JCRC最終戦 in フレンドリーパーク下総
2003/12/6
個人TT1周(1.5km)、マスドレースEクラス8周(12km)

週間予報では、この日は頑なに雨と言われつづけていたが、当日朝6時半、応援の友人を駅でピックするころは僅かな小雨、現地到着の7時40分にはほぼ止んでいた。土砂降りの中を走る、なんてことはひとまず避けられそうだ。

今日は個人タイムトライアル1周(1.5km)とマスドEクラス8周(12km)というメニュー。その個人TTが早くもあと25分後に迫っている。急いでローラー台をセットし、TT用にタイヤを8.5気圧まで上げ、初めてのコースを試走。TTのみ、コースを逆走することに決まったらしく(なぜだ?)試走ではそれが試せないので雰囲気が掴めない。雨でオシリが瞬く間にびしょ濡れとなった。受付でゼッケンをもらい、左腰脇につける。トイレを済ませ戻ってみると、もう自分のスタートまで8分しか残ってなかった。ローラー台に乗る暇なし。かなりやばいぞ。

個人TT
通常のスタート/ゴール地点から300mほど離れた、陸上トラック脇の道幅の広い位置が、TT用特設スタート地点である。ゴムが伸びきったZIPPの夏用上下ジャージに身を包み、気温7度の寒々しい中、両ペダルをはめ、サドルを支えられてスタートを待つ。このウェットな路面で、無事走れるかが最大の不安だ。幸い、風はまったくない。OD-BOX店長によるスタート合図でTTが始まった。まずはダンシングで一気にスピードに乗せる。すぐさまDHポジションに移行。POLARのメーターは心拍を受信していない。冬場は接点を濡らさないと測れないようだ。ゴールラインを逆から通過、ここからコースいちばんの下り坂に入り、コーナーを控えめにクリアしていく。下りで勢いにまかせられずブレーキをかけてしまうのが残念だ(最高速度はわずか48.1km/h)。下りから平地へ移行。全力モードで走っているが体感スピードはイマイチだ。ここから徐々に上りが始まる。一気に厳しくなってきた。脚の筋肉はすでにほぼ売り切れ状態。試走よりもアップを最優先すべきだったことを痛切に悔やむ。メーターを見ると、スタート後2分をすでに回っていた。ゴール地点はまだ見えない。平均40km/hで走ればかなりいい順位に入れそうだということは分かっていた。平均40km/h? 簡単じゃないか。高をくくっていた。今のこのタイムを見れば、平均40km/hがいかに高いハードルかが分かる。ラストはとりあえずもがいてゴールしたが、スピードに変化は無かったような気がする。2分23秒65、平均37.6km/hだった。23秒台に数人が集中しており、アップをしていれば、とかなり悔やまれた。しかもこのタイム、この後のレースでは楽にクリアできるペースなのだ。それだけ集団走行のメリットは高いのか、アップしてないのが原因か、はたまたペース配分が悪かったか。そのいずれもであろう。81人中33位。

TTで用いたDHバーを外す。ZIPP404からキシリウムに履き替え、スプロケも移植。この路面では自ら落車の可能性が高くZIPPを壊しかねない。さらに、カーボンリムの制動はおぼつかないし、終始集団走行で登坂の緩いこのコースでは軽量ディープリムのメリットも薄いと思った。旧型キシリウムでびくびくすることなく行こうじゃないか。
本日のメインディッシュが始まるのは、TTから1時間20分後。その間、女性やF、Xクラスが走っているが見る余裕なし。なんと、TTのときからずっとヘルメットを脱いでなかったことに、ローラー台に乗っていた時気づいた。よほど慌てているらしい。結局こまごまとした準備でローラー台に乗ったのは10分ほど。汗をかくには至ってないので足りない気がしていたが、時間切れである。結果的には問題なかったが。

