第20回東京ベイ浦安シティマラソン参戦日誌
2011/2/6
ハーフの部 21.0975km

昨年10月頃に、何を血迷ったか「浦安ハーフで1時間20分を切る」という目標をぶちまけた。
アドバンストマラソントレーニングを読んだあとは、努力如何でどうにかなることとどうにもならないことの線引きがある程度出来てくる。要は、積み上げを早めることは出来ないのである。
とは言うものの、ここ3ヶ月の走行量は152km、145km、199kmと、可能な限り善処したという形跡も窺えないわけであり、いずれにせよ「大口叩きましたけどなにか?」とケツをまくるしかないようだ。
そんなわけで大幅に下方修正されての、本日の理想的目標は、18年前の化石のようなベスト記録1時間21分31秒を塗り替えること。現実的目標はセカンドベストを出す。最低限の目標は、せめて悔いのない走りをせよ、キロ4は切れよボケ、ってところ。

5時半起床、セオリー通りスタート4時間前にごはん1杯の朝食をとる。昨日や一昨日も食事内容に気を遣い、グリコーゲンチャージに関してはこれまでになく上手く行っている感じだ。カントクと一緒に舞浜駅に降りたったのが8時ちょい前。

幸い穏やかな天候に恵まれ、昨年のような爆風に見舞われる気配はない。気温11℃はまあ理想的範囲と言っていいだろう。アームウォーマーも手袋も持ってこなかった。
すでにランナー集団のピークは過ぎているようでスムーズに会場まで辿りついたが、体育館内の選手登録の列は今までになく長かった。参加者数は変わってないのに何でだろ?

8時50分頃からアップ開始。以前は広い芝生広場だったところはミニ野球場のような多目的グラウンドが建設され、アップできる自由空間がほとんどなくなったかと思いきや、スタートラインの先300mほど道路封鎖で3車線すっぽり空いていることに気づいた。なるほどそういえばそうだ、とここで少し走る。ただどういうわけかジーパンを履いたまま来てしまい(まるで夢の中でナゼだかパンツ一丁で歩く羽目になった時の気分)、真面目にアップする気あんのかボケ?と我ながら呆れる。松田優作張りにジーパンでキロ3分55まで上げてみる。当然しんどい。
アップ不足の不安はなく、今回はさっさとスタートラインへと向かった。1時間15分以内のプラカードの前にカントクを見つけ、横に並ぶ。ちなみに、1時間15分を切ると今回総合8位に入れる。

9:30 a.m.ハーフの部スタート
いつものように10秒前からカウントダウンがあり、松岡市長のピストルの合図でスタート。
膀胱が早速満タン信号を発しており、ああ念入りにトイレ寄っときゃよかったなと後悔しながら走り出す。
キロ3分52のペースが努力目標だが、身体が温まるまで2、3kmは少し抑え目で入り、終盤のスパートで帳尻を合わせる、というプランで行く。
スタートラインは8秒で通過できたが、まだ前が詰まっていてスピードが上がらない。無理に追い越さず、キロ4くらいの感じで。平和に行こうよ、と思いつつFootPodを見やると一瞬キロ4分30などというジョギングペースにまで落ちていて、こりゃいかんと慌てて追い越しにかかる。最初の500mは大分もたついたが、やがてマイペースを維持できるほどにバラけてきた。

ところが、キロ4分8あたりからなかなか上がらない。もっとか?もうちょっとか?と自分に訊きながら慎重にスピードを上げていくが、キロ4ちょうどまで上げるのにも随分もっさりしてしまった。それにしても今がキロ4切れてないのはおかしい、今日のFootPodのキャリブレーションは0.98から0.99へと甘い方向に書き換えてあったのだが調整が足りなかったようだと判断、つまり実際はもう少し速いと見て、無理してまでペースを上げないことにする。暖機運転が終わればもう少しペースを上げやすくなるかもしれないし。
本当は距離表示板で確認すれば確実なのだが、鈍いオレンジ色のそれは小柄で見つけにくく、見逃してばかりいる。
LTレベルをオーバーし途中でタレることだけはとにかく避けるため、しんどさの感覚を研ぎ澄ませて走る。この時点ではほとんど辛さはない。心拍を見ると73。肝心なところでまだ寝てるよ、Suuntoが。

