた。 そして当日。自宅で朝5時に起きて慌ただしく準備しているとき、ミニぎっくり腰をやらかしてしまった。 やばい、と直感してすぐへたり込んだため致命的なダメージは避けられたものの、もはやパンツや靴下は立った姿勢で履けなくなってしまった。 行くのやめようかなあ〜。 6時前。軽く走りながら駅へ向かう。ほんの小走り程度なのに辛くてしんどすぎる。50m走っては歩く、の繰り返しで、一本電車を逃す。これから42kmも走れるとは到底思えない。大丈夫なのか?? 東京駅で割高な駅弁を二つも買い込み、空いている新幹線内で食べる。昨日の長柄109kmが未だにエネルギーを欲していてすごくハラヘリなのだ。 掛川のつま恋に着いたのはスタート45分前。相変わらずギリギリな行動パターンである。急いでゼッケンをつけ、補給食を求めてうろうろし(結局買わず)、HRモニターのセンサーバンドを留める。 スタート2分前に用をたして、まあ何とか間に合った。今回はVAAMゼリーのようなエネルギーを手に入れ損ねたので、いつも装着するボトル用ウエストポーチの中身はカラだ。いやもとい、そこにはウォークマンが入っている。マラソン大会でウォークマンを聴きながら、というのは大変顰蹙であり開催者や沿道応援者への冒涜である、とも思ったけれど、今回は肉体的にも精神面でも辛くなりそうなので心の拠り所が欲しかったのである。すみません。 AM10:00 スタート さて、ウォークマンをしていたためにスタートの号砲を聞きそびれた。よって不確かだが、約1分半後にスタートラインを通過。今日も大勢のランナーが集まったので、その絶え間ない人の流れに沿道から驚きの声が発せられる。 じゃ、行ってきま〜〜す、と。 例によって4キロ程度まで大群衆のなかで埋もれて走る。距離表示プレートが人で全然見えなかったのでその間のラップは取れず終い。次回からは、プレートがある道路左側を走ることにしよう。 ぎっくり腰をかばうため直立姿勢で走る。頼みもしないのに、ひとつ余計な試練を追加してしまった。加えて、昨日バイクシューズで締め付けた足の甲が痛く、走りにも影響が出ている。アイアンマンでは少し緩目にして走ろう、と早くも問題点抽出。なかなかいいぞ。 4キロあたりから上り坂に入っていたが、その傾斜が徐々に強くなってきた。あれ、去年もこんなに坂がキツかったかな? 傾斜8%くらいだ。そのあとの下りもきつく、膝に堪える。知人でウルトラマラソン経験者の「下り坂は全部歩く」という話を思い出した。下りは上りよりもボディーブローが効くから注意しなければならないのだ。 下りきったあと間髪入れずもう一発きつい上りとなる。さっきから平らな道がないぞ。しかも今度の坂はさらにきつくて、たぶん12%くらいありそうだ。早くも歩き出す人が続出するなか、ペースを守って淡々と登っていく人も多い。こんなきつい坂を今までと同じペースで走っていたら絶対に後で泣きを見るぞ。余裕ぶっこいているのも今のうち、全員、後半でオレがごぼう抜きだ、むははははは! と、心で呟きつつじりじりと後退していく。 厳しいアップダウンが一段落した12,3キロ付近。やっとエンジンが温まってきたようで、100kmだろうと走れそうな、ドンと来い気分になってきた。早朝の小走りの時とは段違いに調子いい。気がついてみると、腰の痛みがなくなっていたのだ。試練が一つ消えてくれてよかったなあ。 とにかく今日は暑い。日差しは強いし、気温は25度くらいありそうだ。補給は摂りすぎと思うくらい摂らねばならないだろう。にもかかわらず、ウエア2枚重ね着しているトチ狂った奴が居るのは信じ難い。おまえら全員脱水症状でスローダウンだ、むはははは! なんかこう、嫌な奴になってますな。 僅かだがアップダウンは相変わらず続いており、風もけっこう強く、中盤で早くも歩く人がチラホラ出てくる。今年からコースが一部一新され、「ハードな掛川」へとイメチェンしたかのようである。エイドでは大き目の紙コップに十分な量の飲み物(強烈に消毒臭いのが難)が入っているが、二つとって一気に飲み干すほどの暑さだ。鷲掴みでフルーツを取り、カラになった紙コップに入れて走りながら食べる。全工程でフルーツは欠かさず、特に多く食べたのはイチゴだったが、メロンは2片しか食べなかったのは悔やまれる。 中間点通過 ハーフポイントを通過してタイムを確認したとき、先月の佐倉マラソンよりも遅いことに初めて気づいた。漠然とキロ5分を目標に走っており、おおむねクリアしていたが、坂などで自然とペースが落ちた分の借金はそのまま残っていた。