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湘南オープンウォータースイミング
2005/8/14 6kmクラス とある個人のブログで知ったこの大会、去年から始まったらしい。手ごたえある距離で、コースがワンウェイなのでアドベンチャー要素もあり面白そうだなと、参戦を決めた(→URL)。 面倒なのは前日に選手受付が必須であること。藤沢市まで行かなければならないのだ。行ってみると何のことはない、スイムキャップや計測タグ類を受け取るだけのことである。こんなものはレース当日でも可能である。更には、たったそれだけのことで人員を何十人と使っている。人件費の無駄遣いであり、参加費の数パーセントはそういう無駄なところに流れると思うとやりきれない思いだ。この過剰な受付のために使われた移動や光熱やゴミ処理などのエネルギーはどの程度だろう。環境配慮型レースとはいえないだろう。今後は、そういったことも思慮に入れて大会を計画すべきであると思う。 さてさて、移動エネルギー節約(と久しぶりの語らい)のために鎌倉の友人宅へお世話になることにした。スタートの材木座海岸へは徒歩10分というこの上なく好都合な環境なのだ。前日は鎌倉観光などもまじえて、充実したひとときを過ごすことができ、もう鎌倉に来た目的はほとんど果たしてしまった、と勘違いするくらいであった。 レース当日(8/14) 朝は6時半に起床し、コンビニの冷やしうどんなぞを食べて備える。昨晩食べ過ぎたのかやや食欲がない。まあ、2時間の手の運動だけだから、大して食うこともアルメー。8時ころにスタート位置へ赴いた。 既にそこにはほとんどの参加者が集結しており、ビリッケツで登場。アミノバイタルゼリーを持ってくるのを忘れたことに気づくが、すでにアミノバイタル粉末や、怪しげなカプセルをいくつか飲んでいたので十分だろう。最終受付を済ませ、腕にナンバリングを施す。友人宅でせっかく塗ってきたクラゲ予防クリームも、ナンバリングのためにアルコールで拭き取られてしまった。 スタートは午前9時で、まだ40分ほどあるのだが、手荷物預りのタイムリミットが近づいてきたので止む無く預けた。時計は着用禁止なので一緒に預ける。ところが、アナウンスでは「○時○分までに○○してください」とひっきりなしに指示をしていた。身包み全部預けた状態でどうやって時刻を知れというのだ? 放送で頻繁に「今は○時○分です」と告げるか、大きな時計を掲示する必要があるだろう? 既に、スタートエリアには選手が集められている。「競技志向の方は早く集まってください」としきりに訴えているのだ。この炎天下の中そんなに早くスタートエリアに行って何をするのだ? 甲羅干しですか? 熱中症のススメですか? さて、最後の最後にスタートエリアへ入ってビックラこいた。 ![]() 安全確認のために人数の正確な把握が必要なのは判るけど、そのためのスタートエリアじゃないのかね? 何のために計測タグつけているのかね? そんな問題よりも、最前列はスタート40分前から並んでいて、水分補給が一切できないことのほうがよっぽどヤバイんじゃないのか。 まあいいや。それも含めて自己責任。気の早い人種というのはかならず居るからね。 今日の参加者は432人とのことだが、9割方はウェットスーツを着ていないことに驚く。あれ? 皆さんウェットは持ってないのですか? それとも、持っているけどあえて着ない、という選択肢を選んだということですか? 暑くなりすぎることへの不安は確かにあったものの、過去にトライスロンで暑すぎるレースというものは経験はなく、前日の試泳でも問題は感じなかったので、10年前の保温効果ゼロのロングジョンならまあ大丈夫だろうと踏んでいたのだが、本当に良かっただろうか、と少し不安になる。 ![]() 僕でさえもスタート20分前にエリアに入ったので、あとどのくらいでスタートなのか徐々に見当がつかなくなってきた。すぐ横の柵の外にいた友人に時刻を聞いたりして過ごす。競技説明が始まったが、メガホンは音量不足で後ろまで聞こえてこない。ヨットの右側を泳げばいいということだけは聞こえた。エイドステーションはどんなカッコウをしているのかとか、コーナーブイはどんな表示なのかとか、肝心なことはさっぱりわからないまま、スタートの時刻になった。引率者に従って皆でぞろぞろと海に入りだし、僕は前へ前へと移動を開始する。競技志向は前へ、との指示に従ったまでだが。腰辺りまで浸かった頃にホーンが鳴る。スタートの9時よりはかなり過ぎているのは明らかだった。 6kmの部スタート (友人の時計に拠れば)予定の9時を3分ほど過ぎてスタートしたらしい。今朝は試泳はしていないので、アップがてらのんびりゆったり泳ぎだす。それでも、周りのペースよりは遅くなることはないので、もうすこし前寄りでスタートすればよかったかもしれない。