距離表示を4km地点でようやく発見した。15分54秒。スタートのもたつきが気になっていたが、トータルでもキロ4分は切れているようでホッとした。FootPodの誤差の解釈も概ね当たっているようだ。
5km地点で観戦することになっている母と姉には、通過予想タイムを19分40秒と伝えてあった。数少ないアップダウンポイントである橋の頂上付近で二人の姿を確認。まだまだ目標ラップを刻めていないという意識が強かったため「遅れている!」と叫んで通過。実際は5秒ほどの遅れで済んでいた。この1kmは目標ペースまで上がっていたようだ。
0-5km 19:45(P3:57) HRave/max=推定148/153

額からはびっしょりと汗が噴出していたが、一つ目となるエイドは素通りした。曇り空のためか、あまり暑さを感じない。むしろ露出した腕が冷えて指先はかじかんでいる。風が冷たい。
鉄鋼団地横の長い直線路に入って、今日初めての向かい風を経験する。だがその後右折してからはさらに向かい風がきつくなった。ここも長いので風除けを求めて前の選手を追う。だが追いつくと意外にもヌル過ぎると感じ、すぐにパス。
ジャケットをバタバタはためかせて走っている女性をパスする。どう見てもただの空気抵抗にしかなってないのだがどういうつもりだろうか。練習レースとしても、イマドキのラン用ウェアにあるまじき、スーパーの店長が着ていそうなジャケットはないでしょ。これが男なら理解できるんだけど、思えばこの人が最後に追い越した女性。つまり恐らく女子トップとなった選手。

彼女を追い越したのは9km手前。今回はとにかくひたすら周囲を追い越す展開である。そういえばこれまでまだ誰にも追い越されてない。僕と同じペースの人はどこにいるんだろうか。スタートのもたつきはほんの少しのはずだが、なぜそんなにもあっという間に差を生んでしまうのか。それとも、イーブンで走っている人がいかに珍しいのか。
9kmのエイドでは明海大のチアガールがいつも黄色い声援をくれる。ここで一口水を飲み、長かった向かい風区間を折り返してバラ色追い風区間へと入る。若干落ちたペースをここで取り返そう。できる限りのストライドで走る。

コブのような橋での上りは以前なら負荷一定で速度を落とし、そこだけ周囲から遅れて走ったものだが、今日は速度をキープできる。直後の下りとセットになっているので安心して追い込めるのだ。そういう考え方も含めて、明らかに本門寺ランの成果だと思った。
10km地点はまた見逃した。
5-10km 推定19:25(P3:53) HRave/max=152/158

向かいの車線にカントクを見つける。いつもなら対向を見続けるのは心理的にきついのだが、なぜか今日は目線を遠くへ置いて走ることが多かった。周りに誰もいないので、遠くの先行者をターゲットにする気持ちが強かったためだろう。カントクの調子も良さそうなので安心する。
11km付近は比較的ギャラリーが多く、声援にこたえながら走る。そういえばお年寄りが目立った気が。若い街と思っていたけど、だんだん浦安も高齢化してきているか。

しばらく追い風基調のはずなんだが、さっきからラップはガッカリさせる値が出ており、意に反してペースアップできてない。もっと飛ばさないとダメなのか。僕の場合スピード調整はストライド幅で決まり、ピッチは概ね一定である。今のストライドは有体に言ってMAXである。これ以上のスピードを望むならピッチを速めなければならないが、それにはエネルギーを数倍注入しなければならない、といった感じ。ランニングの経済性が極端に悪化するので、今が事実上の最高速度だ。
ハーフを走るペース、すなわちLTペースのさじ加減は「しんどさ」から推し量るものと思っていたが、今の僕には直接的には体格のメカニカル?な要因で頭打ちになっている感じがする。これは少し奇妙な感覚だ。少なくとも心肺系はまだ余裕を感じる。実際この頃の心拍数は153平均で推移しており、本番の緊張で高まった分を差し引くとLT練レベルより低く、普段ならまだスピードアップの余地が残るレベルである。

13kmでスタート位置へと戻ってくる。
少し前から右の足底が気になりはじめていた。一蹴り毎に靴の中で足がずれる。この現象は練習時にもよく経験していたので、滑り止めのついた靴下を選び、スタート前に念入りに紐をきつめに締めたはずなのだが、むくみがとれて痩せたのだろうか、スルスルと動くようになってしまった。こういう悩みは過去のクツで覚えがないので、このターサーブリッツが自分の足に合わないのだろうか。
距離表示の誤差もあるかもしれないが、意識して飛ばしたお陰で若干いいラップが出た。3分48秒、やればできるのか? と気持ちが上向いたところで、本日最大の問題が発生。いわゆる横っ腹が痛くなってきた。レース中の腹痛はいつ以来だか覚えてないくらい珍しい現象。みぞおちの僅かに右あたりで、少しイレギュラーな位置にも思える。くそう、ここまでノートラブルで歩を進めてきて、こんなことでペースダウンするのは嫌だ。痛いのがなんだ、死ぬわけじゃなし、気にせず走れ。と言い聞かせつつ、そんな割りきりが出来るくらいなら苦労はしないのであり、およそ1km、耐えに耐えていたらふっと消えた。助かった!

