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2008かすみがうらマラソン参戦日誌
2008/4/20 42.195km 今年の土浦入りは例年より電車を1本早めることにした。近年参加人数が軒並み増えてきたためか、去年はスタート間際の準備でちょっと焦り、スタートの位置取りも甘く、「3時間以内」のプラカードやや後方でも、最初の3km通過までにすでに1分10秒のロスタイムを作っていた。ロスはふとした油断でみるみる増えてしまうが、それを取り返すのは1キロで5秒が限界。70秒のロスをチャラにするには14kmもオーバーペースで走らなければならない。ひとたび汚れてしまった湖を綺麗にするのは長い歳月を必要とするのと同じ。最初にロスを作らないことがとても重要だ。その布石として、余裕のあるスケジュールが大切。 そんなわけで35分早めて駅に到着、JYUさんTさんと無事合流する。相変わらずの目一杯大渋滞なので参加者が増えた感じはよく判らん。ウワサでは全競技参加者2万人、つまり去年より6000人UPらしい。裏道を通って会場に着くと、スタートまでまだ1時間半ある。今回は余裕でしょう。 そうそう、申し遅れたけど今回もサブ3を目指すぞーの心意気。チャレンジは昨年に続き二度目。サブ3を実現するスピードは平均14.1km/h、またはキロペース4分15秒である。ちょろいもんさ〜(ウソ)。 ところが。トイレ渋滞で結構な時間を潰し、準備してスタートラインへ向かったのがスタート6分前。これが甘かった。 さらに失敗したのは、会場に詳しいJYUさんをうっかり見失ったこと。どうやら最後のトイレに向かったらしい。一人で僕は人ごみの中へと突入していく。とにかく、「3時間以内」のプラカードより前に位置しなければならない。 ところがー。渋滞でそれどころではない。スタート地点の脇の歩道をずんどこ上流へかき分けかき分け進んでいくと、暫らくしてランナーの厚い城壁に食い込んで身動きがとれなくなり、ラッシュ時の山手線の中、ってところに来てしまった。今更逆方向にも進めず、さながら砂地でスタックしたクルマだ。しかもここはまだ歩道であって正規のスタート位置ではない。キョエー。どうすんべ。もう焦りまくってて冷静な判断が不可能。そして、大きな生垣を隔てた車道側の前方には、「4時間半以内」のプラカードが見えた。4時間半・・・。絶望的に後ろ過ぎる。スタートまであと2分。だが何分あっても身動きが取れない以上は虚しく時が経つのを待つばかり。万事休すだ。というか、 終わった・・・・。 そして何の方策もないままカウントダウンを聴き、無情にもスタートの音が響く。 10:00 a.m. スタート ![]() 周囲から思いっきり白い目で見られつつも車道側に何とか転がり出ることに成功、さあ猛ダッシュして逃げろ! の心持ちで一杯なのだが渋滞していてそれも叶わない。スタートラインをトボトボと通過、すでに3分24秒のロスが出来ていた。 慎重なスタートなんてどこかに吹っ飛び、隙あらばケツに火がついたようにダッシュしジグザグかき分け脇をすり抜け歩道を突っ走る。超顰蹙ですみませーーん。1km通過は8分45秒。ネットタイム5分23秒。こんなに頑張ってすり抜けているのに5分以上かかっているとは! つくばの時はキロ6分以上要したからこれでも案外マシなのか。 だが、3kmをちょうど18分で通過したときは思わず泣きたくなった。3kmもキロ6分で来てしまったんですかい。サブ4のペースランナーを追い越す。 4km以降はすり抜けを頑張れば目標キロペース4分15秒にほぼ近づくことができるようになってきた。右側車線は本来10マイル選手用走路だが、20分前にスタートしているため比較的空いており、こちらを走ってゴボウ抜きする。 さて、初っ端からジ・エンドとなった今回のレース、どういう走りをすべきだろうか。 グロス(公式)タイムでサブ3は当然不可能としても、ネットタイムではまだ諦めずに目指すことにしよう。よって目標公式タイムは3時間3分24秒以内。 昨年は結局サブ3ペースより若干遅いペースでズルズルと走ってしまった。潰れることも怖れない今となっては、若干ペースアップして少しでも遅れを取り返す意志があることを自らに示そう。 それにしても、今回はザコッツィが強烈に痛い。去年もかなりコイツに悩まされたが、不思議とレース中は消えてくれた。ここ半年ほど日常的にも奇跡のようにザコッツィが消え、すっかりオサラバしたかと思っていたら今月に入って急に思い出したかのように酷くなり、痛みが局部的で激しい。