JCRC第8戦in群馬CSCアートスポーツ杯参戦日誌
2005/10/16 
C2クラス100km(17周) 

このアートスポーツ杯は去年風邪で泣く泣くDNSだったので、とても心待ちにしていた。
カテゴリ別のレースというのも、下総以外で経験がなく、他ではずっとZクラスしか出てないので、クラスの本当の実力というものがよく分からない。Zに出てくる人は長距離が特に好きだとか、シーズンでの調整が出遅れた人とか、練習目的とか、恐らくそれなりに偏ったグルーピングなのであまり参考にできないだろう。
だから、今回のCクラス以下全部ごちゃ混ぜ、というクラス編成は少々がっくり来た。レベルが拮抗した集団で走ってみたかったのだ。一つ上のCでも、トップとなるとレベルが全く違ってくるから、長い距離ではその差は大きく開く可能性がある。
スプリントが苦手な僕としては、そもそもこの長い距離という特徴を生かした走りをしたいと常々考えていた。前半50kmくらいは適当に集団の流れに任せ、後半で徐々に先頭に出てスピードアップし、負荷をかけつづけて休ませず、スプリント系選手を落としていくという作戦だ。突然のアタックを阻止する意味合いも含まれる。僕のように、最高巡航速度と、最高速度がほぼ変わらない人間にとって、アタックされることは死活問題なのだ。随分と思い上がった机上だけの想定であるのは言うまでも無い。つまらないレース展開ではあるが、勝負に面白いもつまらないも無いのだ。
と考えていたが、先週は風邪でダウン、すっかり身体が鈍ってしまったので、そんな偉そうな「作戦」なんて言ってられねー状態。周回遅れは意地でも回避し、着いていくのを第一目標として頑張るとしよう。

ポンズ山本さんのクルマで7時に群馬CSC入り。金・土・日と雨の予報がすべて外れ、嬉しいことに雨は止み、降りそうにない。路面は濡れているが、徐々に乾くだろう。
スタートまで、軽量化待ちの行列にほとんどを費やしてしまい、アップどころか着替えする余裕もなく慌ただしく準備する。やはり群馬の山奥は寒いので長袖アンダーに長袖のジャージを重ねた。これでも思いきって薄着したつもりだったが、召集の列に並んだ頃にカーっと太陽が顔を出し、見る見る気温が上昇していく。やばい、これはハンパじゃなく暑い。いまさら着替えに戻るのもなあ・・・と思っていたら、ふとスペアタイヤと空気入れを装着したままであることに気づく。慌てて外してクルマに戻り、ついでにアンダーだけ脱いだ。

C以下ごちゃ混ぜクラス(以下C)は、予想通り応募者が増えたので2クラス編成。ごちゃ混ぜにした意味が無かったね。せめて、「Dクラス以下ごちゃ混ぜ」にすべきだった。
A、B、C1が1分間隔でスタートし、その2分後にC2がスタート。C同士は同レベルということで2分差なのだろう。でもはっきり言って、この長丁場では2分なんて大した差じゃない。むしろ、下総での経験上、後ろ組は心理的に前を追いかけて差を詰めようとするのは明らかだ。先導バイクがそれを阻止するだろうから、アタックしたくても出来ない、という展開が続くものと思われる。僕にとっちゃ、有利な方向のはずだ。
と、レース前は考えていた(というか、ここまではあらかたレース前日に書いてます)。

そしていよいよ、C2のスタート。1ミリもアップしなかったけど、ウェットな路面で皆ビビリながら平和なペースで進んだので息苦しさもほとんどなく、助かった。だが心臓破りでは早くもレッドゾーンの164bpmまで上がり、流しのペースだろうとここは辛い。こんなんで、17周もできるんだろうか? 
体感どおり10分51秒という遅いペースで1周目が終わる。ローリングスタートの効果も半分くらいあっただろうか。
2周目の高速左コーナー。やはり遅い。遅すぎ。ビビリすぎ。右ヘアピンに差し掛かる。このとき、後輪がほんの僅か、そう、5cmくらい、なんの前触れもなくヌルッと瞬間平行移動した。
なんじゃこの心許なさは。デリケートすぎる。まさしく、想定の範囲外。そういえば、路肩1mはコケが生えているとかいう脅しのような噂を耳にしていたが、そのコケに乗っかったって感じだ。実際はコケなんて見えないが、意外とヌメヌメしているのかもしれん。
心臓破り以外では、何かと平和なペースで進む。少しずつ路面が乾き始め、自分も自転車になれてくる。いつものことだが、群馬コースは自転車に慣れるまでにしばらくかかる。

