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JCRC最終戦in成田NATS参戦日誌
2006/12/10 2時間個人エンデューロ エントリーしている2時間エンデューロは午後からなので、午前10時前にノンビリ家を出る。 ![]() 昨日の冷たい雨の降るさぶーい天気とは打って変わって穏やかないい天気。来て良かったなと思う。唯一残念なことは、見事に知り合いがいない。10月に毛呂山パイン練への出稽古でご一緒した野崎さん(SSクラス)だけは見覚えがあるので遠慮がちにご挨拶。個人TTで4位に入り、さすがはTTのパインズ。コースはどんな按配ですかと訊ねたら、「コーナーがキツく、結構恐い」と意外な答が返ってきた。そういえば、1時間エンデューロのリザルトが既に張り出されていたので見てみると、ハシケンさんがでていたにも関わらずアベレージ35km/hと意外な遅さ。スピードの上げ下げが激しいのだろうか。朝方は路面が濡れていたためかもしれない。 ZIPPに履き替え、ブレーキシューを取り替えて、試走開始。起伏は僅かでアップダウンと言える地形ではない。ヘアピンカーブが二ヶ所あり(図中AとC)、一つは最高スピードが出る直線路の終わりにある。ちょっとスリリングだ。1周はとても短く、Polarで後で調べたところでは1.06kmほどだ(JCRCでは1kmジャストとしてアベレージを計算している)。あっという間に1周が終る。 アップのつもりで10周して終了。ボトルにアミノバイタル3000をセットし、念のためウィダーinゼリーをポケットに入れ、スタートを待つ。 ![]() 1周目はローリングスタート。かなりの人数で、過密状態である。良い位置につけているパイン野崎さんが見えているが、なかなか思うようにポジションを上げられない。1周目が終って規制解除されスピードが一気に上がると、今まで横に膨れていた集団は2列か1列の細長い状態に変わる。きついコーナーが多いので並列走行が極端に不利になるためだ。後ろからゴワゴワゴワーンとディスクホイールの音がする。直線路でするするっと右からポジションを上げて行く。その手できたか。でもアップダウンは無くても、加速減速が激しく重いディスクは不利なのでは。 記憶ではたしか3周目、スタートライン直後のヘアピン(図中A)で早くも落車発生。クルマの事故みたいにプラスチックの破片が飛び散る。「な・ん・で・こ・ん・な・と・こ・ろ・で(怒)」と巻き添えを喰った人が怒鳴っている。場所のことを言っているのではなく、まだ始まったばかりなのに、と言いたかったんだろう。運良くラインが違ったので交わして事なきを得る。 3周かけてようやく野崎さんのオケツポジションにたどり着いた。これでひとまず安心して走れる。ディスクホイールゴワゴワマンが時折サイドをすり抜け威圧的な音を奏でている。 いやそれにしても、しんどい。エンデューロってもっと穏やかなレースを想像していたが、これは全然違う。2時間ガマン大会って感じで、ヒィーと声が出る全力疾走&ビクビクコーナーがエンドレスで続く。気を抜く瞬間がなく、肉体的かつ精神的な耐久戦である。2時間も持つのか?と思うと気持ちで負けてしまいそうだ。ゴールライン通過時のラップ計測を、承知して怠ることしばしば。そんなことしてる場合じゃねーって気分。 ![]() ふと気づくと野崎さんがいない。と思ったら、コーナーの隅で自転車を降りている姿を発見。なぬー! 唯一の安心できる身寄りがいなくなってしまった。後で訊いたら、「しんどすぎるので止めた」そうで、それは僕も一緒じゃー。 出走リストにもう一人知った人がいた。ZunowEastの店長、O山さん(SSクラス)である。千葉のチームだけあって、Zunowジャージ(BMレーシング)の人は多く見かけるが、O山さんがどの人なのかナナメ後ろからではなかなか判らない。先頭付近で力強く走る緑色のOrbea乗りがその人と思うのだが、ヘルメットから髪がわんさかはみ出ており、あれ? この人そんなに長髪タイプだったかな? と疑いの念が晴れない。 推定O山さんの後ろは安定感があって居心地がいいのでかなり占有させてもらった。↓ ![]() 長―く伸びた集団も徐々に先頭交代が行われ、自ずと自分が前へ移動することになる。スタート直後は、常に中切れ発生気味な僕の前に交代要員が合流してくるのを、持ちつ持たれつの関係と解釈して良しとしてきたが、やはり任務は果たさねばと考えを改める。しかし、このハイスピードに乗るだけで大変なのに、自分が引っ張ることなどどうしてできよう? 先頭から5番目あたりに居た頃、トップ走者が魔のヘアピン(図A)でバンクし過ぎて、(たぶん)ペダルを地面に引っ掛けて自爆。緊張が走った。好きなラインで走れるはずの先頭がなぜ自爆したか。もし自分だったら、トップを走る高揚感と焦燥感が普段通りのコーナー感覚を鈍らせ、そのようなミスを犯しかねない、と思うに至った。冷静に行け、と。 O山さんの後ろに着いて、いずれ来る任務に身を構える。知らぬ間に2,3人の逃げが発生していた頃で、ひっきりなしに逃げを追う展開の最中だった。O山さんの積極的な追走の意志を受けて、直線路で集団アタマに立ち、二つのヘアピンを最短コースで冷静にクリア。半周ほど走って、逃げを捕まえた。本日最高の1分30秒のラップと167bpmが出て、平均心拍も163bpmまで上がる。