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第14回雨情の里トライアスロンin北茨城 参戦日誌
2005/7/10 (ほぼ)オリンピックディスタンス 今年で14回目を迎える歴史あるレース。比較的近場で、本格的な外海のレースなのに、過去に一度も参戦したことがなかった。何故だろう。察するにおそらく、この「雨情の里」というネーミングがローカル色を呈していて、食指が動かなかったのであろう。同じような理由で、「おしんレース」とか「にっぽん音吉」とかも敬遠気味である。 実は、雨情とは野口雨情という有名な詩人のことなのだが、無教養なおいらはつい最近まで、雨がシトシトとせつなく降る地方なのか? という勘違いをぶっこいてました。たしかに、梅雨時のレースでもあるし。 ところが、このレースに何年も出続けている友人のNさんによれば、過去の参戦で雨に降られたことは一度もない、いつも暑いレースなのだ、とのこと。 なんだ、ネーミングに偽りありじゃないか!(だから違うって)。 今年に限ってそうも言ってられない気配濃厚である。レース当日の天候は雨、と一週間前から言われ続けていた。前日の土曜日も曇り時々小雨で、そればかりか非常に寒い。常連のNさんとはレース会場で 落ち合い、バイクコースを半分だけ試走したが、バイク用半袖ジャージが寒い。 この地方の海岸は常に波が高く、過去に何度もスイム中止を招いてきた。そのせいもあってか最近は急激に参加人数が減り、今年は第1回大会を下回って過去最低の122名と発表される。例年と比べて今日の海はかなり穏やかだそうで、この分ならスイムができそうだ。 磯原町の海に面した温泉宿に泊まる。一家団欒のNさんのところに、僕とTTさんが加わってワイワイと楽しく盛り上がった。夕食も地味ながら美味で特に戻り鰹が印象的。いい気になって、三杯も食っちまった。夜は硫黄の強い温泉に長いこと浸かったら、部屋に戻った途端日本女子バレー中継を子守唄に即行で寝てしまった。 夜中のうつろな感覚では、外は物凄い土砂降りということになっている。ひょっとすると道路の陥落とか起きてないかと思わせる音だ。寒いので布団に包まって寝ていたら、逆にぐっしょりと汗をかき、レース用に買っておいたドリンクを夜中に全部飲んじまったい。 ![]() バイクをセッティングしている頃から、その予報が正しいことを実感し始める。すでに太陽はカーっと照り付け、腹には汗がたまって滴っている。マサにオッサンだね。 夜中に飲んじまったので慌てて自販機でアクエリアス2本を買う。バイクコース40km間で1リットルも飲むかな? と思いつつ、この暑さではどうなるか分からないとの不安からボトル二つに入れてバイクにセットした。 計画性もなくトロトロ準備していたらスタートの9時まで残り30分に迫ってきた。昨晩も今朝もメシを食いすぎて、軽量化を果したいところであったが時間切れで、ウェットを持ってスイム会場へと向かう。磯原海岸はバイクトランジットから1.2km離れており、その間は靴を履いてのミニランなのである。8時45分ギリギリに入水チェックを終えて、スタート位置に向かった。 9:00 a.m. スタート 花火の音とともに浜から一斉スタート。原町ほどではないが、波が次から次と押し寄せてくる。すぐに脚の届かない水深になり、さほど緊張感もなく荒波を突き進んだ。 波をいくつか乗り越えれば、そのうち落ち着く、と考えていたのだが一向にその気配なし。体感的には、ずっと2mくらいの上下動を繰り返している。コースロープはなく、派手なオレンジ色のキャップだけが海面にポツポツと見え、その点群が自分の進むべき道を示している。彼らだって、本当に正しい方向に進んでいる保障はないから、漁船から見守っている審判員の挙動に異変がないかのチェックも重要だ。 タイミングによっては顔面が激しく水面に打ち付けられ、右ブレスのためにゴーグル右側は海水が浸入してきた。こりゃイテーぞ。 ![]() 巨大なコーンブイを見つけた。どうやら折り返しポイントのようである。タイムを見ると10分ほどで、このコースは1.5kmに満たないようである。やや物足りない。 高波で視界が遮られるため、周囲を見渡してもオレンジのキャップは3,4個見える程度で、正しいコースを泳いでいるのか怪しい。ふと気づくと、自分はレース中とは思えない完全マイペースで気楽に泳いでいた。こんな波で、焦ってもしょうがないという気分だったのだろう。復路は波の方向が逆となるため、ゴーグルへの浸水が止まって痛みも柔らいできた。 徐々に波の形がハッキリしてきたので、後ろをみて波のタイミングを計りボディボードのようなことをする。おもしろいけど、効果あったかな?? 浜が見えて、手が砂底を掻いたので立ち上がって走ろうとすると、後ろからの高波に飲み込まれて揉みくちゃにされた。