マスドレースEクラス 1.5km×8周
今回は、BSのトップ選手が引いてくれるとかなんとか、召集所で役員の人が話しているが、上の空だったので聞きそびれた。
召集所からコース上のスタート位置へぞろぞろと移動する。橋の上で応援する友人を確認しようと後ろを振り返ったとき、その失策に気づいた。自分は最後尾だ。やばい。初心者クラスほど集団の前方に位置したほうが安全と聞いていたのに。思わず意味不明な笑みを投げかけていた。
ピストルの号砲とともに集団は俊敏にスタートし、のん気な自分は慌てて追いかける。さあて、いよいよ集団走行初体験だ。大きな声では言えないが、練習ではもちろんのこと、一度もこんな経験はない(否元い、約10年前の筑波7耐で経験があったか)。始まってみると、傍で見ている以上に難しいと感じた。周囲の動きが過剰とも思えるほどめまぐるしく変るのだ。じんわりテールトゥノーズの態勢に持ち込む、なんて悠長なことは言ってられない。道もクネクネと小刻みなコーナーで占められ、そのたびに集団は右へ左へごっそり移動する。おまけに今日は前走者が砂混じりの水を激しく跳ね上げて、目にモロに入ってくる。自爆を避けるためには、前輪を前走者の後輪に引っ掛けないようにすること、インなどで込み入った状況の時にひるまないこと、などだと色々考えを巡らせる。それだけでなく、落車の原因を作らないためにも、道を斜行することは厳禁である。前走者のラインをトレースすることが基本だろう。ベストなラインでは走れないわけで、そこにシビアな路面条件が加わるために、かなり神経を使った。
幸い中切れすることなく集団のまますすむ。ここでもし先頭が逃げを打っても、この込み様では見過ごすしかないだろう。陸上トラック脇の広い左コーナーでアウトから順位を上げていった。ゴール手前の緩やかな上りで集団のスピードが落ちたときもポジションを上げるチャンスだ。皆、脚を溜めたいのか、意外と上りがゆっくりだ。上りとはいえ、フロントアウターで十分行ける。今回はインナーに一度も入れてない。変速操作は群馬と比べてかなり楽だろう。
選手の中には、スピードが一定でなく落ち着きのないタイプや、よそ見が多くふらふらしているタイプなど、要注意人物が結構潜んでいる。自分はどうだろうか? などと思いながら。なるべく上手な選手の後ろについたほうが身のためだし、走りやすいのだが、どういうわけか要注意選手に限って常に目の前に突如現れる(ような気がしてしょうがない)。一度だけ、コース脇に押しやられて、路肩の樹木を掠りながら走ることがあった。スピードは40オーバーなので心臓が飛び出る思いだ。こんな危ない走りはしてはいけない、と肝に銘じる。
4周目あたりは中だるみか、比較的穏やかなペースとなる。徐々にポジションを真中へ、そして前方へと上げていく。
5周目でポンとペースが上がった。トップが軽いアタックをしかけたのか。下りで最高スピードが出る。この頃は10番手以内まで上がってきていた。無理すれば更に上がれたかもしれないが、何となく阻まれている気がしたのと、自分がイニシアチブを取って走れるだけの自信がなかった。コーナーリングの未熟さが大きな理由だ。
少し先頭が揺さぶりをかけている感じになる。2,3人がすこし引き離していくが、程なくして集団が吸収する。吸収されると先頭が休みモードに入り、それにつられて全体のペースが落ちて、縦長だった集団が団子になる。そんな繰り返しに見えた。BSの先導役は果たしているのかいないのか、相変わらず判らない(スペシャルな走りをそこに見出せないのだからよっぽど目が肥えてない)。
7周目のころは揺さぶりも強くなり、スピードの強弱が大きくなってきた。こうこなくっちゃ、とブラケットを握る手も熱くなる。集団がすこしちぎれ始めた。よしよし、このまま逃げよう。下りでペースを上げ、野球場脇まで来る。するとそこで一気にトップが意気消沈してしまった。どどっと後続が追いついて、おもわずブーイングを発する人もいる。そこをすかさず先頭に出て一度くらいは引っ張ればよかったのに、と言いたくなるが、そんな都合よく前へ出られないのだ。
その分、上りではすこし力を入れて、最後の勝負所へと突入する。
ラスト1周の鐘の音を合図に、ペースが全体的に底上げされた。いつものトラック脇で8番手付近まで上げる。トップは依然としてダッシュする気配がない。あえて後続を窺っているようにも見える。自分としては、スピードをもっと上げて、集団がバラけてくれたほうが抜かしやすい。そのままのポジションで下り終え、野球場脇を過ぎ、ここからはいよいよゴールまで続くラストののぼりだ。少しペースアップした分、脚に乳酸が溜まった感覚があるが、まだまだ使えそうだ。もう行く時だろう!? 本気モードへのスイッチを入れ上り始める。そのときだった。左コーナーの途中で、左後方から突然体当たりしてきた選手がいた。何事か!とびっくりしたが、「スミマセン!」とすぐさま叫び声がかかったので、僕もオウム返しに「すみません」と叫ぶ。僕が走路を邪魔したのだろうかと一瞬不安になったが、事なきを得たようでホッとする。その3秒後くらいだ。後方から、ガツーンと鈍い音がした。うひゃあ、落車だ。緊迫感が音になって弾けた! そのただならぬ空気を背中に受けながら、ゴールまでの数十メートルをもがく。どれほど歪んだ顔をしているだろう!と思いながら。群馬の時と違って意外と追える。一人、また一人、ラストでもう一人抜けるかぁぁぁっ?? ゴォール!!

ラストスパートで3人を抜き、3位まで上げることができた。まあ半分ラッキー、上手く行ったレースだった。
僕に接触してきた人と落車とはポジション的に無関係と思うが、落車は何が原因だったんだろうか。音から距離を推測して、僕はまず関わっていないとは思うが(走りにも問題は無かったはずだ)やはり少しばかり気になる。

レースは午後まで続いた。Cクラスが走る頃には路面も乾き、午後には時折太陽ものぞかせていた。他クラスでもやはり同じ位置で落車があり、どうやら魔のコーナーらしい。Kestrelが壊れて、TIME納車はまだ先、という最悪のシナリオは迎えずに済んでホントに良かった。

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家に帰って、POLARのデータを見て結構驚く。
最終周回後半は、ゴールまで40km/hオーバーだった。このスピードで転んだら堪らない。緩やかとは言え、ラストののぼりで43km/h出ていたなんてびっくりだ。集団走行というか、集団心理の効果か? 走っているときの感覚よりもデータの方が速い、という経験は初めてだ。レース全体の平均は37.7km/h、最低速度は29km/hほど(坂を登りきった直後にストンと落ちる)。その代わり、最高も49.5km/hに留まっており、雨の影響もあって今回のEクラスは無茶のない安全走行タイプだったようだ。