第21回新島トライアスロン大会参戦日誌
2012/5/18
Short Distance

レース前日(金曜日)
カイシャは定時で上がり、夕食を外で済ませた後、午後9時過ぎにクルマで出発、国道1号線で横浜へカントクと向う。みなとみらいのイルミネーションの建物を仰ぎ見ながら、順調に横浜港大桟橋へ。
去年、新島への輪行で最も苦労したのが徒歩移動だ。空港などと違って、客船ターミナルへのアクセスは、大きな荷物を持ち運ぶうえでの障害が結構ある。そこで考えたのがクルマ。大桟橋の駐車場は二日停めても2000円なのだ(渡航者割引適用)。電車賃と比べてもほぼ対等。横浜-竹芝間の乗船をカットできて益々合理的でもある。もっと早く気づくべきだった。
予約してあった2等和室の切符を買って、出帆まで長々待つ。竹芝を出たかめりあ丸が横浜へ来るのが11時15分過ぎ。案の定、大分遅れて到着だ。
ここ大桟橋は新しくイマドキの洒落た建物なので、竹芝よりもアクセシビリティやバリアフリー化が進んでいると思ったが期待はずれだった。凝った構造のエレベータはカゴはでかいのにドアが狭くて出入りが大変。船に乗るためには重い荷物を背負って裏口のような通路を長々と歩かなければならない。途中屋根もないし、スーツケースのキャスターが嵌まる大きな溝が縦に走っていて、つまりここは通路などではない。せっかくクルマで間近まで来た意味が薄れてしまう。そして狭くて急な階段を上り、最悪のタイミングで搭乗券を手渡しさせるシステムは従来と変わらない。
東海汽船の常識的なカイゼンを切に望む。
重いバッグと大きな輪行袋を持って最上階のデッキまで上がらされるが、予約した2等和室は船の底だ。甲板だけでなく通路の至るところで毛布を直に敷いて御休みになっている客がゴロゴロいて流れが著しく滞る。まさに難民船状態。後で調べたらかめりあ丸の旅客定員は638名で明らかに船舶安全法違反。こんなのありかよ。
東海汽船の常識的なカイゼンを切に望む。
毛布を2枚借りて(200円)耳栓して寝た。トラベルミンも飲んだがイマイチ睡眠効果はないのか寝付くまで時間がかかった。そこらじゅう照明が明るすぎる。文句たらたらですかね。

レース当日(土曜日)
8時過ぎ、新島着。
去年も泊まった民宿を今回は個人手配。クルマで宿まで送ってもらい、早速朝飯。ショートだからそんなに腹いっぱいにする必要もないのだが、スタートまで4時間あるので茶碗2杯食った。組み立てたバイクに乗ってスタート会場まで走り、ボディナンバリング等の受付を済ませる。ここで初めて参加名簿を貰い、個人エントリーが410名(他にリレー69名)にもなっていることを知る。
 過去の新島参加者数の推移
 2008年 114
 2009年 186
 2010年 274
 2011年 254

大分増えてきた昨年比で6割増という驚愕の増加率、これでも大勢断った結果だと言う。
道理で船があんなことになってるわけだ。スポンサーなんだから臨時便出してくれ。せめてさるびあ丸と交換してくれ(ちょっとだけデカいらしいから)。

少し海沿いのバイクコースを走る。ここでのんびりし過ぎたようで、宿に戻るといつのまにか正午になっていた。このあと軽量化し、日焼け止めを塗り、ドリンクを作ってボトルに入れ、ゼッケンをウェアとメットとバイクにつけ、必要な荷物をまとめてとっとと出なければならない。まあ問題ないとは思ったがスタートまで1時間を切ったのに宿に居ることはトラではまずありえない。カントクは半分パニック状態。無理もない、すまんこってす。