すっかり油断してた。ギャラリーにブザマな姿を披露したかもしれん。ちょいと恥ずかしい。 バテたのか、大回りしたのか、往路は1分30秒も余計にかかった。スイムトランジットでは脱いだウェットを袋に詰め、サングラスをしてシューズを履き、バイクトランジットまでのミニランがスタート。いつもよりやたらとふらつく。国道6号を跨ぐ陸橋の歩道を駆け上り、途端に息が上がった。ぐへーっ。苦しい。 早くもバイクパートに移った先行選手と対面ですれ違いながら、アヘアヘと走っていると後ろからスッと追い越された。女子トップで常連の遠藤選手だ。さすがにアスリートの引き締まった脚をしている、と見とれている場合ではない。後を追うようにバイクトランジットへと駆け込んだ。 9:29 a.m. バイクスタート メットを被りながらランシューズを脱ぐだけ(バイクシューズはペダルに固定)だから5秒でトランジット完了である。あまりに簡単すぎて、忘れ物をしているに違いないとしばし立ちつくしてしまった。勝手が違うのだから、イメージトレーニングをすべきだったのだ。 先行した遠藤選手を追いかけてガンガン行く。ショートはいつもそうだけど、しばらくは息が上がった状態で苦しい。遠藤選手は全然見えないな。トランジットでボケッとしていたのが失敗だったか。 完全交通規制ではないために誘導員を常時配置できないためか、直進・右折・左折が場所によって分かり難い。手前に掲示してある行先表示板をしっかり見て走ることが肝心だ。 早速ボトルの水を一気に1/3ほど飲んだ。この時点で水分を欲するのは僕としては希で、今後の水分補給が忙しくなりそうだ。 6kmあたりから、最初の上りが始まった。 バイクはほぼ折り返しコースで、途中に70mほどのプチ峠がある。一端下った後、折り返しポイントまで再び緩やかな60m程の上り。折り返してプチ峠をもう一度上るため、合計3つの軽い上りとなる。一つ目の上りは落ち着いてクリアしたが、一人の俊足ライダーにパスされた。 下ってからも前方100mほどに見えているので、彼になるべく着いていこうと頑張った。徐々に離されているのが分かる。遠藤選手はどうやらトランジットで既に追い越したのだろうと判断。普段より追い込んだ走りをして呼吸がせわしないため、水分をこまめに取る気になれない。良くない傾向である。 18kmほど行ったあたり。緩やかなカーブの途上で、ひときわ目立った交通規制を行っている。近づいてみると、なんとダンプカーが民家脇の電柱に激突していたのだった。うへー。せめてこのレースが原因じゃないことを祈りたい。 二つ目の坂となる折り返しポイントは、緩やかに上っている。はっきりとした上り区間ではないがゆえに、却って息が上がった。一つ目のプチ峠よりも、体感的には厳しい状況だ。 折り返してくる先行者数人とすれ違う。折り返し地点は近いようだ。世のヘタレなドラヲは、全体的にタフなこのレースを敬遠するのであろう。今日は見ることはない。とても気持ちよくレースができる。貴重なことだろう。 折り返し後は下りで楽ができるかと思ったが、代わりに向かい風となり、相変わらず厳しい。前後にほとんど選手は見えず、10分に一人くらいの割合で追い越しただけだ。三度目の上りとなるプチ峠は見る見るへたばってくるのが判ったが、心拍数も160bpmを上回ってコース中最高となった。二つのボトルはほぼ空となり、バイクフィニッシュを迎える。 バイクラックには明らかに10台以上のバイクが既にあり、正直言ってそれは予想以上だったため少々ガックリきた。まあ、ランに入って底力を見せるベー、とキャップを被って出かける。 ![]() 平均-最大心拍数150-163bpm 平均-最大スピード34.9-58.9km/h 獲得高度 305m 10:38 a.m. ランスタート バイクパートではミラクルパワーでガンガン行くイメージだったが、実際はかなり精彩に欠く走りだった。ミラクルどころか、ノーマルパワーすらマトモに出ていない感じだ。ランで一気に巻き返すぞ、との無責任な期待は嫌でも高まっていた。 しかし、数歩走り出した途端、その期待はかなり薄いことを早くも感じ取ってしまった。 最も大きな足かせは、飲みすぎて吸収しきれずに残っている胃の水分だ。もしくは昨日から食いすぎのために腸に蓄えられている無駄なもののせいかもしれない。ウップップと重くてグルヂー。グヘー。何とかならんのか。いったいどこで間違えて、こんなことになっちまったんだ? 実況中継の声が、前方200mにいる選手の名を伝えていた。アイアンマン9時間台というF選手だった。そんな彼がこのポジションにいるのは単に調子が悪いのか、ロングとショートでは違うという実例なのか、いずれにせよ、彼の背中を追いかけるという目標が見つかった。最初は1kmほどくだりが続き、どっしり重い内臓をかばいつつ走ったタイムは4分10秒。