後半は平らになるので少し追い上げることが出来るだろうか。フルマラソンで後半にペースアップするなんてことはまず不可能に近いものだが、今日はそれが実現できそうな気がしてきた。 片手にお守りのスポンジを持ち、暑さを肌で感じながら黙々と走っていると、トライアスロンでのランのイメージと重なった。残り20キロとあらば、さしずめ佐渡Bのランスタートといったところだが、その時よりも身体は軽い。マラソンは、いつ潰れるか予測がつかない難しさがあるが、今日はナゼか潰れない自信があった。いやむしろ潰れることを恐れない気持ちになっていたのだろう。 29キロを過ぎると、残るはゴールに向かってひたすら北上する道となる。平らで、しかも追い風とくれば、自称トレッドミラーとしてはまさに真骨頂、惰性走りの才能を如何なく発揮だ。バテ気味でキロペース5分を大きく下回る周囲に逆らうようにごぼう抜きで軽快に飛ばす。いやあ、楽チンですわ。むははははは! マラソン愛好者にとって共通の鬼門である35キロ地点も快調に通過。時には心拍数150を超え、フルではありえなかった追い込み度を達成している。残りあと7キロ、射程距離圏内に入った。さらにペースアップしてくれようぞ! と思っていたのだが、なんか左ふくらはぎに違和感が出てきた。むむ、ケイレンを起こすか? 今日の暑さでは予想し得る事態、まあこの程度なら騙し騙し走りきれるだろう。すこしペースを落とすか。ああ、ケイレン防止薬を持ってくれば良かったな。すっかり忘れていた。 などとのん気に構えていたのが甘かったのである。徐々に違和感は痛みへと変化する。 どうやらケイレンともちょっとちがうこの痛み方には覚えがあるな・・・・。そうだ、2年前のシーズン中ずっと慢性的に悩まされた、肉離れに近い痛さだ。あの症状がひとたび目を覚ますと、何を施しても痛みから解放されず、アリ地獄のようにますます締め付けられていくという恐怖の・・・・・・。ん? 痛い、痛たた、いたたた・・・ イタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!! 筋肉が裂けそうな強烈な痛みで緊急停止。 マジですか・・・・・ 唖然とする。 しばらく一歩も歩けないという極めて深刻な事態。残るはあと5キロ。どうする? あと5キロも。 途方に暮れていてもしかたない。進むしかないのである。 有り余っているとは言い難いが、左ふくらはぎ以外の筋肉はまだ元気いっぱいだ。なんとか、他の部分を総動員して走れないものだろうか? 腕を大きく振り、右脚の大腿死闘筋をフル活用し、前進を試みる。だが、その不自然さよりも、痛みそのものが原因で走れない。虫歯が痛いとモノが食えないのと同じ理屈である。まあ、片足跳びでなら進めなくもないが、37キロを走った後でなかったとしても片足跳び5キロはごめんだ。 歩くよりむしろ走る方が痛みは少ないと知る。とりあえずエイドまで、やっとの思いでたどり着く。水分を念入りに補給し、フルーツを大量に摂り、そして最後に冷水を患部にぶっ掛けた。 するとどうだろう? なんと、余計痛くなってしまった! 筋肉の炎症には冷やすことが第一ではなかったか? まるで、筋肉が冷たさに収縮して、血流が悪くなることで痛みが増したような感じなのだ。 それからは冷やさずに、逆にマッサージして温めた。その他色々と試しているうちに、徐々に歩くスピードよりはかろうじて速く走れるようになる。ただしかなりの全身運動だ。 今まで軽快に抜いてきた見覚えのある人に次々と抜かされていく。「あれれ? バテちゃったのかい? 飛ばしすぎだよ、まだまだ青いねえ〜」などと思われているんだろなー。違うんだよそうじゃなくて・・・いや、その通りだ。 ペースを上げると痛みがやってきて停止を余儀なくされる。そんなストップアンドゴーを繰り返し、ようやくゴールまでたどり着いた。無念のタイムは3時間47分弱。 痛みでスローダウンした区間をもしキロ5分で走っていたとすると、ロスタイムは約12分半にもなった。ただタイムの問題よりも、フルで初めて、最後に追い上げる走りが出来たかもしれないのにと思うと無念である。 この痛みをアイアンマンで目覚めさせてはならない。そう肝に銘じたのであった。 高低図と区間ごとのキロペース。心拍データは不自然な値だったので省略。ウォークマンのせいか?
![]() 獲得高度280m、消費2423kcal (参考値) |
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