5周目。ビビリまくった選手が詰まる高速左コーナーにストレスを感じたので、事前に前に出ておいた。ここはまだまだ路面が濡れている。8番手くらいでコーナーに入ると、期待どおりスピードを殺さずに通過できた。ヌルッと滑ったウェットの右ヘアピン手前では、指先に全神経を集中させ慎重にブレーキングし、陽の当たる乾いた路面を境にバンクさせコーナリング。その立ち上がり付近で、後方から突如「ドガシャーン」と不幸の炸裂音。僕が滑ったあたりで落車だ。「ラクシャァ」と激しく叫ぶ声が聞こえる。今の声はトップに届いたはずだが、と思って先を見遣ると、いつもより突っ走っている、様に見える。ボケッとして自分が取り残されそうになったので慌てて踏んだ。
ふぇー。何が起きるかワカランね。落車を予感したかと思うと逆にぞっとした。
トラブルに巻き込まれた人は結局ほとんど追いついて、また大集団のまま次の周回に入る。体感どおりこれまでで最速のラップを刻む。

前半はおとなしくしている計画であり、状況的にもそれで問題なかったが、一度くらいは任務をはたそうと、スタートライン手前のコーナーでトップのスピードが鈍っているところをスーっと前に出る。だが、先日の物練の時の感覚とは違い、前に出ても何となく無視されている感じ。しばらく走り、少しスローダウンして先頭交代を促しても全然追い越さないので、集団がどっと詰まった。ある時点でワッと飲み込まれるように追い越していく。なんだか上手くいかないもんだ。

気温は上昇して、周囲は早いうちにアームウォーマーを脱いでいた。最初から長袖のジャージを着ているのは僕くらいだ。なんという見通しの甘さ。暑さが結構堪えてくる。だが袖は簡単にまくれないし、できたとしてもちょっと恥ずかしい。給水はこまめに摂ろうと肝に銘じた。だがここ群馬では落ち着いて補給することが難しく、2つ満タンのボトルは1.5本消化、ポケットのバナナとパワージェルは手付かずじまいだった。
さっきから頭の中は、最近気にいりのFranz Ferdinandのサビじゃない部分がエンドレスでかかっている。混沌とした集団の中でこの曲はピッタリだ。でもそろそろ次の曲に行ってくれ!

歌舞伎の加藤さんとずっとつるんで走っていたが、いつのまにやら10周目。なぜか集団がぐっとスローダウンしてきた。
ふと聞き覚えのある話し声が聞こえた。A木さんが同じFITTEの人と話している。あれ? A木さんは確かC1のはず? 聞き耳を立てると、C1で積極的に動いても反応が悪い、といった内容。それで疲れて後ろに降りてきた? 心臓破りの坂に差し掛かったとき、遅すぎるとぼやいているのが聞こえた。確かにちょっと遅いかもしれないが、今までは速かったんだよ! 僕にはこれでも余裕は無いけどね。がっくり落ちた10分40秒で10周目終了。
それにしても、なぜ一気にペースが落ちたんだろう。逃げ組がいたようには見えなかったが、抑えが効いているんだろうか? 先導のバイクもいなくなったから、誰か逃げているのは確かなようだ?
見過ごしたのだとしたら、ドーショーもないね!
残り50kmを割っている。後半の遅いペースは自分が上げていくと決めたのではなかったのか。というわけで、リフトをくぐったあたりから、スススッと前に出た。小刻みなアップダウンを先頭のメリットを生かして最短で走る。だが、後ろは着いてこない。結局心臓破りの最後のヘアピンまで走り、疲れたのでペースダウンした。
なんだか意味なかった。
しばらく後ろのほうで休憩する。
このあたりから、ちょくちょく前を走ってみるが、どうもソリが合わないようで、目論見どおりにペースが上がらない。
ペースが落ちても、心臓破りでは相変わらず自分にとって限界走行だ。頭をとって上ったときは年初来高値の171bpmまで上がった。でも不思議なのは、周回を重ねるにつれ、数値ほどの苦しさを感じなくなってきたことだ。そこで息を止めてみろと言われたら、多分5秒は行ける。やらないけど。
そうして心臓破りを上るたびに限界走行を繰り返す様は、フトモモの筋肉が貯金を湯水のごとく使いまくっているイメージだ。このままじゃヤバイよ、と思いつつも、どんどん浪費し続けるフトモモ。