スタート前は、ランで40分を切りたいと言っていたがこれは厳しいぞと思う。そんなことを考えているこの頃はまだ甘かったのだが・・・。 前を走るF選手もさほど速くはなく、差は意外と開かない。つまりこのトロさは自分だけではないはずだと言い聞かせ、一気にやる気をなくして放り投げたいところをなんとか前向きに考えてみる。スタート前にリゲインでも飲んどきゃよかったなー、とつくづく思う(ドーピングですかね)。 2.5km地点で最初のエイドがあり、「水分補給念入りにお願いしますョー」とスタッフから陽気な声がかかる。しかし、腹はすでに水で満杯なのだ。それよりこの暑さを何とかしたいのだが、スポンジはなく、小さな紙コップの水をちょろっとかぶって終わり。焼け石に水だ! 途中で「12位」と言われる。 1km毎のラップは10秒ずつ増えていき、見事にブッ潰れた走りとなっている。さすがに4kmでの4分37秒には呆れたので、もうちっと頑張るベー、と気合を入れる。もうその頃は、40分以内とかなんとか言っていた見通しの甘すぎる自分が恥ずかしかった。ランで底力を見せるだと? 顔洗って出直せーってとこだ。というか、今すぐ顔に水をかぶらせてくれー。 トップ選手もようやく折り返してきた。段違いなスピードではない。やはりかなり暑さが障壁となっているんだろう。そんなに差はついてないんじゃないか? と思うのだが、ほかならぬ自分がここまでバテてしまったのだから話にならない。 すっかりジョギングペースで5kmを折り返す。これでも心拍数は160bpmに届かんとしていたから、相当な負荷であり手を抜いているわけではないのだが、傍目にはダラけた走りに映るだろう。暫らくしてTTさんとすれ違うが、「随分と重い走りに見えた」という。 6km過ぎ。ラップは再び4分38秒まで落ち、フルマラソンの目標ペースより遅くなってしまった。この頃からF選手が視界から消え、一層深刻な状況になってきた。気温は恐らく30度前後だが、このへたばり具合は単に気温の高さだけでは説明がつかない。正直なところ、こないだのアイアンマンのほうが楽なんじゃないかと何度も思った。次の佐渡では20kmを走らなければならないが、今よりはるかに速いペースを想定している。とてもじゃないが無理のように思えてきた。 ![]() 2:23:49で13位。副賞のかぼちゃをゲットした。 走るのを止めた途端、危なく脚全体が攣って歩けなくなるところだった。あーくたびれた。 ゴールした後も、水はほとんど飲む気になれず、サービスのカキ氷もうどんも全く食べる気がしなかった。まあ軽い熱中症ってことなんだろう。ただ、湿度は高かったがさほど猛暑というわけでもない。この程度でここまで潰れてしまうのは暑さを甘く見た証拠。もっと暑くなる可能性もある佐渡で、今のままのやり方では厳しいだろう、とあらためて感じた。 後で思えば、ランパートに入った時点で既に熱中症気味だったために、以降の水分摂取もままならず、ランで想定以上のペース低下を招いてしまったと思われる。レース前からこの暑さにいち早く気づき、慎重に対処すべきだったのであるが、前日までの薄ら寒い天候が、暑さへの対応を難しくさせたのは間違いない。 毎回ショートレースでは、ガンガン行けるだけ行く、という作戦もへったくれもない走りをしてきたのだが、ランに筋肉疲労以外の重荷をなるべく引き継がないよう、バイクで少し抑えることも考えるべきとの思いに今回初めて至った。ペース配分に加え、計画性を持った適切な水分補給や、水をかけるなどの体温調節が殊更重要だった。すっかり忘れていたけど、このバイクコースにエイドはなく、水分補給の点では抜かりはないとしても、水をかぶるなどの行為は新たな準備が必要だったのだ。 また、スイムにも少し問題があった。波の高さに気持ちを奪われ、レースから離れてすっかり冒険野郎の気分になっていたが、あのコース状況で往きより帰りのほうが時間がかかっているのは、やはり集中力を欠いた故のコースアウトや中だるみが原因だろう。使う筋肉が違い、熱中症とは無縁なスイムでこそ目一杯頑張って少しでも時間を稼ぐべきなのだ。 少しのミスも許されず、気を抜く暇がないのがショートレースであり、醍醐味でもある。最近はロング偏重で、何でものんびりやる癖がついてしまったようだが、次はもう少し上手くやりたい。 ![]() ゴール後1時間以上経って、ようやく食欲が湧いてきた。 名物のトン汁うどん。この中にうどんも入っていて美味い。 RESULT
Total 2:23:49 (Place 13/111) 年代別2位 Swim+run 28:42 (21) Bike 1:09:39 (10) Run 45:28 (22) |
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