トライアスロンでは滅多に経験のない悪意のこもった妨害もあったが(多分不慣れなせいもあるだろう)、100mほどでそのスイムバトルもなくなり、穏やかな海をマイペースで泳ぎはじめた。 ![]() 6kmはとにかく経験がない。飛ばしすぎないのはもちろんのこと、同じ動作の繰り返しのためにある部位が攣ったり、ヘンに痛くなったりすることも予期される。なるべく無理・無駄のない泳ぎを心がける。 海は思ったよりも綺麗で、浮遊物などもなく、透明度は4-5mくらいありそうだが、さすがに海底は全く見えず、周囲にも人がまばらなため、透明であることの有り難味はさほどなかった。時折、1mはありそうな(距離感がよくわからないので定かではないが)大魚が5,6匹群れをなして物凄いスピードで海底を通り過ぎるのが見える。何の魚だろう? スイム歴はかれこれ30年以上になるというのに、人の後ろにつくと楽に泳げるということを初めて実感し始める。普段なら、自分の前を泳ぐ人はすなわち自分が追いついた人であり、自分より遅い、つまりこの人のペースに付いたのでは良いタイムは望めない、と考えていたのだ。今回は温存した泳ぎを重視したため、人に付く、という発想の余裕が生まれた。今頃気づくなんておいらも相当アホだ。 ![]() 人に付くと、スリップストリームの恩恵があるほか、ヘッドアップして方向確認する必要がなくなり泳ぎに専念できるというメリットがある。むしろ楽な理由は後者かもしれない。その人の方向判断を信用することになるので、向こう見ずでアホっぽい人は避けなければならないが、その人選は水中だと当然難しい。また、キックを強く打つ人の後ろは、キックで生じる気泡が後ろに流れ、目印としやすい。少々引き離されたとしても見失わずについていくことができる。僕はキックを一切打たないので多分目立たないだろう。 暫らく赤パンツの人の後ろでコバンザメ状態になっていたが、彼が突如クルっと裏返り背泳ぎを始めた。どうしたのかと思ってヘッドアップし、ラッコ状態の彼と顔を合わせ、なんともばつの悪い瞬間である。 人の後ろにつくとうっかり足の裏をペロンと撫でてしまい、それは当人にとって経験上相当イラつくので、十分気をつけていたつもりだったのだが、もしかすると実際に撫でていなくてもプルが生み出す水の渦が間接的に足の裏を刺激していたのだろうか? などとアレコレ気を揉むが、そういえばたまたま今月号のトライアスロン誌に、背泳ぎは息抜きに具合がいい、といったことが書いてあったのを思い出し、自分もやってみる。すると、僕の後ろにもコバンザメ2号がピッタリついていたことに初めて気づいた。僕の行為を不審に思った2号がヘッドアップし、やはり顔を見合わせる気まずい一瞬。彼はコースを避けて泳ぎ始める。「不満あり」の態度表明と受け取ったにちがいない。そうじゃないんだって。 僕らの横数mには、サーフボードに乗ってパドリングしながら見守るライフセイバーの人たちがポツポツ見られる。大抵は僕らと同じスピードで同じ方向に進んでおり、ちょうど真横に居ると都合がいい。ただ、彼らの並走する意図が、「既に右方向にかなり逸れており修正せよ」との意思表示に見え、非常に不安になる。いつものトライアスロンのようにコースロープやブイなどは全くないから、どこが正しいコースかは慎重にヘッドアップしたとしても判り得ない。一応、ヨットより右を泳げと言われているけど、ヨットのスレスレを泳ぐわけにも行かないし、そのヨットだってたくさん浮かんでいるわけじゃないから、はっきり言って大海原の中を泳いでいるアバウトさと変わらないのだ。 あるとき左から女性ライフセイバーが寄って来て、「沖に流されていますよ」と忠告された。右方向に修正すると、ほんの10mも行かないうちに「右に逸れ過ぎです」と言われた。 随分と細くシビアなコース設定にでもなっているのだろうか? とに角、水面僅か20cmの視野からは、正しいコースなど到底見えるはずがない。もう少し何らかの指示が欲しいところだ。たとえば、ライフセイバーが居る場所は、そこはコース内を意味するのかコース外なのかハッキリして欲しい。また、しきりに声で指示されてもほとんど聞こえないので、矢印とかアイコンとかそういったサインを適宜示すというわけには行かないだろうか。ひっきりなしに何か叫ばれると、自分がとてつもなく問題行動をしているかのような不安に襲われておちおち泳いでいられないのだ。 かなりの時間が経過した気がした。 稲村ヶ崎を右手に泳いでいたのはもうずいぶん前で、後ろを振り返ると遥か彼方にそれらしき出っ張りが見える。よくぞまあ、ここまで来たもんだ。3,4人の後ろをついて泳いできたが、どういうわけか今はほとんど居なくなってしまった。耳栓をしてスイムキャップを目深にかぶっていたが、気がつくとキャップから耳は露出しきっており耳栓はとっくに無くなっていた。口の中にはどうしたって海水が浸入してきて、しょっぱさでバカになっている。加えて、船舶のディーゼルの排気ガスはどこまでも臭くて閉口する。