時々グギっと本当にどうにかなっているんじゃないかと思えるような感触のある痛みが走る。痛みを庇う走りが後々影響しなければ良いが。 10km通過は47分41秒。サブ3ペースを上回る区間も幾つかあったのに、5分10秒のビハインド。一つはっきりしているのは、周囲にはサブ3狙いの人は存在しないということだ。おそらくそういう人は7分くらい前に通過しており、今ごろここにいる僕は相当のお間抜けだ。とある共通の目標に向けて目に見えない連帯感が生まれる・・・といったことも期待できない。 とその時、若い人ひとりにひょいと追い越される。ここまで延々と追い越す作業を続けてきたため、彼の存在はとても目立った。フリーサイズのメッシュのTシャツを着て、下半身は膝までのスパッツにパンツを重ね着していた。つまり気合入ってませんから! と服が訴えている。 その割に彼は走り方に余裕がある。そこで喰らい着いていくことにした。速い時でキロ4分5秒くらいのペースを刻む。10〜20km間はフルマラソンで最も楽に速く走れる区間であり、あまり調子こくなよと言い聞かせる。スピード感としてはアクセルベタ踏みであり、離されたときは腕を振ってじわじわと追い上げ何とか見失わないようにする。彼はちょっとアクセルを踏んだだけでびゅいーんと一気に差をつけてしまうのだ。一体何者だろう?と思う。サッカー部とかバスケ部とか、素地はあるんだけどマラソンのノウハウを知らない高校生、といった風でもないみたいだ。だが20kmを越えた頃に、なんだかどうでも良くなったのかペースが落ちたので自然とパスする。彼のおかげで結構集中して走れた。 中間点通過は1時間34分33秒。 この10kmで40秒近く縮めたことにはなるが、依然4分33秒オーバーってことは、つまり目論んだポジションより1km以上後ろを走っているということか。ありえねー。ネットタイムでも70秒オーバー。ここ10kmのペースアップによる異変のサインは今のところ出ていない。でも、そりゃそうだろ? このペースはハーフまでなら簡単なんだから、何の不安もない状況は至極当然であって、残念ながら自信に繋がるほど評価できるものではない。そろそろトイレタイムとしたいところだが、こんなに遅れをこしらえておいてさらに2分ほどの完全ストップなど考えられない。ゴールまで我慢という罰ゲームは甘んじて受けるしかない。多分我慢できそうだ。 ハーフを過ぎると急な下りがあり、次いで走る方向がクルッと変わりゴールまで追い風になる。アップダウンも一切なくなるので気が楽だが、だんだん脚が痛くなってきた。 常々僕は、会議で立ちっぱなしだったり展示会でブラブラ歩き回るのが1時間半程度も続くと脚がすっかりカチコチの棒になってしまうという、極めて足腰の弱い人間である。 ランニングでそういう経験は感じてないので、歩くのが苦手であるとずっと考えてきたが、実はそうではないことについ最近気付いた。歩こうが走ろうが同じように脚が棒になるのに、日常のランは走る時間がほとんど1時間程度で完結していたために疲れに至っていないだけなのだ。 だから、そろそろ脚が(それに腰も)痛くなってきたのは、単に1時間半以上立ち姿勢を続けたことによるものであって、マラソンとは関係ない。この発見は大変画期的なものであり、調子を見誤らない為には重要な認識であるが、痛いことに変わりはない。足のむくみが原因だろうか。悩ましいランナー用ハイソックスはやはり履くべきだろうか。 クネクネした農道を走る後半ルートは、なぜか距離標識がイイカゲンになる。23km地点は特に狂っている、という記憶は一昨年からある。一応ラップはとるけれど真面目に見ないことにする。下のグラフは独断で多少の補正を加えているがそれでもまだ乱れが見られる。実際のペースはもっと一定のはず。 去年はここで走りがだんだんトルク型に変化して、その後撃沈したので、走りのスタイルを変えないように気をつける。レースはまだ後半に入ったばかりなのだ。腕を振ることは常に忘れないように。 25km付近から、HRは150bpmを軽く越えるようになった。負荷としてはかなり大きいことを示しているが、同時になぜか今までになく楽な印象を受けた。周囲の同じペースのランナーは相当呼吸が激しいが、僕は口を噤んで走ることも無理ではない。この調子でゴールまで行けば今回何一つ苦労のないレースになるなと思う。そういう考えは毎年必ずアタマに浮かび、そしてその後いくらも走らないうちにしんどさの極致に様変わりするのだ。