推定14周目。今度はバックストレートの頂上手前で前に出る。ここもやはり、いつも遅いなあと感じていたところだ。下ハンもってグイグイと、行ったフリをする。やはり着いてこない。いわゆる逆放置プレイってやつですか。ホームストレートを過ぎて上りに差し掛かっても放置されているので、後ろを振り返って不満顔をアピール。
その後も一人走り、高速左コーナーと右ヘアピンは気分よく抜けた。メーター読みで間違いなく今日一番のコーナースピードとなったが、第5戦のZクラスをソロで走った時よりはまだ遅い。
結局半周以上走って、無意味と感じて止めた。
やはりどこぞの馬の骨だかワカラネー奴の先行は放置ってことですかね。僕は別に抜け出したいわけじゃなくて、みんなと速く走りたいだけなんだが。その代わり、心臓破りではのんびり行こうよ、と言いたいだけなんだが。それは甘すぎですか。
僕以外にも、「越前おろしそば」なジャージの人とかが放置プレイされているのを何度か見た。そんなときに、自分が出て行って先頭交代に加われば良かったのだろうが、そう都合よく自分に余力があるとは限らないのである。
だが、オーベストなどの有名どころにはちゃーんとみな着いて行くんである。引きが下手なのか、信頼を得るような走りに欠けているのか、見知らぬ奴はほっとけなのか、難しくてワカラネー。
後で思えば、前半ボケッと走ってないで、誰が主に先頭を引いている人たちなのか、じっくり観察すべきだった。そういうのを「マーク」って言うんだろうな。素人過ぎるぜ!

無理を続けたせいか、心臓破りでは一段と厳しさを増す。肝心の預金残高についてはあえて目を向けないでいたのだが、ここにきて「残高ゼロ」となってしまった。明らかに今までとは違う「底つき」感に気づいた。ヤバイ。
残りはほぼ3周。まあ、無理さえしなければ大きなタレはないだろう。集団内でゴールも、夢ではないかもしれない。すこし後ろで休むことにする。15周目はありがたくものんびり進み、集団のくせして11分以上かかっている。遅すぎ。時折、誰か逃げているのか?という話が出るが、誰も正確に答えられないでいた。が、今度のネタはかなり具体的だった。「5人くらい逃げているらしいよ」 5人もかよ! それほどの人数を見過ごして気づかないオレ達ってつくづくアホでないかい!?

16周目。転機が訪れる。4分早くスタートしていたAクラスのトップ集団十数名が追いついてきたのだ。そのときものんびりペースだったC2は、Aとのギャップに「さすが速いよなー」と感嘆の声すらあがっている。それなのに、ああそれなのに。AにつられてC2もペースが上がった。ありていに言えば、Aに着いていった。そりゃねえべ? ためらっているうちに、取り残される。これはヤバイ。着いて行かねば。C2の後ろについているAを利用して(オマエモナー)ロケット噴射。ふんしゃー! ダメだ。もう預金残高ゼロなんだもんな。ご利用は計画的に、だ!
Aクラスはこの直後にゴールだから、尚のことペースは速かったはず。同じちぎれ組の一人と、見えないC2集団を追う。Aがいなくなればペースも落ちるかも、との淡い期待はもろくも消えた。
最後の周はほぼ一人で黙々と走る。途中、駐車場脇のハイスピードな直線の下りで、道を塞ぐように選手が寝転んでいた。顔のあたりから、赤い液体が1mくらい路面に尾を引いているのが見え、その人は意識が無いように見える。
大丈夫なのか? いや、大丈夫じゃないのは間違いないが、肝心な点で大丈夫なのか?? と不安を覚えつつも、通過。
脇には落車に巻き込まれたもう一方が立っていたので見送ったのだが、あれは止まるべきだっただろうか、と思ったのは後でのこと(予想ほど大事には至らなかったらしい・・・)。
最終周は11分半もかかり、乳酸は溜まりに溜まってソロフィニッシュした。


12位/出走63名 2:59:09 34.16km/h HR平均/最大=145/171bpm 2269kcal 上昇1535 17℃

去年の沖縄で感じた限界と似ていた。
乳酸と格闘し続け処理しきれなくなり動かなくなった脚。
トライアスロンではほとんど縁のない感覚だ。
ロングのランで動かなくなった感覚ともまた違う。
やはりインターバル練習が不足しているのだろう(というより、やってないが)。それと、絶対的なパワーが低すぎると感じた。脚がこなれてきた3,4周目あたりでさえも、心臓破りの坂は自分にとってMAXであり、クルマで言えばアクセルべた踏み状態。これがもう少し余力を残して上れたら、違った展開も望めるのだろう。
そのときの心拍数はかなり上がったが、心肺機能の限界という感じはない。脚さえ動けるのならまだまだ心肺はフォローするぞ、と言っているようだ。その点、ランの場合とはちょっと違う。
たんに漠然と「体力勝負」というわけには行かない難しさを感じたレースだった。だが糸口もすこしは見えてきたぞ。

その後トン汁を食べながら、午後のレースをしばらく観戦する。今年から150kmというケッタイな長さの部も新設された。
奈良さんは風邪とは思えないオトコの走りをしていた。早々に抜け出したオーベスト店長の走りは次元が違って見えた。なんで一人であんなにハエーんだ? 人間技とは思えない。バイクを左右に振りながら重いギアをガシガシ踏んで走る様は、教科書の手本にはならない気がしたが、「ごちゃごちゃ言ってないで、とにかく踏め」と言っているようだった。