腕はまだ売り切れた気配はなく元気で、擦れて痛いところもない。まあ順調だ。左ブレスは太陽光線をモロに受けるので右ブレスオンリーだが、その不均等な動作による首や腰の痛みは幸い発生していない。心配されたウェットスーツは暑くも寒くもなく快適、喉の渇きもゼロである。目の前には江ノ島がくっきりと迫っており、レースは終盤に差し掛かっていることが見て取れた。よし、最後に向かって少し飛ばすぞ。 そんなこんなで、一人ペースを上げながら暫らく行くと、天空の城ラピュタで見たような、ゴムボートを3つ連結した奇妙な浮遊物体がコース真ん中に見えた。近寄るとエイドステーションであることが判った。たしかコース上には3ヶ所のエイドがあると聞いていたが、ずっと見つからずに通り過ぎていた。江ノ島に近いこのエイドはゴール間近の最終エイドだろう。 ウンザリするほどしょっぱい口の中をゆすぐために水をもらう。「東南アジアから売りに来たオヤジみたいだ」と言いながら紙コップを手渡してくれる、オッちゃん。頭に手ぬぐいを巻いた姿は、まさに言い得てますよ。でもそのセリフ、来た人皆に言っているんですか? ウィダーinゼリーも貰うが、とてもじゃないが全部飲みきれん。無理やり2/3ほど飲み干したところで、仕方なく返した。もったいないけど。スイムでは貰った補給を持参するわけにはいかない点が、アタリマエだが不便だ。 エイドを発つ間際に「あと2kmくらいだよ」と言われた。なぬー! あと2kmだと!? ウソ言っちゃいけないよ。そんなわけがないだろう? まだ4kmしか泳いでない? そんなわけがないだろう!?? あのオヤジ絶対間違ってる、と思いつつも、一向に近づいてこない江ノ島の姿を見ているうちに、彼の助言は正しいと認めざるを得ない、との判断に変わってきた。と同時に、あと2kmもあると聞いてすっかり意気消沈、ペースも落ちる。2kmってことは、今から佐渡Bのスタートってことかよ。 500mほど行ったあたりで、またしてもエイド発見。なんでこんな至近距離に設定されているんだ? でもこれが最後のエイドだろう。「あと2km」は残念だが決定的に正しい。 ようやくオレンジ色の三角ブイが彼方に見えてきた。あれは間違いなくコーナーに設置されたブイだ。あそこを曲がれば江ノ島のゴールまで後僅か。だがここにきて突如、腕の筋肉がすっかり疲労して痛くなってきた。ひとかき毎に上腕がギシギシと痛む。仕方がない、いままで全く使ってこなかったキックを推進力として使うか。 三角ブイを曲がり、後はゴールまで一直線。ちょうど同じ方向にある五重塔のような建物を目印にしてラストスパート。とにかくこれが最後なんだから、次にバイクパートは無いんだから、悔いの無いように目一杯飛ばそう! 足がつくくらいになっても気を緩めず、砂浜はダッシュで駆け上がった。そして念願のゴール!! どこか呆気なさを感じた。 だが、たしかゴール地点に設置されていた計時は11:05とでていた。一瞬意味が判らなかったが、つまりこれは現在時刻の11時5分。スタートは9時ちょいすぎだから、結局2時間以上かかっていたのか。それを知ってすっかり萎えた。鎌倉の友人にも「多分2時間はかからないと思う」と豪語していたし、自分でもそう信じきっていた。1500mを30分以上のペースで泳いだつもりはさらさらないが、いったいどこでそんなに遅くなってしまったのだろう?? 手荷物を受け取り、選手控えテントで休んでいたら、自分がすっかり気分最悪であることに気づく。有り体に言って、リバースしそうな気持ち悪さだ。一体どうしたというのだろう。2時間波に乗っていたことで船酔いしてしまったのだろうか。それともウェットが実は暑くて、熱中症にかかったのだろうか。 結局原因不明のまま、気分は益々悪化する一方なので早々に会場を引き上げ、江ノ電で鎌倉の友人宅まで戻る。当初の予定では、江ノ島の海の家で生ビールと焼きソバを食し、暫らく甲羅干しでもしたあとにジョギングで鎌倉まで引き返すつもりだったが、とんでもねえぞ。江ノ電でもリバースしそうになった。 友人宅で2時間ほど昼寝したら治った。こんな調子では、10kmの部なんてとてもじゃないけど出られないや。 正式タイムは2:02:02で432人中38位(DNF29人)。参加者の1割以内といういつもの目標をクリアしていたので、スイマー専門ではない自分としてはまあ上出来か。 * * * * * 10kmの部の結果を見て驚いた。6kmの部のタイムと大差ないじゃないか。それほどまでに、10kmの部はエリートが出たというのだろうか。それとも潮の流れが日によって全く異なったのだろうか。 公式サイトのコースマップを単純に距離計算してみる。6kmの部のコースを6kmとすると、10kmの部は8kmにも満たない。これはどういうことだ? いくらなんでも、2km以上の誤差というのは問題だろう? |
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