コース下見でノンビリしすぎた

再びレース会場に着いたのは、スタートまで残すところ25分。まあ余裕ですね。
年代物のため着づらくて苦労するロングジョンのウェットも、多少痩せたせいか不安なく着られた。
役員に急かされて入水チェック通過、スタート8分前だが試泳できた。こういう柔軟な運営が好きだな。
選手増のため従来の3グループ4分間隔から4グループ2分間隔のウェーブスタートとされた。2分間隔じゃあまりバラけないのではと若干不安が残る。去年はドラフティング集団もちらほら見たし。
午後1時、第1ウェーブがスタートしていく。まだ第1コーナーに大勢が固まっているのが見える中、第2ウェーブのスタートが切られた。

1:02 p.m. 第2ウェーブスタート

今回はとても清々しい天気に恵まれ、エメラルドグリーンに染まる海は実に穏やかだ。水温は21℃でレースにはちょうどいい。やや不利なインコース側からスタートする(アウトコース側は砂浜を走って距離を少し稼げる)。
港の中を三角形に反時計回りに泳ぐコース。コーナーブイのみでコースロープはない。バトルを避けるためだいぶ三角形の内側に入り込んでしまった。右方向へ舵を修正する。どういうわけか第1ブイは第1ウェーブの選手がゴチャッとたむろしていて過密状態だ。どうぞ躊躇うことなく先へ進んでください。
昨年は峠のような大波の中を泳いだが、今年はベタ凪のため遠くのブイも良く見える。コースロープのないこの方式はストレスがなくて実に泳ぎやすいなとつくづく思った。海は大分深くなり、7-8mはありそうな海底の白い砂浜は良く見える。だが魚は全く見かけない。巨大プールで泳いでいるような気分だ。防波堤からわずかに突き出したところに第2ブイがあり、近づくと時折水温がヒヤッとする。暖かいのはこの港の中だけのようだ。
第1ウェーブの選手を追い越しつつ、順調にブイを回り、そしてフィニッシュゲートを目指して泳ぐ。ほとんどバラけた2周目は全くストレスなく泳げた。確実に去年よりは速いことを確信しつつ、スイムフィニッシュ。

swim1.5km 20:44 24/379 Lap1=9:58 HR127/134 Lap2=10:46 HR129/130(上陸時除く)
意外にも2周目のほうが有意差ありで遅い。ほとんどタレた意識はなかったのだが、あとで思えばやや余裕ぶっこいていた感がある。心拍も1周目後半が最も高かった。なお例によってスイムコースは200mほど短いと思われる。

ウェットスーツの背中ジッパーを下ろすのに若干手こずりつつ、トランジットエリアに到着。今回は自分のラック位置が道路側の端にあり、バイク・ラン共に最短の動線でスタートできる。もしゼッケンが一つ若かったら海側の端で一番遠かった。言わば公平性に欠ける設定であるが、ゲットした幸運はきちんと活かさねばなるまい。
乗車位置はすぐそこなので、バイクシューズは履いてから乗る。もともと僕のバイクシューズはロード専用で3本のベルクロは内側へ垂れる(チェーンに巻き込む)タイプなので乗りながら履くのは難しい。
Polar RCX5を停止させアクティビティをバイクに切り替えて再スタートさせる。速やかにボタンを3つ順序良く押さなければならないのが難。こうすることで種目毎の集計が取れるほか、バイクとランのセンサー受信を切り替えられる。だが一瞬計測を止めるのでタイムの正確性も消えるこの仕様は何とかならないですかねPolarさん。

1:24 p.m. バイクスタート

去年と違って風は弱く、若干の南風。ポツリポツリと先行者をパスしていく。一つ目の折り返しを過ぎてしばらくしたところで4分差スタートの篠崎君が追い越していった。去年より若干遅いタイミングなので、これはいい兆候。相変わらずものすごい回転数で走っている。105rpmくらいだろうか。姿が見えている間は、オーバーペースで走り観察を続ける。仮にベタツキしても上りで置いていかれるだろうなと思った。緩い上りに差し掛かったのでギアを落としたが、それでも依然彼よりは低い回転数だった。彼は変速することなく上って行った。そして島の反対側へ行くころにはすでに消えていた。