対向車線を先頭広報車両がやってきて、トップ選手が通過する。少し間をおいて2番手に招待のワイナイナ選手が見えてきた。不遠慮にまじまじと注視していたらギョロッと目線だけを合わせられ、我に返る。彼は口を閉じて走っていた。ジョギングペースと変わらないみたいだ。どうなってるんだー!
10-15km 推定19:26(P3:53) HRave/max=154/157

リゾート気分を満喫できるこの海岸沿いの道は、実は毎回辛く感じる区間。折り返しまで景色が似通っていて単調なので長く感じるのだ。今回はその長さをあまり感じないまま結構来たなあと気づいた。調子がいいようだ。それでもコーナーを2回曲がり向かい風に変わったら、残り5kmの看板が恨めしくなってきた。心拍もぐっと上がって体感的にもいよいよしんどいゾーンへ。待望の折り返しコーンはちょうど17km地点。それまでに二人の仮装ランナーを見た。一人目はかなり走れそうな人だったが、50代と思しき二人目は被り物一つで仮装としての完成度もお座なりながら、Tシャツの格好やぷにっとした体型などランナーとしての意気込みもお座なりに見え(大変失礼!)、そんな彼に後塵を拝しているのは悔しい。
追い風に切り替わると、仮装ランナーを追い越せないかなと再び限界まで飛ばす。後でログを見るとペースアップの形跡はやっぱり見られないのだけどね。仮装ランナーは追いつきそうにもないが、4人ほど固まって走っているのが見えたのでターゲットとする。うち二人は目立つ浦安ランナーズのウェアだ。ここのクラブは選手層が厚いんだよな。
カントクと再びすれ違うころは向かい風に変わっており、横っ腹もまた痛くなってきたりして、最後の試練の区間となった。一人の浦安ランナーズをここでとうとう捉まえた。
15-20km 19:32(P3:54) HRave/max=157/163

運動公園脇の直線へと入るとラストスパート。二人目の浦安ランナーズを捉え、背後に着かれたがここでさらに加速。まだ余裕があることを見せつけて諦めさせよう、などとポジティブに考えられる自分は余裕があるようだ。
ゴール予想タイムがすっかり計算できなくなっていたが、これ以上はないと思える速度をキープし続けてこれたので、結果がどうあろうと後悔する余地はないだろう、とは言うものの23分台のパッとしない記録だったりしたらヤダなー。
と思っていたちょうどそのとき、公園入り口に設置された7セグのタイム表示が目に入った。1時間21分35秒。頭に焼き付いていたハーフのベストタイムを過ぎたばかりで一瞬ガッカリしたものの、セカンドベストは約束されたと分かり嬉しくなった。ラストを気持ちよく飛ばしてフィニッシュ。
20-21.1km 4:05(P3:44) HRave/max=160/162


スタート後2kmまではエラーのため心拍データ無し

total 1:22:14(P3:54) ネットタイム1:22:08 HRave/max=推定153/163
TE=5 EPOC推定300前後 推定1050kcal
総合45位/3078人 40-49歳部門別10位/912人
順位は去年より微妙に悪い、と思ったら参加人数が2割ほど増えていた。



五大陸

ミラクルタイムとまでは行かなかったが、意味のある結果をようやく残す事ができ、浦安で記録が出ないというジンクスを大方打破できてよかった。
荷物置き場の上着を取って戻ってきたらカントクがちょうどフィニッシュ。なんだか嬉しいのか悔しいのか悲しいのかよく判らない顔をしている。でもベスト大幅更新なんだから嬉しいに決まってるでしょ!
天気もそこそこ悪くないので、出店のビールとおつまみでカンパーイ、と行きたいところだったが、食べ物は早々に完売。なぬー! それちょっとありえなくないですか。非営利の出店なので仕方ないのか。でも今日がいい天気になるのは随分前から読めていたんだから販売量の見極めはもうちょっと正確にしてほしかった。とりあえず生ビールで乾杯。
イクスピアリが混んでいたので東銀座まで出て遅い昼食。マターリして至福のひとときであった。
夜の体重は不思議とスタート前より1kg減ったままだった。