嵐の前の静けさなのかもしれない。27kmあたりにきて、その兆候が出てきた。ちょっとくたばってきたようだ。 28kmを過ぎた頃、前方に驚くべき光景を目にする。それはJYUさんの後姿だった。 先行すっ飛ばし型のJYUさんはたしかに過去のあらゆる大会で僕より先行していた。しかし今日のJYUさんは、東京マラソンの後遺症と練習不足により記録狙いの走りはすっかり諦めているようだし、その真剣度を示すかのようにスタートへの移動も僕より後。姿を見かけないまま20kmを過ぎたころは、さすがに今日は僕のほうがスタートから先行したのだろう、あの混乱からは逃れられないだろうと確信するに至っていた。そんなことすらもすっかり頭から消えていた28km地点にきて、まさか突然遭遇するとは! これまでの手段を選ばぬアクセル全開走行はいったい何だったのだ? がっくし・・・・。 どうやら単に僕がスタート位置で無意味に人ごみの中に埋もれていただけだったようだ。後で聞いたところではJYUさんのスタートライン通過は1分20秒、10kmまでのネットタイムは43分21秒、スタート通過が早いだけでなく、その後の人の流れも当然ながら僕よりスムーズ。あーホントにアホだ。 ただ、JYUさんの前半のスピードも半端ではないのは確かだが。 そして、JYUさんをパスした頃を境に、これまでのペース維持が厳しくなってきた。脚のEMPTYマークが急に点灯し、踏ん張っていないとペースがすぐ緩む。とうとうおいでなすったかという気分だ。32kmも過ぎると、ペース維持も出来なくなった。まだあと10kmもあり、ここで一つの結論が出る。 スタートのミスがなくても、サブ3はやはり無理だった。 ![]() ここからはひたすら耐えるのみのしんどい道程。ふと気付くと、ゴール予想タイムが去年のタイムを下回るペースになっている。さすがにそれだけは避けたいなと思っていた事態が現実のものとなってしまった。去年からの1年間は一体何だったんだろう。ランに裏切られ、もうそんなに走ってなんかやるもんか、などと八つ当たりな気分。アホかと。 筋肉が売り切れなんだから残っている補給食を摂るべきだろう、と理屈ではわかっていても、ポケットに手を突っ込み、息を整えて喉にジェルを流し込む行為を気持ちが受け付けない。疲れのせいかリズムのせいか、どちらにせよ現状が最悪なのだから手を打たないよりは何か事を起こした方がいい、と散々言い聞かせてやっとカーボショッツバニラ味をグッと流し込んだ。思ったより悪くない味。少しは効いたのかもしれないが、飲んだことで楽にはならなかった。 キロ5分をオーバーしそうになったので、それだけは死守する、という目標に切り替えた。必死の形相で歩を進めているが、HRは一頃よりずっと落ちて、心臓だけは冷静なやつ。下位目標はギリギリクリアして、念願のゴールラインを通過した。 3:08:56 (4:28/km) HRave/max=147/160bpm 消費カロリー 2423kcal ![]() どこで潰れたかが心拍グラフからもよく判る ゴール後すぐ打ち出される記録証には、フル男子出走者数は9733人と出ていた。去年が6585人で、一気に1.5倍に。女子も入れると1万人は優に超えており、スタートエリアの様相が去年とはまるで異なることを事前に憂慮すべきであったことは大反省点。 救いなのは、ゴール後去年ほどのダメージがなかったことだ。とりあえず、なんとか普通に歩けるし腰痛もさほどではない。それと、ネットタイムは3時間5分35秒で、前回から1分25秒縮めた。唯一、この1年間の成果と言える部分だ。腕振りを頑張った証として、腕がすでに筋肉痛になっている。マラソンで腕が痛くなったのは実は初めて。 やがてJYUさんがかなり余力を残した感じでゴールしてきた。練習が予定通りこなせて、本番でペース配分をもうすこしコントロールすれば僕より先にサブ3に手が届きそうだ。練習走行と決めたTさんも問題なくゴールして、また3人で土浦駅で打ち上げ。んー、はっきり言ってこの瞬間のために走っているといっても過言ではない、とは当り前すぎ。 悔しさが残り、早くリベンジしたいとの思いも募る。とても来年まで待っていられないので、TDOをやめにしてつくばを真剣に狙うべきか考えてしまった。しかし、スタミナがまだまだ不十分である現実も忘れてはならない。6月のIMジャパンでは、相変わらずキロ6分の世界から抜け出せそうにないなと思った。 |
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