2周目、先ほど篠崎君に追い越されたポイントで、「がんばってくださ〜い」と言いながら二人目にばびゅーんと追い越された。それイヤミ?と思ったが、彼は追い越す人全てに挨拶していく頭の下がる人だった。
追い越すとスピードが落ち着いてしまい、さほど差が開かないので、彼を15mあけてマークしてみる。上りや下りでも安定しており、うっかり差が詰まることなく、常にちょっとキツいくらいの目標物として走りに専念できた。
2周目の上りのきついところで、意外な人を追い越す(周回遅れ)。見間違いでなければ職場の水泳部のH本さんだ。まだカントクにも追いついてないのになぜここで遭遇するのか?(競泳では僕より速いし)。彼は往きの船でばったりあって挨拶したとき、「どちらさまでしたっけ?」と返してきた、実にお茶目な人ではある。去年一緒に県実にも館山マラソンにも出たし、忘年会では隣の席だったのになー。

3周目の上りでの使用ギアは明らかに1周目とは違っていた。2、3枚は軽かったのではと思う。ターゲットとの一定間隔を維持できなくなり、姿を見失いそうな程になっていたが、そろそろランに備えて心肺を落ち着かせたいのでこれでいい。トランジットを最短でこなし、ランスタート時の差を最小に留めよう。
3周済ませた者だけが左折できるT字路に来たとき、本当に3周走ったっけ?と一瞬不安になった。そのくらい、あっという間に感じたからだろう。去年は3周目中盤で追いついたカントクをとうとう見かけずに終わったことも一因だ。追いついたらアイスを奢ってもらう約束だったのだが。そんなことよりカントクのバイクが速くなっていることを喜んだ。

bike40km 1:08:10 5/379 HR145/155
スピードメーターのSuuntoのスタートSWを押し忘れてバイク区間のデータがとれてない。
通過タイム 1:28:54(5位通過 総合トップ差9:31)

Suuntoによるバイクとランそれぞれ1周の高低グラフ。縦軸一目盛は10m


トランジションエリアでは、先に入った選手の自己紹介文のアナウンスが聞こえていた。目標は打倒篠崎君、といった内容だったと思うが、それをジョークと理解する余裕が僕には無く「うへぇ強力なスナイパー現る」とビビリが入ってしまった。
「篠崎選手、もうだいぶ先に行ってますよ」とのMCの念押しに「(言われなくても)判ってるよ!」とのやり取りを聞きつつ、僕が先にランスタートする。

2:31 p.m. ランスタート

いきなり急坂から始まるのだが、筋肉の具合がとてもよいと感じた。心肺さえ許せばどこまでも推していけそうな感じだ。背後の強力スナイパーに気の弱さを見透かされないよう意地で駆け上がる。続く下りで休めばいいと考えて。
だが、その下りで思うように息がおさまらぬまま、再びだらだら上りへと入る。どうやらスナイパーはランには弱いようで、背後の気配は消えた。当座のライバルを失い、集中力を途切れさせないよう言い聞かせるが、苦しさに耐えかねて一歩一歩が緩みがちになる。折り返してきた篠崎君とは去年と似たような場所ですれ違った。しばらくして2位以降の選手がぞろぞろとやってきた。気にするまいと思いつつも、自分が暫定6位であることを知ってしまう。一人として抜かれてはならない。生殺し状態だ。

競技場のエイドでは水を貰い損ねてわざわざ引き返す。すこし暑くなっていたとは言え、ここで摂らないと後々致命的な問題が起きるとは思えなかったが。
折り返してからは後続選手の存在がイヤでも気になる。第3、第4ウェーブの選手がすぐ後ろにいたら即アウチだ。一人、500mほど離れて同一ウェーブの俊足な選手を見つける。あと6,7kmを逃げ切ることができるか。考えただけで根負けしそうだ。下りでスピードに乗せる走りを心がける。

