第4回銚子マリーナ国際トライアスロン参戦日誌
2007/9/30
オリンピックディスタンス

しとしと雨の振る中、6:30に銚子マリーナに着いた。晴れていればクルマが砂塵まみれになる駐車場、今日は泥でぐっちゃぐちゃの洗礼を浴びる。至る所足の踏み場もない。こういう時のためにサンダル買わなきゃ。
それにしても、寒い。ついこのあいだまであんなに暑かったのに、どうなっとるんじゃ。クルマの温度計は17℃を示しており、24℃前後の心地よい気候は味わうことなく冬に向かってしまうのか。過去最多の800人余りがこのイベントにエントリーしたそうだがこの天候ではDNSも多そうだ。
受付とボディマーキングを済ませた後はクルマに引きこもり、暖を取りながら準備をする。しっかりアップをするつもりだったが、この雨じゃなにもする気になれない。早々にウェットスーツを着ることにした。これこそ最強のカッパであり防寒着だ。
ギリギリになってバイクをラックにセットし、スイム会場へと移動。Tさんと波打ち際をジョグする。そう、その手があったんだよ。だいたい500mくらい走っておしまい。
有力選手扱いだった去年の成績があまりに期待外れだったため、今年は第2ウェーブにぶち込まれてしまった。よく見ると、単に年齢別でそこに入れられただけのようだ。8:30に有力選手10名ほどを含む若手第1ウェーブ150名ほどが飛び出していった。3分後は36-45歳の我々のスタートだ。さらに3分後に男性45歳以上最高74歳までと、女性全て、それにリレーの部がスタートする。今やショートの世界でも、参加者の中心は40歳前後。まさに中年のスポーツである。


8:33 a.m. スイムスタート
浜から遠浅の海に向けてダッシュ。100mほどはラッセル作業。ここで心拍が一気に上がるのが毎回辛い。そこそこいいポジションで海に飛び込んだ。
雨は降っているが風は無く、前例のない穏やかな海で実に泳ぎやすい。水は濁っているが、この海岸は多分いつだって濁っているのだろう。有力選手はみな第1ウェーブに集まっているので、最近では珍しくかなり前よりポジションで泳いでいる。いつもは先導者を探しつつ、相対位置を考えながら泳いでいるが、今日はベタなぎのためコーナーの三角ブイもよく見え、ヘッドアップしてわが道を泳げばよいので楽だ。たまに、30度くらい斜め方向から突如邪魔が入ったりして、お前何処にむかって泳いでるんだよーとおもわず頭を沈めたくなる。
慌てず力まず、と言い聞かせてペース配分には気を配ったつもりだったが、それでもやはり腕はしびれてきた。んー、練習不足は否めない。それとなんだか、臭い。どぶ臭い。海の匂いじゃないなこれは。ベタなぎなのでうっかり飲むことは極力避けられているのは幸いだ。
第2コーナーを曲がると、浜に向かって泳ぐ。つまり第3コーナーというものは無いので目印が無くて少々泳ぎづらい。スタート前に、陸の目標物を決めておくべきだった。
一旦浜に上がり、二周目に入る。このころから徐々に風が出てきたか、若干波を感じた。周回遅れの選手が予想以上に多く、濁った海中からは確認できないので発見が遅れる。平泳ぎをする彼らはかなり怖い存在だ。ヘタをするとモロキックがわき腹あたりに入ったりする。慎重に避けて進む。
比較的いい感じで泳ぎ終えた気分になっていたが、タイムを見ると去年よりずいぶん悪い。コース条件が異なるから単純比較は出来ないが、ちょっとがっかりした。

スイム23:55 1周目11:19 2周目11:30 (トランジッションまで1:05) HRave/max=127/151
泳いでいる時は最高でも135bpm


8:58 a.m. バイクスタート
相変わらずプロのような飛び乗りは出来ない。
片道約5kmの元有料道路を4往復、これだけは第1回大会から変わらないコースレイアウトだ。この雨でまず懸念されたのは寒さだが、案外ちょうどいい。路面に一部水溜りが出来るほどだったが、コーナーは緩いのでウェット路面に問題は無い。唯一気をつけるところは折り返しのパイロンを曲がるときくらいだ。幸いにも風が穏やかなので下りも不安なく飛ばすことが出来る。これでいつもどおりの横風が吹いていたらかなり怖かっただろう。
とは言え、下りではDHポジション禁止という、今日だけの特別ルールが設定された。折り返してきたトップはまあ、そんなルールは守ってないようだったが。正直なところ、僕も最初の頃は守ってなかった。というか、いつもの習慣でうっかり忘れちまうのだ。だが、徐々にコース上の人口密度が上がってくると、自ずと下ハンもって走るようになった。