自転車レースで平均がここまで上がったことは間違いなく人生初。「ここがトップ?」「そうです」意外に若い人が逃げていた。とりあえず任務を果たしたので、後ろに下がる。ふぇー、疲れた。このまま最後尾も通り過ぎて千切れるってパターン、よくあるんだよな。ホドホドで間に入る。 くどいようだが、しんどすぎて辛抱堪らん。今年のツールドおきなわよりしんどい。脚はまだ回せば回るので今だけなら着いていける。とりあえず、とか、あとちょっとだけ、などと思いつづけて40分が経った。まさに自転車操業ですよ。 だが、この心肺MAX状態って自分では「比較的得意なパターン」とか思ってなかったっけ? 後ろを振り返ると、最後尾の見極めがつかないくらい、依然として長い集団のままだ。リストラ対象の筆頭は他の誰でもなく自分であることを感じ、悲しくなる。 再び先頭役が回ってきた。先ほどよりはあまり頑張らずに走る。また半周ほど走り、コーナーのインをついて走っている時、後ろのBSの人に何か言われた気がした。多分、遅いからどけ、って意味だと直感したので即刻後退。まあでも限界状況な方には僕の穏やかな走りが天使のように映ったでしょう。 ![]() などとコースを大体把握してきて少し油断があったかもしれない。スタート後1時間半になろうという時、動きに気づいた。どうやら逃げが行われている雰囲気。実はこの頃になると、周回遅れがわんさか居てどこが先頭なのか判りづらいのである。さらには集団の後ろ寄りにいたため、状況も良く掴めない。これはまずいかもしれない、と思っていたら、さらに後ろから緑のOrbeaがカッ飛んで行った。やはりそういうことか! しかし、Orbea店長の本気モードでの猛ダッシュはさすがに追うことができない。じわじわと自分の限界速度で、諦め半分、ヤケクソ半分で追う、追う。直線路の先には、人数の減ったアンカーチームに続き、Orbea店長とディスクゴワゴワマンが追うのが見えた。やがて彼らは追いついたみたいだ。でも誰に??逃げの張本人は誰だったんだろう? リザルトを見る限り、SekiyaのF田さんということだろう。後の表彰会場で感じ取ったことだが、彼はマークすべき最重要人物だったらしい。集団の前寄りにいたり後ろにいたりと、思えば妙に余裕がある人だった。 一人で追走してもスピードは落ちるばかり。やがて後続に抜かれ、3名で回して行くことになった。結局このタイミングで今までの大集団は崩壊し、我々はトップを追う第2集団となった。追うと言ってもトップのほうが速いに決まっており、実は追っているのではなく逃げているのだった。つまり、1周僅か1.1kmしかないこのコースで残り30分をラップされずに走りきれるか、という新たな試練が生まれたのだ。3名はちょうど脚力も似ていて、まあ大体均等に回していた。身軽になったことで、僕はヘアピンコーナーのライン取りを全く変え、インに突っ込むようになった。多分この方が速いと思ったのでここは毎回先頭で突っ込んだが、レース後これには戸惑ったと言われた。とある周、ヘアピン(C)コーナー中にペダリングしてガリっと音をたてる。ペダルが地面を擦ったと気づくのに少しかかった。もうあと1度バンクがきつかったらずっこけていただろう。背筋が凍りつく。 3人での追走は当然ながら負荷の高い辛いものとなった。平均心拍数もここからグッと上がる。だがペースを作るのは自分たちなので前半の時のようなしんどさは意外と感じないのが不思議なところ。乳酸が溜まる傾向にあり、唯一の上り区間では毎回痺れたようにグリコーゲンを使い切ってしまう。 やがて、トップではないアンカー選手が3人ほど引きつれている周回遅れ集団に追いついた。暫らくは人数も増え、アンカー選手は余力が十分あるので少し落ち着くことができる。 だが悲しいことに、残り5分で後ろからオートバイの音がした。トップと同一周回の夢は果たせず、自分のゴールはここまでだったかなと思う。トップにくっ付いている周回遅れの輩も居たようだが、それも何だかなと思う二人が自然離脱し残りの数分をペアで走る。最終周のジャンを聞き、ゴールスプリントの皮算用は止めて、とにかく先行して行けるだけ行ってみた。上り地点Bでは乳酸がスッカラカンになり、腰が完全に落ちたブザマなダンシング。もはやみてくれなんぞ構っちゃいらんねー。ゴール手前であらん限りの力でもがいてみたが、後ろを走る彼は僕に気遣ってブレーキまでかけたかもしれない、と感じるほどショボいスプリントだった。 何より、この辛く厳しい試練から解放されたことで非常に嬉しく、走り通したことの満足度は高かった。 早速貼り出された速報を見ると、やっちまったの7位か、と思ったら、一人アンカー選手が混じっていたので6位。意外な順位に素直に喜んだ。7位だった彼にはのちに、「どうやら刺さなきゃいけなかったみたいですね」と声をかけられた。最終周で恩を着せる走りをする、というのも、作戦のひとつですよ、なはっはっは! ![]() ![]() しんどさと心拍数は、必ずしも比例しない。 幸い、当てたのは隣にいたオヤジさん。念願叶って良かったね。 文中の写真は全てJCRC撮影
1.06km×74周 6位/42人中 2:02:08.915, 平均38.71km/h (トップは75周
39.43km/h) by Polar
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