2周目に突入。激坂では脚に売り切れのサインが出ていた。1周目の攻めの姿勢はすっ飛び、エンプティマークの灯ったクルマで峠を越えるような心境になっている。ショートのランは40分切り、という普段の目標はこのコースでは難しいとは言え、こんな調子じゃ程遠いな。広い道に出て、折り返しまでのだらだら上りは「今日の上りはこれが最後だから耐えろ」と言い聞かせる。そんな頃、かなりの速度差で一人に抜かされた。ゼッケンが読めないが、若く見えるので第1ウェーブとすれば暫定6位の望みはまだ残っている。彼に2分以上離されないよう、できる限り追うのだ。
多くの1周目の選手とすれ違う。女性もかなりの数を見た。僕もカントクも実はひそかに6位以内入賞を狙っていた。特にカントクは過去のリザルトから入賞ラインを見極め、それを確実に越えるという明確な目標に向かって練習を積んできたが、この時点でカントクは難しそうだ。去年までとは選手層の厚みが大きく違う。女性は単に増えただけじゃなくて、それなりに仕上がっている選手が多い。ゼロから始めた人というより、他競技から転向したアスリート系が多いのではと思う。

2回目の折り返しを過ぎ、後続の気になる選手からはあまり詰められていないことを確認。気を緩めなければ逃げ切れそうだ。残るは、先を行く推定第1ウェーブの選手。まだ300mは離されていない。彼が二、三度後ろを振り返った。彼も僕との距離を気にかけているということは即ち第1ウェーブのはずだから、逃げ切られるなよ、と言い聞かせる。そんな皮算用をしてしまうのもなんだかなあとは思うが、悔いが残る結果にだけはしたくないとの思いが強いのだ。
心肺が限界で、腰が引けてなかなか力強い走りが出来ていなかったが、残り1km、あとは下りのみだと判ってようやく全力モードになってきた。「あとのご褒美ご褒美♪」と思いながら無料露天温泉の脇をかすめる。そして全力でゴールへ。

run10km 0:42:20 19/379  lap1=21:17 lap2=21:03
ランはかなりしんどかった。心拍はほとんど155bpm以上で160オーバーもいくつか記録しているが、センサー不調のためきちんとデータが取れておらず、定かではない。それでも去年より40秒遅い結果には少々ガッカリ来た。順位の悪さがそれを示している。はっきりタレたはずの2周目より1周目のほうが遅かったのも意外。手を抜いている証拠。

TOTAL 2:11:14 (7位/379人 トップ差 12:56)

しばらくすると1周を終えたカントクがやってきた。「前に女性二人、追い着け〜〜!」とハッパをかける。調子良さそうなのだが如何せん他の女子が強すぎる。
そして今年は笑顔でゴール。入賞という目標は届かなかったが、かなりのタイムを短縮していいレースが出来たようだ。

「ご褒美」の温泉に浸かる至福のひと時。レース後にはほんっと堪らんなあ。これだけでも参加する価値ありだ。
民宿に戻ってフライング気味に一杯引っ掛けたあと、新島中学校でアワードパーティ。宿仲間と刺身を美味しくいただいた。
そしてここでやっちまったの7位と知る。ハンディキャップ順位も8位で、箸にも棒にもかからなかった。
続いて部屋飲み。やっぱレース後はすぐ帰るより語らいがあったほうが断然面白いね。
去年も部屋で一緒に飲んだT本さんはハンディキャップ部門で1位の常連強豪選手。僕より12歳年上だがランは僕より1分以上速かった。最近調子が悪く、飛ばしたのは2月の東京マラソン以来、と話していたのを思い出し、リザルトで確かめたら2時間53分で走ってる。ハェ〜。さらに、つくばで2時間47分という記録も見つけた。すごいポテンシャルのおっちゃんなんだな〜。
衰えを感じつつある日々にあって、10年後にマラソン自己ベストを10分以上縮める自信は全くないが、やればできるのかもしれないな。と希望を貰えた気がした。
RESULT
Total 2:11:14 (Place 7/379)
Swim 20:44 (24) Bike 1:08:10 (5) Run 42:20 (19)