第1ウェーブの選手をパスしながら、結構飛ばして走っていたら、1周半くらいでやや疲れてきた。脚の裏側全体が攣りそうな疲労で、これは間違いなくサドルを7mm高くした影響が出ている。8月の埼玉TTの頃から、前乗りDH走りの時はもう少しサドルを上げないとバランスが悪い、と感じており、昨日急遽上げてみたのだ。だがここ銚子のコースは頻繁なアップダウンのためにポジションが色々変化する。7mmは上げすぎだったかもしれないな、と思い始める。
そんな折、しばらく前に抜かした覚えのあるゼッケン10番に抜き返された。これはちょうどいい。マークさせてもらおう。
平地や下りではガシガシ行くものの、上りで距離が縮まるというお決まりのパターンが続く。何度か追い越したが、平地で必ず抜き返してきた。そのうち、彼はやる気がますます出てきたのか、上りでもダンシングで積極的に走り、坂で差が縮まらない。やがて見失いそうなほど離れてきたので、気持ちを入れ替えてしっかり追うことにする。4周目の後半(だったかな)、ようやく追いつき、同時に彼もへばったのか抜き返した。最後の2つの坂をDHポジションのままスピードを落とさず駆け上がり、ここで一気に差を広げる。バイクフィニッシュへの分岐点に来たときに、「ホントに自分は4周したのか?」という疑惑が生じた。「ガスの元栓閉めたか?」と気になってしょうがないアレと一緒(いまどきガスの元栓って閉めないけどさ)。フライトデッキ君を確認すると、5分過ぎで止まってた。使えねー!
Polarのボタンをあれこれ押して、距離38.8kmであることを確認、よしOK。OKに決まってんだけどさ。
元有料道路を降りて、銚子マリーナへの分岐路で歩道に誘導される。不審に思いながらも従うと、「違う違う!」と言って訂正してきた。急ブレーキでUターン。20秒のロス。「(その棒の振り方)違うじゃん! 矢印違うじゃん!!」と猛烈に抗議するが、誘導係は知らんぷりを決め込む。
その態度ってどうよ?

そういえば、第1回大会から4回連続で参加しているTさんは、毎回自分の名前を間違えて登録されているらしい。毎年指摘しても直らず、イイカゲン頭に来たTさんは、受付でそれについて抗議したところ、いろいろとたらい回しを受けた挙句、その証拠となる参加はがきを「ああそれならさっき破って捨てたからワカンネ!」と言われたらしい。証拠隠蔽。
その態度ってどうよ?

閑話休題。気を取り直してバイクフィニッシュへ。最近は、バイクシューズの脱ぎ方だけは素早くなった。

バイク 1:10:09 (トランジット含む) 実質平均速度35.4km/h HRave/max=145/159bpm 獲得標高470m
アップダウンを思えば平均速度は良いほうかも。


10:07 a.m. ランスタート
パワージェルと帽子を持ってスタート。雨よけの帽子は要らなかったかなー? と後々まで悩んだけど、実は後に意外なところで必要となる。
雨は実際小降りで、帽子でさえぎるほどではない。目深に被って集中するために使う。足は軽く、よく動き、取りたてて問題は見当たらない。左ハムストの肉離れは、全く気配が無い。これはいい感じだね? と言いたい所だが、最近はハイペースで走ることが少なかったから心肺系に限界が来ている。何処まで追い込めるか、つまり自分との戦いだ。
まず200番台の大柄なギャー人選手に迫る。同じ第2ウェーブの人だから目下のライバルだ。脚の運びにやや勢いがなく、巻き返しはなさそうでほっとする。「ガンバリマッショー!」と声をかけられ「はい。」とつまらない返事をしてしまった。

コースである大学の構内を走っている頃に、MCの声が聞こえた。「トップの河原選手、まもなく2周目です。」 ほー? あの河原勇人選手が来ていたですか? それにしても速すぎる。今年からランのコースは5km×2周になったが、となるとつまり僕と彼の差は3kmくらい・・・3分のスタート差を考えても、この時点でもうそんなに離されているのかあ。
海沿いの折り返し道である程度先行者を確認できる。ゼッケンが5,6番あたりのいわゆる有力選手も含まれ、3分差を考えるとそれほど離されていないかも、と気をよくしたり、いや、案外離されてるかな、などと滅入ったり、コロコロ気分が変わる。それというのも、とにかく心肺が苦しいので何とか楽になりたいという気持ちが全面に出てくるからだろう。
少しでも気を抜くとスピードが落ちるから、集中、を心がけて走る。幸い、この気温と雨で、身体は適度に冷やされ極めて走りやすい。シューズがグッチャグッチャ奏でるのはまあ仕方ないけど。エイドでも一切補給せず素通りする。

2周目はTシャツを着たリレーの選手を追うことでしばらく集中できたが、追いついてしまうとペースが落ちるのが難だ。海岸沿いの小道を折り返し、対面の後続選手を確認しながら走っていると、すぐ近くに200番台の選手を発見。ヤヴァイ。彼はバイクパートで一時だけ並走した見覚えのある顔だった。つまりバイクでやや僕が先行してフィニッシュしたものの、ランでここまで追い上げてきたってことになる。ゴールまでは後残り2km程度か。んー、逃げ切るにはビミョー。
実は、彼はバイクもランも1周遅れで、しかも僕がついさっき追い越した人だったんだが、そのときは完璧にランの得意なスナイパーであると勘違いした。彼は、同じ第2ウェーブの僕を間違いなくターゲットにしてじわじわとここまで迫ってきたに違いない。僕が彼に気づいたことを悟られてはならない。彼はおっさん臭いから僕より年上だろう(実は年下だった)が、ゴールスプリントで必ず勝算があると見込んだ位置で戦略的に走るだろう。つまり、このままの展開ではダメだ。引き離すなら、今しかない!!
焦りからではなく、まるであたかもゴールが近づいてきたことで活力を得てペースアップしたかのように、希望に満ちた笑顔でスピードを上げる。うー苦しい! 只今取り込み中につき、Tさんがすれ違い際に声をかけていったことも気付かず。
限界状況を見透かされてはいかん。楽しそうに充実感たっぷりに、順位なんか気にしてないかのように走らねば! こんなもんでどうだ? まだ後ろにぴったりと着けているのか? さらにもう一段ロケットを発射させる必要があるのか? ああもう勘弁してくれ。
マリーナの脇の小さな折り返し点が来た。ここで、さり気なく追っ手との距離を確認できる。ドキドキドキ。当然ながら、彼は影も形も無い。あれ? どこいっちゃった?
ここまでくればゴールまではあとわずか。何だか状況がよくわからんが、せっかく作った勢いは無駄にせず、ラストを力走する。でも最高160bpmまでしか上がらなかった。
追い込むって難しいなあ。

ラン 39:19 (P3:56 15.26km/h) HRave/max=153/160bpm
40分を切れたレースは案外少ないので調子がいいと言えるかもしれない。

ゴール後、トマトなどを食べながら次々とゴールする選手たちを眺める。雨と風がだんだん強くなってきて、GIROのテントで雨宿りさせてもらっていたが、どうにも寒くて我慢ならない状況になってきた。うかつだったことに、着替えなどは全部クルマの中で、クルマのキーはトランジットエリアの中だ。こんな姿でずっと立ちんぼしていたら風邪を引いてしまう。そのとき、せめてもの救いになったのは帽子だった。持って走ると決めてよかったよかった・・・。
ようやく着替えた後も寒い雨は降り続き、寒さでしゃっくりが止まらない。さらに、風もバウバウ強くなってきて、傘を差しても下半身びしょ濡れになってきた。プロのスーパースプリント戦は第1ヒートだけ見て、薄情にも帰る。第2、第3の結果もどうせ第1と同じだろうし、ってそれ禁句?

* * * * *

後日、MSPOで速報を見てようやく順位を知る。10位くらいには入れたかも? と密かに期待したが去年より悪い15位とは。スイムの遅さがかなり足を引っ張ったようだ。第1ウェーブの14位の選手とは2秒差で、例の誘導ミスがなければ、と今更ながら悔やまれる。ランの先行者の中に第2ウェーブの選手を見かけなかったので、エイジ別1位にはなったかも? と密かに期待したが、一人ダントツで速い人が居たのと、有力選手枠に40台が居たのでエイジ別も振るわず3位。成績はサッパリであったが、概ね気持ちよく走れたので良しとしよう。全力で走る感覚は、ロングにはないからね。頭打ち感のあるショートだが、もう少しだけ伸びる余地はありそうだ。

RESULT
Total 2:13:23 (Place 15/447)
Swim 23:55 (37) Bike 1:10:09 (9) Run 39:19 (28)